竜騎士は魔女猫を溺愛中。

yu-kie

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2章〔竜騎士ギルと魔女猫の距離。〕

空っぽの器と魔女猫。2

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「リュイさんあくまでもまだ憶測です。彼女の病弱の状態にもよりますが、激しい運動をすると命の危険はないのでしょうか?心臓が弱ければ、体を支配され暴れたのであれば本体の負荷は激しかったものと思われます。健康な方であれはこの療養施設でしばらく休めばよいかもしれませんが…」

リュイ様は息をのみ…私の言おうとすることを読み取ったようで、一緒についてきていた男性(こちらの施設に連れてきた人)に檻の中の女性の家族を呼ぶよう告げ、男性はわかりましたと一階にあがった。

「すでに体力の限界が来ていたなら霊はすでになく、空っぽの器の霊のあった場所に闇から生まれたものがへばりついてたならいつまでも彼女はこのままだと思います。」

「解った。彼女の体からそれは取り出せるの?」

「やってみます。なのでちょっと魔女に戻ります。」

私の体はみるみるうちに人間の姿になる。漆黒の長い髪を靡かせ紫紺の瞳がギラリ。檻のなかにはいれば再び鍵がかけられ私と彼女の二人きりとなった。

「ララさん、無茶はしないでくださいね。1時間だけそのままにしますが、それ以上は危険なので貴女を連れ出します。」

「わかりました。」

私は檻で暴れる彼女の邪悪を探った。少女からは鼓動はなく、完全に霊の去った空の器に別のものが(闇の者が)住み着いていた。タイムリミットは一時間。中のものと接触を試みた。

〈猫女!裏切りもの!変態!バケモノ!なにしに来た!〉

少女の中で罵倒する器に隠れた闇の者の声がした。

〈へ、変態?猫女?心外だな!いつまで少女に粘り付いてるんだ!〉

〈我の勝手であろ!お前にとやかく言われたくないわ~!〉

〈なによ~!未練たらしく少女の体に執着して、お前こそ変態か!〉

私は怒り心頭、言って、言われて、言い返して、その繰り返し。

少女と見つめ合い抱き締めあったような状態で互いにしかわからない闇の言葉で口論をした。

一時間そうしていたら、リュイ様に少女からは引き剥がされて…引き摺られる様に檻を出た。

ハハハ。闇の者と口論がこうも続くものかと笑いが止まらない。

さて、二回戦に向けて作戦を練らないとね。

「ララさん、彼女の家族がそろそろ着くかと思います。現状の報告や彼女の最初の体調のことなど聞いてみましょう。」

檻からでた私はこくんと頷き再び猫に戻った。

「この姿の方がご家族も警戒しないと思うんで猫でいますね~。」

リュイ様は苦笑いでそうだねと言うと私を抱っこして一階へとあがった。

ん~リュイ様の抱き心地も良いですね~女の子の匂いがしますよ~安心する~。

私はしばし彼女の腕の中を堪能したのでした。
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