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第2章・贄の花嫁【中】
悪夢?
しおりを挟む急に決まった結婚により…慎重になったマナは互いを理解しあえるまで…ライカを抱かないことを決め、ゆっくり二人の距離を縮めれたらと別々の寝室にしていた。
同じ職場にライカが配属され、一日中一緒に行動を共にする今も、それは変わらずにいた。理由はもうひとつある。マナが幼い頃にマナの母である后がいながら、何人もの花嫁を迎え、后から遠退いていった父である国王は后の異変に気づかず…后は急な病に陥り命を落とした。そんなこともあり、マナはお互いに惹かれ合うもの同士が伴侶になれたらと強くおもった。
《マナの夢の中》
( 二年ほど前…宮殿で暮らしていた頃、俺は勿論その空間では人間の姿で過ごしていて、后はすでに居なかったこの頃…遠慮なく、息子たちへの配慮もなく、国王は寝室に妃を入替り連れ込んでいて…ある日俺は部屋に呼ばれた。『お前もあと何年かすれば嫁をとれる年になる。繁殖の実践を学べ』そう言われて真剣にその場にいた。人間の姿の初老の父と初夜を迎えた若い人間の妃との素肌を交わらせる光景を吐き気に耐えながら見届けた。彼女は、故郷から無理矢理連れてこられて…それでも覚悟して来たのだろう、最初は恋する乙女のようだった恥じらう妃が次第に悲痛な声を発し苦痛の表情になり…俺は性への恐怖を抱いた。こんなのは間違ってる…国王は最低で変態だ。俺はああはならない。なってはいけない。俺はこの時自分に誓った。)
マナは寝室の暗闇の中…悪夢を見て息も荒く目が覚めた。過去の記憶の悪夢だった。現実に戻って来たことにホッとし、誰も居ない空間に安堵し泣き崩れていると…扉が静かに開く音がし、そこに現れた小さな少女は寝ているマナの顔に桃色の長い髪がかかるくらいの距離に近づきマナの頬を伝う涙を手で拭い、よしよしと頭を撫でた。紅い瞳を細めて、優しく微笑んだ。
「胸をお貸ししましょうか?」
ベッドの恥に座ったライカは白いナイトドレス姿で両手を広げると、気持ちが弱ったマナはむくりと上半身を起き上がらせ、その胸に顔を寄せればライカはギュッと抱き締めた。
マナの耳に響く小さな心音は心地よく…安堵し…しばしその小さなからだに身を預けたのだった。
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