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しおりを挟むミントは1ヶ月眠り続け、その期間、ハデルは赤爪の片翼団に同行し辺境のクステム領内の魔境を見回っていた。
襲撃する魔獣や野盗を容赦なく倒し、その活躍はリアーナの狂犬と呼ばれるハデルの呼び名そのままで…命を奪うその剣さばきに赤爪の片翼団の1団の中には恐怖を覚えるものもいるほどだった。
ミントが目覚めないと何度か知らせを受け…ハデルは成長が止まり呪われていると噂されるミントが、もしかしたら内に秘めていた聖なる力を無理に引き出したがために、生死を彷徨っているのではないかと不安を抱いた。
その不安を消そうと必死になっていた。
赤爪の片翼団は2回目の遠征から戻ると報告等のために領主の邸へと訪れた。
ハデルの辺境滞在も終わる数日前、ミントが目覚めた事もあり領主の邸で滞在最後の晩餐が開かれた。
招かれたハデルは鎧姿ではなく正装をして席につき領主とその家族の食事の席にミントは最後に現れた。
その姿はもう1歳ほど成長した姿だった。年齢よりかは少しだけ幼く見えるが、きっと本来あるべき成長した姿がそこにはあり、今日は水色のワンピースを身に着け、少しだけ伸びた髪は肩に流れるように降ろされていた。
「ハデル様、私の体調を気にかけてくださったと父から聞いています。ご心配をおかけしてすみません。」
「いや…また成長されたようですね。」
「はい、ハデル様が来てくださったお陰かもしれませんね。」
「えっ…?」
ミントは侍女に椅子を引かれ座るように促され座ると、領主は口を開いた。
「偶然かもしれませんが、昔娘は聖なる力がある子として神殿にゆきました。あの時は力を使えず帰ってきましたが聖なる力がアンデッドドラゴンに効くかもしれないと、昔の記憶をたどり、ハデル殿下とアンデッドドラゴンを倒せたようです。」
「報告は聞いています。私も幼い頃、神殿で蒼炎の騎士の力を授かり…あの日1人だけ帰された子がミント嬢だったようですね。」
「ええ。もしもあの時力を引き出せていたら…娘は神殿に今も仕えて、殿下との婚約も無かったのかもしれません。」
「ですが何故あの時、力を引き出せなかったのでしょうか。」
「長きに渡る調査で理由はわかりました。」
「では」
「ええ…お話ししましょう。」
ハデルは静かにその言葉に耳を傾けるのだった。
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