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第二部 約束と目覚め
絵に潜む気配 3
しおりを挟む目の前の狼頭の人物は…私達を見て魔王の器とそう言った。私からは…魔王の印を感じ取っているかもしれないし、シュアンさんは私と婚約の契約を交わしてるから…私とシュアンさんのどちらかを狙ってるとしか思えない。
シュアンさんは鬼神と言われるだけあって、その目つきは獲物を狙う獣のよう。殺気に満ち、その横顔を見ているだけでぞくりとする。
「皆をもとに戻してもらおうか?」
「さあ、私の催眠術が効かないとは…聖女の祝福を受けているのは本当のようですね。厄介だ…。」
クリス・サシュアと紹介されていた狼頭のその人物は…獣の様な手を伸ばして刃のような爪を伸ばしこちらに向かってきた。
「主に似た…邪悪なお方は抹消いたしましょう。」
狼頭のクリス・サシュアは地面を蹴り次の瞬間空宙に舞い上がって急降下、シュアンさんの剣がそれを交わし、次の瞬間から攻防戦が始まって…私はふと絵に潜む気配が気になって目を向けると…絵画の魔王ルセの瞳がぐにゃりと歪んでまるで笑っているように見えた。
『そうか…感じるぞ…我が与えた印の気配を。いくら聖女の祝福の印で覆っていようが…16歳を迎えたお前からは…力が溢れ出している。』
「なっ」
私の脳に直に語りかけるのは紛れもない前世の父の声だった。
懐かしく…思いつつ、恐怖が心を支配してゆく。
魔王に与えられた印がこの時を待っていたみたいに…私を拘束しようと闇の力が鎖のように伸びて私を覆って、聖女ノアの祝福がそれを拒もうと鎖を断ち切り、また鎖が繋がって…の繰り返しが続き、私はなんとかこの危機的状況を打開するために考えを巡らせたのでした。
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