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第1章
必要なものは
しおりを挟むトゲトゲした柵の向こうには白カボチャの畑が広がり、その奥に様々な薬草、野菜の畑が広がっていて…懐かしいヒナン国の民が野菜の虫取りなど、育成をチェックしたり、肥料を与えたり、しているのだけど…
昔見た…菜園のような瑞々しく育つ野菜や薬草じゃなくて
葉が黒ずんでいたり、赤いはずの実は青く…痩せていた。
「マナ姫、お気付きのようだね?」
柵の扉が開いて…敵の侵入を防ぐために見張りの獣人さんが出迎えてくれて、私たちが柵の中にはいると扉は閉じて、ハグル様が私をゆっくり地面に下ろしてくれた。
「土がおかしな色をしてます。昔、お父様と視察に来たときは土の匂いも色もこんなんじゃなかった。」
「ええ。これは、3国が攻め込んだ1年後から…変わってきたようです。」
ハグル様がしゃがみこんで…私に目線を合わせて教えてくれて…なんだか悲しくなってしまった。
恵みの魔法は必要なものがある。
民の希望と…
お日様の光り…
あとは雨が降る場所か、水をあげれるか。
見た限り空に異変はないし、お水も近くの小川から汲んできているみたい。
土を戻すために…民に希望がなくては行けない。
「ハグル様、ここに住む方達は…悲しみの中にいるのでしょうか?」
「そうだなぁ、国が滅びて王も処刑されたときいている、彼らはそれをみていたと聞く。希望なんてないんだろう、私たちの事も恐れている。いつか捕食されると思っているのだろうな…。」
なら、私が人間に戻るしかない。王女として希望を与えられるなら…。ハグル様は協力してくれるかしら?
「ハグル様、民の前に私の姿を見せてもいいですか?恵みの魔法は必要なものがあって、足りないものは民の希望なのです。ハグル様…私は王女だと伝えてもいいですか?」
「ナギーラ国の獣王からは菜園をマナ姫に一任したいと言われてるここは安全ですから戻ってもいいですよ。」
ハグル様は私を抱き上げ、合図をして…私はそのまま…
「変身解除。」
彼の肩に腰を下ろした。
膝をペロッと舐められてどきりとする。
「やはりあなたは綺麗だ…甘い香りも…」
「ハグル様、」
膝に鼻をクンクンさせてすり寄るハグル様を語気を強めにして呼んでみた。
「あ、すまない。つい本能で…」
「皆さんに私を紹介してもらえますか?」
私が彼の鼻筋をスリスリ撫でると、彼は目を細めてコクンと頷いて皆さんを集めてくれました。
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