白熊の獣騎士と贄の花嫁

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第1章・贄の花嫁【序】

贄・?

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 バイラー国は猛獣の国。白い熊の獣人が国を支配し、猛獣の獣人達を集め配下とした。

そんなバイラー国に、吸収された小国のリュクスから貢ぎ物が運ばれてきた。

 広間に並べられた宝石類と…生け贄として、楽しげに笑う娘が一人。

 獣王は他種族の妃を数名抱え…リュクスの王女を花嫁に打診していたのだが…王女は宰相の息子と熱愛中。断る変わりにと…王は悩んだ末、宰相に怒りをぶつけると…動物好きな夢みる少女が贄になると手をあげた。宰相の娘ライカ。16歳と思えない小さく可愛い娘は贄らしくきらびやかな箱に収まり箱が開くのをワクワクして待っていた。

 桃色の長い髪に白い肌、鮮やかな赤い瞳の少女はクリーム色のワンピースにピンクのリボンを腰に巻きプレゼントのように大きな蝶結びをした娘は、使いのもの達がふたを開けた瞬間、箱がパタパタと花が咲くように分裂して、中から勢いよく飛び出してきた。

 「ライカ・ハクアともうします。煮るなり焼くなり、ご自由に。」

 しかし、本心は贄になるきなど毛頭なく…冗談めいて笑いながらそう言う娘は、玉座の前でスカートの裾をつまみ、上品にお辞儀をした。

「贄を寄越すと聞いていたが…まさか人間の娘とは…気でも狂ったか?」

玉座の巨体の白熊の獣人王はあきれたように言えば、ライカは首をかしげて反論した。

「王女様の恋人は私の兄、ならば妹である私が身代わりに成ればと思い立候補しました。立場じょう嫁としてではなく贄として来るのが妥当かと…多少の兵力にはなるかと思います。」

 ライカは堂々とした声でそう告げれば、王は大笑いした。

 「そうまで言うなら兵として迎えてやろう。」

「はい。有り難き幸せ!」

「マナ、お前の隊につれて行け」

そこに現れた若い白熊の騎士マナはライカについてこいと手で合図し、ライカは王に再びお辞儀をし…広間から部隊の施設へとつれて行かれることになったのだった。
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