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しおりを挟む辺境のクステム領に点在する魔境と呼ばれる場所の1つ、暗黒の森は今…アンデッドドラゴンの復活が始まっていた。
500年に1度天空の赤い月と青い月の重なる時にそれは起きるとされ、暗黒の森は魔獣の活動も盛んになり赤爪の片翼団も調査に…今回はミントと婚約をしたハデルも自身の騎士団である蒼炎の騎士団の者たちを連れているため、一行は大所帯となっていた。
先頭を進む赤爪の片翼団の偵察部隊は各々手なづけた魔獣の背に乗り周辺の危険に気を配り先を進み、続くは積み荷の馬車と、一団を乗せた荷馬車。
並走するのは赤爪の片翼団の凄腕達を乗せ赤毛の馬の1団と、蒼炎の騎士団を乗せる黒毛馬の1団。
ミントはその中でも先頭を進む偵察部隊の若い竜の背に乗り空を旋回していた。
「姫様、今回は今までより危険です。単独行動は避けてください。せめて地上へ!!」
赤爪の片翼団の世話役、副団長は空を飛ぶ竜に呼びかければ、ミントは竜を操作し、地上へと着地した。
「片目の竜を手懐けるとは…」
ハデルは兜の中よりミントの様子に関心を寄せると、ハデルの側にいた、同行していたサウス伯爵の側近に説明をうけた。
「魔獣の巣には竜が住むのですが…姫が倒した竜は、幼い竜を食べるところでした。魔獣は核を取り入れ更に強くなります。共食いによりその力を得ようとする者も少なくないのです。」
「ふむ。」
「姫は優しいお方、助けた代わりに、倒した竜の瘴気を全身に受けたのです。あの竜は、あれ以来姫に懐いてしまいまして、姫の稽古の成果もあり強く賢い竜になりました。」
ミントは憧れるハデルが視界に入ると竜の背から手を振った。
「殿下、姫様はこの辺境で暮らす限り…王都のご令嬢方のようになれません。ありのままの姫様をどうか受け入れていただきたい。」
「…そうか。」
「すみません、出過ぎたことを申しました。」
「貴殿は姫の成長を見てきたのだろう、出過ぎた事だとは思わない。」
側近は一礼し、ハデルから少し距離をとり、一行は先を進んだ。
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