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第2章 淡雪の魔女の娘
4・第2章 エピローグ
しおりを挟むチュナは邸内客間に案内され、リナとベータと席について、ベータの兄が現れるのを待っていた。
先に現れたのは皇太子妃の兄で、現在バハード家の当主と妻。二人には子供がまだおらず、実の子のように、養子に迎えた息子リースンの事を嬉しそうに語っていた。
「僕です。入ります。」
リースンは扉を開け部屋に入った瞬間、リナとチュナは驚いた。
チュナは母と同じ白銀の髪を持つ少年の姿に驚き…リナは、同じ髪色と、その皇太子と似たキリッとした顔立ちに驚いた。
「リースン・バハードです。騎士の見習いをしています。今日は弟ベータのためにお越しくださりありがとうございます。」
リースンは騎士服を着たキラキラして見える綺麗な少年で、屋敷で身に付けたのだろう美しい所作に、さらに王族を意識させた。
********
私はこの客間に現れた少年に心を奪われた。頬が急に熱を持ち、もっと女性らしい装いにしてくれば良かったと後悔していると、隣に座るベータが私の変化に気づいてにやりとした。
「兄さん、リナさんは僕を家族に迎えてくれたよ、僕の妹のチュナはライドさんみたいな騎士になりたくて、今年騎士学校に入るんだ!」
「そうか、ベータ、皆さんに迷惑をかけないよう頑張るんだよ、君がライド先生の娘さん?学校のことで困った事があれば、いつでも聞くよ。」
(笑顔が…美しい!)
私は恥ずかしくて下を向いたまま椅子から立ち上がると深々と頭を下げた。
「あ、ありがとうございます!学校、がんばります!」
「チュナさん可愛いね。騎士学校の隣は総騎士団の訓練所があるから、僕はそこに大抵いるよ。親戚だとおもって頼ってくれたらいいから。」
「ああ、ユーイリ家も王家の遠縁にあたる。バハード家とも親戚のようなものだ。チュナさんさえ良ければ、リースンを頼ってください。」
バハード家の当主は柔らかな笑みをして、私はまた頭を下げ、席についた。
********
お昼はバハード家でごちそうになり、大人たちは会話に花が咲いていた。気づけば外は夕焼け空。で帰ることになり~帰り道、馬車で街まで送ってもらった私たちは、街で父ライドとスノーと合流して、行きと同じようにおっきくなったスノーに乗って辺境の地へと帰ったのでした。
騎士学校も楽しみだけど…またリースンさんに会えるかと思うと、私の心臓の鼓動は早くなり、ベータに笑われた。
「チュナ、良かったね。」
「うん!」
私たちは本当の兄弟みたいに笑いあった。
********
数ヶ月後。チュナは騎士学校へ入学し、寮暮らしとなり、休日にはスノーに乗って辺境の地へと戻り家族ですごした。
リナの助手としてベータは辺境の地へと薬を届けたり、森でリナと薬草探しをしたり、頼れる存在となって行き、リナは二人目をお腹に宿していたのでした。チュナが産まれてからもラブラブだったが、ベータが来たことで、ライドも子作りに頑張ってしまったと思われる。
今ではベータは、息子のようにライドにも頼られるようになっていました。
辺境の地の森のログハウスは昔と違い賑やかになり、いつも笑い声が耐えません。
ーおしまいー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここまで、お読みくださり、ありがとうございました。
◆yu-kie◆
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