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1話 伝書屋‥ハクジャ【始まり】
①
しおりを挟む白鷲一族で伝書屋を経営するのは一族の現在50歳の小柄な男、ルクニヤ。5代目の社長である。
彼の姪にあたるルクニヤの弟の娘ミナは今年15を迎えた。
この国では子供の頃から学校に通い教養を身につけ、15歳になるとそれぞれ進路を決める。
白鷲一族は何故か産まれる率は男性が高く、強くなる事に憧れる者たちは国を守るために騎士、兵士を目指すのはよくある事。
その中でも少数の女性の進路は様々で、大抵の者は貴族の屋敷に働きにでていたり、手紙の配達をする伝書屋に就職するかの2択が多く…
飛ぶことが好きなミナは伝書屋に就職を決めたのだった。
*****
白鷲一族のその姿は人。
背中にある2枚の翼は閉じた状態だと小さくなっている。
小柄なミナの小さな翼は一族の中でも綺麗な純白。そんな彼女の容姿は…アッシュグレーのマッシュルームカットの髪はふわふわ、黒いワンピに白いフリフリのエプロン姿と、守りたくなるような可憐な少女だ。
レンガ造りの大きな建物はミナの職場の伝書局である。
ミナが働き始めて1ヶ月目、伝書局の朝礼で皆の配達担当が発表されたのだった。
「これより、一部配達担当が増えたので発表する。」
「「ザワザワザワ」」
「静粛に!現在担当を持つ者の変更はない。さて…」
手紙を仕分けする長机が広い作業場の隅から隅まで伸び、並行するように低めの本棚が並ぶ。
その作業場の直ぐ側になにもないスペースがあり、そこに職員たちは整列。
前に立つ局長に呼ばれたミナ含む数名は順に担当を発表された。
「さて最後に辺境の領地パクテルより依頼がありました。ご指名がありました。先日担当していたナクの後任に…ミナ・ルイツアあなたに決まりました。」
「「ざわざわ…この前突然辞めたナクの後任って…事はあの冷血騎士に辺境伯の書簡を届ける役だぞ!」」
ベテラン職員たちが騒ぐ中、ミナは喜んで頷いた。
「はい。よろしくおねがいします。」
「ミナさん大丈夫なの?」
ベテラン職員たちが心配するなか…
ミナは不思議そうに首を傾げた。
「はい、伯爵様からのお手紙を届ける先は、昔からの友人ですから大丈夫です!だけど、重要なお手紙を届ける役目ですから、十分注意して伝書のお役目頑張ります!」
ミナはそうベテラン職員たちに答えると、両手に拳を作り自分に気合を入れた。
「友人っ?あの冷血騎士が?」
「「ざわざわ。」」
ベテラン職員たちはその言葉が信じがたく、複雑な心境に陥るのだった。
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