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2話 呪いの解放
しおりを挟む生死を彷徨う中…大樹の塔に住む黒猫の番が僕の部屋の窓に現れた。
「僕も先代みたいに亡くなるのかな…」
「可哀想な子…まだ諦めないで。」
「え?」
「あなたはまだ若い。私達は200年生きてるけど加護をいただいてるからまだ寿命は長いの…でも大樹様のためにお役に立てる貴方を生かせれば私達は本望なのよ…だから私達の力をあなたにあげる。」
「どうやって?どうして僕に?」
「聖樹様から許可を頂いて…魔法をかけていただいたの…可愛い我が子に似ているからかしら、残りの命をあげるならあなたにしたいと思っていたのよ?」
「いいの?」
「ええ。あなたが生きてたら、彼女が様子を見に来るかしら?その時は…どうなるかしら?あなたに幸運を、祈っています。」
僕の胸辺に乗った番の猫は白く光ると僕の中に消えた。まるで命が尽きて消滅したかのようで、彼らの生命の力をもらったことで、僕はごく普通の人ではなくなったように思えた。
僕の反応は間違いではなかったようで…僕は徐々に体力を回復してゆき数日後、猫達が話していたように、回復し始めた僕のもとに、黒い仔猫が現れた。
「何故生きている?」
黒い仔猫は枕元に現れ、ベッドに横になる僕を見下ろし叫ぶと、ベッドから飛び降りて人へと姿を変えた。
黒い仔猫は肩まで伸びた黒いサラサラの長い髪、黒いメイド服の…僕とあまり変わらない年齢に見えるとても綺麗な少女になった。
「ならばもう一度呪いを与えるまで。」
「させない!」
僕はベッドから起き上がり魔法陣を出現させた。
「風の盾!」
少女の放つ黒い剣は魔法陣によってできた見えない盾に弾かれ、少女は衝撃波により後ずさりした。
「僕はまだここに来たばかりなんだ!お役目のためにずっと窮屈な生活で…ようやく解放されて、ここでの生活を始めたばかりで死ぬなんて!2度もあんな思いしたくない!!」
僕は目に涙をためて叫んでいた。
大変だけど、ここでの生活は王都の生活より自由で…この塔の皆さんは、自分の力を評価してくれている…あの番の猫が活かしてくれたこの体にまた傷を付けさせたくないんだ!
「こんな事もうやめて!」
「心の掃除!」
僕は彼女の汚れた心をどうにかしたくて、魔法陣を出現させ…そう叫ぶと、魔法陣から現れた白く輝く光の粒の突風が彼女にぶつかって、彼女は呆然としてその突風を受け止めた。
彼女の体から黒い影が剥がれ消滅した。僕の魔法が彼女を操る呪いを解いたように思えた瞬間だった。
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