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第一部 婚約と契約
帰還の前の夜 1
しおりを挟む私は無事に儀式を済ませ聖塔を去るとき、聖女ノア様に言われたことがある。
『あなたの魂の印を無理やり引き出し、私を介して聖なる契約を交わしました。その為魂の本来の能力が少しの刺激で目覚めるはずです。前世は魔族だったあなたの力は邪悪なものでしたが、現世は人間…あなたの環境に影響されるものになるでしょう。ですが、むやみに使わないよう。身を守るときに使いなさい。あなたの幸せを祈っています。』
現在ゲストハウスに戻り、部屋で侍女メイサの用意してくれた美味しいお茶を飲みながら一日を振り返り思いに浸っていると、ゲストハウスの入口が騒がしくなり、ゲストハウスの管理人ピナ・クリップが私のいる部屋の扉の前で私を呼んでいました。
「ガーベラお嬢様、お休みの所申し訳ございません。本日の件でご挨拶に我がサーライス邸の皆様が起こしです。下のお部屋まで来ていただけますでしょうか。」
私はメイサと下の部屋、リビングルームに向かうと、サーライス邸に来た日の夜にご挨拶したシュアンさんのお父様とお母様、シュアンさん、二人のお兄様もご一緒でした。
「お疲れのところすまない、急な事だったかと…理由はどうであれ、我が息子との婚約を感謝いたします。日を改めバレシア様のご家族に挨拶に参ります。これはサーライス家からのご挨拶の品、領地にお戻りの際にお持ちください。」
シュアンさんのお父様の言葉の後、執事とピナさんが持ってきた、リボンのついたいくつかの箱に驚いた。
「私はどうすれば…」
気持ちが追いつかない私を前にシュアンさんがご家族の前にでて私の真ん前に立ち止まり、いつもの強張った表情のまま言葉を発したのでした。
「ガーベラ嬢、儀式の延長線のものだからもらってくれますか?荷物は明日私が乗せます。ご心配することはありません。」
「そうなんですね、私には持ちきれないから焦ってしまいました。」
「いつものガーベラ嬢のままで大丈夫です。」
「はい。シュアンさんは優しいですね。」
すると、シュアンさんの顔が赤くなってそれを隠すように顔をそむけてしまいました。
「ガーベラ様は優しいかたですね。シュアンにこうも優しく接っしてくださるとは…」
シュアンさんのお母様の安堵する声に私はスカートの裾を少しつまみ、お辞儀をしたあと、ゆっくりとご家族へと視線を向けると、笑顔の皆さんの中に一人だけ仮面のように感情を隠した笑顔の人にきがついた。
クド・サーライス様、シュアンさんをよく思っていないと思われるシュアンさんのお兄様でした。
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