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3 オバケちゃんの旅
しおりを挟むオバケちゃんはありがとうが言えない誰かのところに現れます。
亡くなった人の言えなかったありがとう。
人の言葉が話せない、小さな生き物のありがとう…
ある日、木の枝の巣から落ちたヒナが木の根もとに弱っていました。
散歩途中の小学生の男の子。
ヒナを拾いました。
見上げる木の枝。
落ちたヒナの兄弟ヒナの鳴き声がします。
男の子は木に登りました。
ヒナは胸のポッケにしまわれて…
巣に戻されたヒナ。
そこに親鳥が戻ってきて…
男の子が巣を荒らしに来たと思った親鳥。
くちばしを使って男の子を攻撃します。
男の子はしがみつく木から落ちてしまいました。
尻もちをついて
直ぐには動くことができません。
男の子は泣きながらゆっくり起き上がり帰ってゆきました。
『ママ。違うよ。』
『あの子は落ちた僕を助けてくれたの。』
『ひどいよ。』
『お礼も言えなかった。』
ヒナはしくしく泣いていました。
優しい男の子に
ありがとうが伝えられなくて
泣いていました。
「小さなヒナさん、どうしたの?」
オバケちゃんは、ヒナの泣く声に呼ばれるように現れました。
『ママがね僕を助けてくれた男の子にひどいことしちゃったの。』
「小さなヒナさん、変わりに小さなヒナさんのありがとうを伝えてあげるね。」
オバケちゃんはその日の夜、男の子の夢に現れました。
小さなヒナの姿で。
泣いている男の子の前に現れました。
「ママがごめんね。」
「キミはあの時助けたヒナ?」
「うん。助けてくれてありがとう。」
「え?」
「ありがとう。」
ありがとう。
ありがとう。
あのままだったら猫に食べられていたかもしれなかったんだ。
弱っていたから…
あのままだったら危なかったんだよ。
ありがとう。
ありがとう。
助けてくれてありがとう。
巣に戻してくれてありがとう。
ママにも話したから…
ママはもう攻撃しないよ。
怖がらないで。
キミは悪いことなんてしていないんだから。
キミは助けてくれた
良いことをしたの。
ありがとう。
優しいキミに
ありがとう。
これからも…
優しいキミでいてほしいな。
ありがとう。
ありがとう。
役目を終えたヒナの姿のオバケちゃんは夢から消えた。
新しい
ありがとうを直接伝えることができない誰かのもとへ
旅にでました。
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