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6章〔家族の絆とその行き先。〕
ギーナの祖父のお葬式。
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それは静寂の中行われた。
ギル様は冷静に受け入れていて、駆けつけたギル様の兄家族は領主らしく堂々とされ威厳に満ち、葬儀の間も参列した方々に挨拶をされ、それはそれはしっかりされたかただと感心した。
ギーナはお行儀良くできて合格点!
私は魔女の姿だが、黒い服は闇魔女の象徴。
だけどこう言うときは役に立つ。
しかし、シャラ様が居なければ私は今、ギーナを産むこともここで豊かな暮らしをすることもなかっただろう。
「おじいさま、どうかあちらでおばあまに会えますように。」
優しいギーナは手にもつ白いユリの花をシャラ様の棺に納め、家族が次々に思いでの品を入れていった。
「ララ、君もお花を入れてあげて。」
私は抱きしめてくれるギル様からユリの花を渡され、最後に一人、花を棺に納めた。
シャラ様の眠る胸の辺りに…。
そして私は国王からいただいた女神の加護が込められた魔石に願いを込めた。
「シャラ様来世があなたにとって素晴らしいものとなりますように。そして、私をギル様と繋げて下さりありがとうございました。」
泣いたこともない私の頬に目からこぼれ落ちた雫が数滴。
ギル様は人目を憚らず私の唇にその唇を優しく重ねた。
「お父様はお母様が大好きなんだね。」
ギーナに冷やかされギル様は唇を離して微笑んだ。
「いいだろ。」
私を懐に埋まるように抱きしめたまま、ギーナを見下ろし夫婦仲を自慢した。
か、顔が!胸に密着しすぎて息できん!
私はジタバタしだして、ギル様がギーナに怒られ、そのやり取りが葬儀の悲しみに満ちた空気を和まして行った。
私は本当に幸福者です。今も貴方と家族が私に愛情を注いでくれるんですから。
シャラ様、私が生きている間、この家族は私が守って参ります。命あるかぎり。
ギル様は冷静に受け入れていて、駆けつけたギル様の兄家族は領主らしく堂々とされ威厳に満ち、葬儀の間も参列した方々に挨拶をされ、それはそれはしっかりされたかただと感心した。
ギーナはお行儀良くできて合格点!
私は魔女の姿だが、黒い服は闇魔女の象徴。
だけどこう言うときは役に立つ。
しかし、シャラ様が居なければ私は今、ギーナを産むこともここで豊かな暮らしをすることもなかっただろう。
「おじいさま、どうかあちらでおばあまに会えますように。」
優しいギーナは手にもつ白いユリの花をシャラ様の棺に納め、家族が次々に思いでの品を入れていった。
「ララ、君もお花を入れてあげて。」
私は抱きしめてくれるギル様からユリの花を渡され、最後に一人、花を棺に納めた。
シャラ様の眠る胸の辺りに…。
そして私は国王からいただいた女神の加護が込められた魔石に願いを込めた。
「シャラ様来世があなたにとって素晴らしいものとなりますように。そして、私をギル様と繋げて下さりありがとうございました。」
泣いたこともない私の頬に目からこぼれ落ちた雫が数滴。
ギル様は人目を憚らず私の唇にその唇を優しく重ねた。
「お父様はお母様が大好きなんだね。」
ギーナに冷やかされギル様は唇を離して微笑んだ。
「いいだろ。」
私を懐に埋まるように抱きしめたまま、ギーナを見下ろし夫婦仲を自慢した。
か、顔が!胸に密着しすぎて息できん!
私はジタバタしだして、ギル様がギーナに怒られ、そのやり取りが葬儀の悲しみに満ちた空気を和まして行った。
私は本当に幸福者です。今も貴方と家族が私に愛情を注いでくれるんですから。
シャラ様、私が生きている間、この家族は私が守って参ります。命あるかぎり。
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