流星の騎士と黒猫

yu-kie

文字の大きさ
上 下
14 / 20

◆偽りの子供◇

しおりを挟む

 派出所にシュラを連れてきた騎士は、シュラを派出所の兵士に託して去ろうとすると、シュラ少年は派出所に連れてきた騎士の袖を掴んで涙目で訴えた。

「母を探しに来ました。名前はハビス。藍色の髪と瞳の人だからすぐわかると思うんです!父とはぐれて…でも父もここに来るはずだから僕が先に母を見つけなくちゃ…」
「今なんて言った?」
「ハビスです!知ってるんですか?」
「ああ、多分。で、父親は?」

 シュラは少し考えた後…魔王の姿が脳裏に浮かんだ。

「シャトー・ギドーです!漆黒の髪と瞳をしてます!」
「この子を少し預かってくれ。後でまた来る。」

 騎士は少々動揺しながら兵士にシュラを託すと派出所をあとにした。騎士の去った室内、シュラはもうすぐハビスに会えると思うと嬉しくなり座っている椅子から浮いた足をブラブラとゆらし陽気に鼻歌を歌っていた。

(ふふふ~ん。容易いね、ハビスを見つけたらすぐ捕獲しなきゃね。窓の外に部下は待機してるみたいだし…ああ~早く来ないかなあ~ハビス。魔王様の名前を借りたけど大丈夫だよね、魔王様のお気に入りなんだし~)

 
 シュラはまだ知らない。

 ヒバスを浄化した流星の騎士がハビスのそばにいる事を…自分の身が危険にさらされようとしている事を…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旦那様に愛されなかった滑稽な妻です。

アズやっこ
恋愛
私は旦那様を愛していました。 今日は三年目の結婚記念日。帰らない旦那様をそれでも待ち続けました。 私は旦那様を愛していました。それでも旦那様は私を愛してくれないのですね。 これはお別れではありません。役目が終わったので交代するだけです。役立たずの妻で申し訳ありませんでした。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

午前0時の転生屋

玖保ひかる
ファンタジー
 天界で死神と呼ばれる転生屋のディーと相棒の黒猫クロのお仕事物語。 ※この作品は小説家になろうでも掲載しています。

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろうにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

白の魔女の世界救済譚

月乃彰
ファンタジー
 ※当作品は「小説家になろう」と「カクヨム」にも投稿されています。  白の魔女、エスト。彼女はその六百年間、『欲望』を叶えるべく過ごしていた。  しかしある日、700年前、大陸の中央部の国々を滅ぼしたとされる黒の魔女が復活した報せを聞き、エストは自らの『欲望』のため、黒の魔女を打倒することを決意した。  そしてそんな時、ウェレール王国は異世界人の召喚を行おうとしていた。黒の魔女であれば、他者の支配など簡単ということを知らずに──。

処理中です...