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しおりを挟むハデル一行がやっできたのは、王宮から少し離れた場所にある剣士の訓練塔。塔の責任者は蒼炎の騎士団長…リアーナ国第二王子ハデル。
訓練塔の名は蒼の塔。
塔にはハデル専用の邸宅もあり、王宮に出入りしていないときは普段この邸宅で生活している。
儀式を待つ間、ミントはこの場所で待機する事になった。
先導するハデル一行が訓練塔の門前に止まれば大きな門の扉は開かれた。
「我が塔へようこそ。ミント嬢。」
後に続く竜に乗るミントに向かい、ハデルはそう告げた。
「はい!」
ミントは要塞の様な塀に囲まれたその門前、その先にあるだろう未知の空間にワクワクが止まらなかった。
「主~今の主に向けた言葉でしょ?やっぱり距離あるよね?もっと近くで言う言葉じゃないかなぁ~、だって婚約者なんだよ?」
「そう?」
「うん。」
「はあ~主が不満じゃないならいっか。」
竜は大きなため息の後、速度を早め後を追った。
❖
ミント達は蒼の塔の敷地に入ると乗ってきた馬と竜を大きな獣舎に預け…騎士達は訓練所の宿舎へ。
ミントはここまで運んだグルを労った。
「グル疲れたでしょ?しばらくはハデル様の所にお世話になるから獣舎にいてね。」
「グルルル、分かった。でもずっとは退屈だから主は毎日僕のお散歩に付き合ってね。」
「ええ。」
「ミント嬢、」
「お迎えだ!主様距離縮めなきゃ。仲良くしてきてね。」
「うん。」
鎧姿ではない騎士服のハデルがミントを迎えに現れた。
ミントは竜のグルと手を振りその場から離れると、迎えに来たハデルの方へと駆け寄った。
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