13 / 23
第2章【漆黒の騎士】
10
しおりを挟むマヤは退屈な毎日を過ごしていた。どこに行くのも警護が付いて…食べるものは毒がないかをみるために、魔法使い達が作った試験紙に浸して青く変わらないか確認され、チェックの済んだ料理を口にすることがようやくできる。そんな風に食事を終えたマヤは護衛をつれ部屋に戻った。
‡
コンコンとドアをノックする音のあと、第1王女ルールアと第2王女ミーリアが訪れた。
「マヤ、お話しましょう。」
ルールアの声で、マヤは扉を開け二人を部屋へと招き入れた。
「マヤ、婚約のお披露目会中止になってから…散々ね。新しい縫いぐるみあげるから元気を出して?」
ルールアは後ろに隠していた両手一杯のサイズの猫の縫いぐるみをマヤの前にスッと差し出した。
「嬉しい…でもおルールア姉様私もう子供じゃないです。」
マヤはもらった縫いぐるみをギュと抱き締めたまま苦笑いでルールアに訴えれば、隣にいたミーリアがクスクス笑った。
「言葉と行動が伴ってないですよ?」
「「あっ、」」
ルールアは縫いぐるみを大事に抱き締めるマヤの姿に気がつき、マヤも同様自分の現在の行動に苦笑いした。
‡
姉妹マヤの部屋で和んでいるなか…仕立てたドレスを着てみようと言うことに…3人だけの婚約発表の宴。
部屋に侍女を呼んで…お茶会が始まり…侍女にドレスを着付けてもらい…白いシーツを被ったマヤはふたりの前に出るとシーツを侍女に渡し、くるりと回ってみせた。
コバルトブルーのドレスには、白いレースの花が散りばめられ小柄なマヤはまるで妖精のよう。
「「きゃあー素敵!」」
姉二人は篭いっぱいの花びらをパッ!パッ!と空高く撒けば花吹雪のようにフワリフワリとマヤの頭上に降り注いだ。
いつまで続くのか…この生活に不安を抱きながらも…ささやかな楽しいひとときを過ごすのだった。
0
お気に入りに追加
231
あなたにおすすめの小説
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

【完結】身分違いの恋をしてしまいました
金峯蓮華
恋愛
ナターリエは可もなく不可もないありふれた容姿の男爵令嬢。なのになぜか第2王子に身染められてしまった。殿下のことはなんとも思っていないが、恋人にと望まれれば断ることなどできない。高位貴族の令嬢達に嫌がらせをされ、悪い噂を流されても殿下に迷惑をかけてはならないと耐える日々。殿下からも、高位貴族令嬢達からの嫌がらせからもやっと解放されると思っていた卒業祝いの夜会で事件は起こった。
作者の独自の異世界のファンタジー小説です。
誤字脱字ごめんなさい。
ご都合主義です。
のんびり更新予定です。
傷ましい表現があるのでR15をつけています。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
気が合わない許嫁同士だったはずなのに
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【喧嘩ばかりの許嫁同士がとった最終手段は……?】
子爵令嬢アメリア・ホワイトと同じく子爵令息ニコル・ブラウンは両家が決めた許嫁同士。互いに二十歳になった暁には結婚することが義務付けられていたのだが、この二人会えば喧嘩ばかりだった。そこでこの状況を打開すべく、アメリアはある行動を取ることに……
*他サイトでも投稿中
* 前後編のショートストーリーです
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

魔女に惚れた冷酷将官の求愛
yu-kie
恋愛
マルスーン国から隣の国ナハースへ派遣された魔女の娘は図書室の管理を任されることに派遣当日ナハースの中将に敵と思われ調べを受け…誤解は解けたが、そこから魔女の娘に関心を持ち出して…
* ・* ・ * ・ * ・* ・ *
『…』がやたらと多くなりまして、順に修正して行きました。タイトル後ろに*ついてます。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる