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第1章兎暮し《初》

転移魔法を使います。

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 蒼白い衣装は魔法使いを示す制服のよう。上着を脱ぎかけて連れてこられた細身の青年と、倍の体格の鍛えられたリャフス…二人とも白に近い金色の髪に青い瞳を輝かせ、リャフスの瞳は格段に透き通ってみえた。

その時、つい過去に聞いた話を思い出していた。

◆◆◆

 私は森で迷い力尽き亡くなった兵から一度聞いたことがあった。

『これは僕の恋人なんだよ、戦地でぼくをかばって…』

 息絶える前に、私を見て気を緩めた彼は恋人だと見せたカードに浮かぶ一人の男性の姿に驚愕した…明らかに…その兵と同じ性別に思えたのだ…。

 ◆◆◆

「リャフスはそいつの恋人か?」

「「はあ?」」

「違うの?」

「女にしか興味はない‼」

 そして彼の手が私を捕まえる…大きな片手に一掴みだ。

 丸くなった手のひらは柔らく、優しく兎を握り、指の隙間から、毛が、短い尻尾が、ひときわ開いた指の間からは顔と耳がぴょこっと飛び出し…てをプルプルさせたリャフスは途端に顔に緩みが生じた。

「可愛い!」

兎のリーシャはリャフスを目一杯睨んでいるが効果無く、背後でメイスと呼ばれる青年が腹を抱えて口を抑えて必死に笑いを耐えていた。

「転移の円陣を描くから…」

彼は新しいステッキをてに床をなぞると…なぞった部分が光を放つ。

「装備は大丈夫?」

「軽装だが剣も持っているから短時間なら大丈夫だ。」

メイスはにんまり笑い、円陣へ入るようにリャフスを促し、円陣に入るとメイスは小さく言語として聞き取れない呪文を唱え、私たちは瞬間移動し、リャフスの部屋は円陣の黒く焦げた床を残して無人になった。
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