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第2章

枯れた菜園

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 白カボチャは四方の土地に菜園を構え育てていた。

 王都だったそこにもひときわ大きな菜園があり、この一年で枯れかけ、諦めて放置状態…。

 ハグルはそれを知っていたため…生き残りのヒナン国の民を他の過酷な労働から、菜園の管理に戻してくれるなら、もとの豊な菜園に戻すと…ハグルとマナに菜園を任せてほしいと…話を持ちかけたのだった。
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 マナはハグルの腕に収まり、ハグルはこの地を任されているガイナ国の王弟との面会を赤い鎧の兵士たちに訴えた。

「ハグル・ナイル・ナギーラ、ヒナン国の王女を妻に迎え、妻と共に菜園の復興へお願いにあがりました。」

 剣を構えた兵が一礼し数人の兵の内の1人が屋敷に向かい走り去り、しばらく待っていると、

「ナギーラ国の、王子直々にお越しとは…」

 兵と共に現れたのは王弟の側近だろう身分の高く見える、初老の男性に誘導されて、王弟の待つ屋敷へと向かった。

 攻め込まれた痕跡がところかしこに残る城に案内され…マナは体を震わせ、ハグルはマナの過去に受けた悲しみを感じとって…巻き付くマナの頬にキスをした。

《…マナ、わたしがついている。この地から悲しい記憶を一緒に消してしまおう。忘れるほどに緑豊かな地にしよう。》

小さく囁くとマナは閉じていた瞳を開け…視界に広がる夫ハグルを見つめ…

《そうですね。》

 笑うように目を細めた。

王弟の待つ広間に通され、ハグルは王弟に、

【我々ならもとの豊な菜園に戻すことができる…我々に菜園を任せてほしいと…条件をつけた話を持ちかけたのだった。】

 …50歳のわりには皺の多い、顔を強ばらせた王弟ミワグルは少し考え…

「国王からはこの地の管理を一任されている。簡単には返事はできないが…2、3日考えさせてくれ。ここが豊かになれば私の鼻も高い。悪いが客間に滞在願うが、監視をつけさせてもらう。」

 こうしてハグルと、共に来ていた騎士の獣人二人を赤い鎧の兵士が囲み…まっすぐ客室に押し込まれた。

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