9 / 23
第1章【許嫁の始り】
6
しおりを挟む数日後…
マヤはある日王女として孤児院のお祭りに足を運んだ。姉たちは国内各地を回ることはよくあったが、マヤがそういったことをするのは初めて。
護衛の騎士をつれ馬車はマヤをのせて走りだし、施設へと到着した。
お祭りは、施設の小さな子供達によるダンス。マヤと年の近い子供達による合唱。イベントの最後はみんなでテーブルを囲んで彼らの精一杯のもてなしで差し出されたものを口にした。
帰るとき…施設にいたものだろうこの国には珍しい褐色の肌のみすぼらしい青年が今日のお礼だとごっそりマヤにプレゼントした。
「ご婚約おめでとうございます。子供達が作ったお菓子です。どうぞお召し上がりください。」
「ありがとうございます。」
受け取ると、青年は足早に人混みの中へと姿を消した。
「なにかしら、帰ったらみんなで食べようかしら、まず一個だけ食べてみよう!ふふふ。」
マヤは帰りの馬車の中で嬉しそうに木箱を開け…人の形の焼き菓子を手に取りひとつ口にしたのだった。
その直後、馬車は突然強く左右に揺れ出し、馬車の扉がふっ飛び、中から瑠璃色の毛色の小柄なメスの獅子が飛び出してきた。一度は立ち止まり…マヤの護衛の騎士の攻撃を軽々とかわすと、林の中へと姿を消した。
護衛の騎士達がマヤの安全を確かめるため馬車の中を覗けばそこには焼き菓子の入っている蓋の開いた木箱と食べかけの焼き菓子が床に転がっていた。
この日マヤは突如消え…そして、残された箱と焼き菓子は城へと届けられたのだった。マヤの残した唯一の手がかりとして…。
国中が大騒ぎになるなか…リュシンも呼ばれ、捜索に乗り出すことが決まった。
しばらくピッシュ国の城に滞在することになったリュシンは会議に参加し…手がかりとなる焼き菓子と箱からあることが判明したことを知る。
「箱には、白紙のメッセージカードが残されていました!」
不思議に思ったリュシンは兵の一人に火であぶるように指示をすると…そこには【リュシン・ザバスへの復讐である。】と書かれた文字が浮き上がっており、お菓子の成分に獣化の成分が含まれていることが判明したのであった。
0
お気に入りに追加
231
あなたにおすすめの小説

嘘をありがとう
七辻ゆゆ
恋愛
「まあ、なんて図々しいのでしょう」
おっとりとしていたはずの妻は、辛辣に言った。
「要するにあなた、貴族でいるために政略結婚はする。けれど女とは別れられない、ということですのね?」
妻は言う。女と別れなくてもいい、仕事と嘘をついて会いに行ってもいい。けれど。
「必ず私のところに帰ってきて、子どもをつくり、よい夫、よい父として振る舞いなさい。神に嘘をついたのだから、覚悟を決めて、その嘘を突き通しなさいませ」
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ


【完結】身分違いの恋をしてしまいました
金峯蓮華
恋愛
ナターリエは可もなく不可もないありふれた容姿の男爵令嬢。なのになぜか第2王子に身染められてしまった。殿下のことはなんとも思っていないが、恋人にと望まれれば断ることなどできない。高位貴族の令嬢達に嫌がらせをされ、悪い噂を流されても殿下に迷惑をかけてはならないと耐える日々。殿下からも、高位貴族令嬢達からの嫌がらせからもやっと解放されると思っていた卒業祝いの夜会で事件は起こった。
作者の独自の異世界のファンタジー小説です。
誤字脱字ごめんなさい。
ご都合主義です。
のんびり更新予定です。
傷ましい表現があるのでR15をつけています。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
気が合わない許嫁同士だったはずなのに
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【喧嘩ばかりの許嫁同士がとった最終手段は……?】
子爵令嬢アメリア・ホワイトと同じく子爵令息ニコル・ブラウンは両家が決めた許嫁同士。互いに二十歳になった暁には結婚することが義務付けられていたのだが、この二人会えば喧嘩ばかりだった。そこでこの状況を打開すべく、アメリアはある行動を取ることに……
*他サイトでも投稿中
* 前後編のショートストーリーです
僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

魔女に惚れた冷酷将官の求愛
yu-kie
恋愛
マルスーン国から隣の国ナハースへ派遣された魔女の娘は図書室の管理を任されることに派遣当日ナハースの中将に敵と思われ調べを受け…誤解は解けたが、そこから魔女の娘に関心を持ち出して…
* ・* ・ * ・ * ・* ・ *
『…』がやたらと多くなりまして、順に修正して行きました。タイトル後ろに*ついてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる