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しおりを挟む大陸の国リーアナ国、その国はとても強く、周辺諸国からも恐れられ…第二王子はリーアナの狂犬と呼ばれ恐れられていた。
彼の名はハデル。外交に不向きなその性格はその役割には向いていると言ってもよいのかもしれない。
ハデルは20歳を迎え、敵国の侵入を防いできた辺境の領地、クステム領を治めるサウス伯爵の末娘と婚約を結ぶことになり、この日王都よりはるばる辺境の地へとやっできたのだった。
❖
蒼炎の甲冑に身を包むハデルは黒馬に乗り数名の騎士を連れて辺境伯の屋敷へと到着した。
「殿下が到着した。ミントは何処に?」
「主様…姫は、また修行かと。」
「なに?」
領主サウスの側近は顔面蒼白にサウスに耳打ちすれば、サウスは深い溜め息を漏らした。
「客間にて待っていただきなさい。」
「はい。」
側近は慌ただしく席を外すとハデルを客間へと案内にとんでいった。
❖
客間に通されたハデルは兜を外し椅子に腰掛けると…お茶を運ぶ侍女と共に部屋へ入った騎士の身なりの少年に目を留めた。
「はじめまして。私はサウス伯爵の末の子供、ミントと申します。この度は辺境の地まで足をお運びくださりありがとうございます。」
「伯爵の子供か。」
「はい。殿下のご活躍はこの地まで聞こえてきています。尊敬する殿下にお会いできて嬉しゅうございます。」
「そうか、婚約者殿はまだみえないようだな。」
「へ?おりますが…もうすぐ父も参りますので少しお待ちください。」
「うむ。」
ミントの目に止まる兜のしたのハデルの表情は強面で…鋭い眼差しは常に警戒をしていた。
白銀の短い髪はサラサラと風に靡き、ミントの興味はハデルへと集中していた。
「待っている間、稽古をつけようか?」
「良いのですか?」
ミントは思わず笑顔になる中、侍女は慌てるように部屋を出た。
客間の隅の何も無い空間に移動した2人は剣の打ち合いをはじめ…
最中、慌ただしく扉が開け放たれた。
「ミント!」
「姫様!」
慌てるように部屋にきた領主と側近の声に、ハデルとミントの剣はとまった。
「殿下、我が娘がご無礼を…」
「娘と…?」
ハデルはミントに目を向け首を傾げた。
「はい。手合わせありがとうございました。婚約者のミントでございます。一応18歳でございます。ああ、良く少年と間違われてますので気になさらないでください。」
「18歳?」
「はい。成長が何故か止まっているんです。」
「そうなのか…」
ハデルの前で笑顔を向ける騎士服姿の少年にも見える、水色の髪を束ねた可愛らしい少女は確かに辺境の地を守る伯爵の子として剣の腕を磨いてきたのだと…ハデルはミントに興味をいだいたのだった。
「婚約者殿、長い付き合いになると思う。よろしく頼む。」
「はい。」
ハデルはミントの背丈に合わせるように体を屈ませ、ミントの手を取り言葉をかわした。
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