若き竜の王様の寵愛

yu-kie

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 お城の上空を旋回し、竜のカイ様は私をのせたまま、地上にゆっくり降りたった。

 兵や民たちが集まりだし、竜の背から降りた私は皆の歓声を浴びていた。

「竜王の花嫁様ばんざーい!」

観衆の中からそんな声が聞こえてきた。

 竜は人間のカイ様へと姿を変えて、私も翼を体内にしまい、気がつけば私の髪は紅く染まっていた。花嫁候補の力の目覚める可能性は低く、私の力の目覚めは凄いことみたいです。

「キキョウ、もう…私から離れないでほしい…君の心の準備があると思うが…私の年齢も若くはないからね…できれば早く君を花嫁に迎えたいと思っているんだ。」

「私で良いんですか?」

 私なんかで良いのだろうかと…不安になってしまって、そんな風に聞いてしまう。

「あの頃から、君に惹かれていたんだ。」

 私は観衆の前でギュッと抱き締められて、思わず抱き締め返していました。

「はい…。よろしくお願いいたします。」

 こうして私は観衆の前で、花嫁候補の発表をされ…離宮に花嫁候補として住むことになったのでした。


 +

 私の侍女時代は終わりを告げ、花嫁になるまでの間…私は離宮で結婚間近の婚約者として花嫁修行をみっちり身に付けることになったのでした。

 先生は侍女頭のセリエさん。離宮班班長クラリイさんと同期のお姉さまです。

毎日、朝昼晩二時間ずつ計六時間みっちり教育を受けるのでした。

(ひやあ~!頭がパンクしそうですっっ。)

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