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◆偽りの子供◇
しおりを挟む派出所にシュラを連れてきた騎士は、シュラを派出所の兵士に託して去ろうとすると、シュラ少年は派出所に連れてきた騎士の袖を掴んで涙目で訴えた。
「母を探しに来ました。名前はハビス。藍色の髪と瞳の人だからすぐわかると思うんです!父とはぐれて…でも父もここに来るはずだから僕が先に母を見つけなくちゃ…」
「今なんて言った?」
「ハビスです!知ってるんですか?」
「ああ、多分。で、父親は?」
シュラは少し考えた後…魔王の姿が脳裏に浮かんだ。
「シャトー・ギドーです!漆黒の髪と瞳をしてます!」
「この子を少し預かってくれ。後でまた来る。」
騎士は少々動揺しながら兵士にシュラを託すと派出所をあとにした。騎士の去った室内、シュラはもうすぐハビスに会えると思うと嬉しくなり座っている椅子から浮いた足をブラブラとゆらし陽気に鼻歌を歌っていた。
(ふふふ~ん。容易いね、ハビスを見つけたらすぐ捕獲しなきゃね。窓の外に部下は待機してるみたいだし…ああ~早く来ないかなあ~ハビス。魔王様の名前を借りたけど大丈夫だよね、魔王様のお気に入りなんだし~)
シュラはまだ知らない。
ヒバスを浄化した流星の騎士がハビスのそばにいる事を…自分の身が危険にさらされようとしている事を…。
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