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1章〔記憶を戻した自分のその先。〕
ギル様の夜の遊び。
しおりを挟む今日はギル様が仲間達と花街へと繰り出す日。夕刻、仲間と待ち合わせて華やかな夜の街へと繰り出した。
花街の行きつけのお店で、お気に入りの女性にギル様が、私のことを話したらしい。
そんなこともありお相手が私に会いたいと言ってくださり今日は私も連れてきてもらったわけである。
花街の女性はいい匂いがし、お肌の手入れも抜かりない。
「噂のねこちゃんね。可愛い!」
「そうだろ、最近人間の言葉も理解し出したんだ。賢いこだ!」
「おやおや、溺愛されて羨ましい。」
女性が私をはぐした。
「にゃ~ん。」
ご主人のためにも愛嬌を振り撒く私。
(後で誉めてもらおっ)
…だが女は腹黒かった。ご主人を気持ちよ~く楽しませ、部屋を後にする彼女を少し愛嬌を振り撒いて近寄ってみた。
「おやおや、私にまで愛されたいなんて…愚かなねこちゃんね。あまりしつこいと、踏みつけるわよ。」
(えっ?こわっ!)
この人そんなひとだったんだ。ん~ってことはご主人様を虜にしてどうする気なんだろうか、嫁はいらないと宣言してる方だし。ご主人様は気持ちよく眠ってるからもう少しこの人の観察をしてみようかな?
彼女は次なる客の部屋にはいり、何やら周りを気にしてドアを閉めた。
私は透し魔法を発動させてドアに張り付き透し見た。
※一応話し声も聞こえます。
位の高そうなお客だな?高価な服を着ている。
「抜かりないようだな。」
「はいシクス様。私はあなただけのもの、裏切りはいたしません。ふふふ。ギル様が目覚めたらあれを実行致しますね。」
毒薬だろうか…小さな薬瓶を取り出した女性。
「ああ。成功したら妾にしてやろう。」
「嬉しっ。」
ヤバイぞ、ヤバイぞ!ご主人様が危ない!
私は通路を駆け抜け主が眠る部屋に戻った。
「起きて!ご主人様!ギル様!」
私の声で何事かむくりと起きたギル様に、私は声をかけるが猫の私ではなくどこかにいる人の声と思ったか、キョロキョロ。
「わたしです!あなたのペットのララです。」
私は彼にさっき見たもののことを伝えた。
彼は私の言うことならと信じてくれて早々に身支度して女が戻る前に会計を済ませて店を出た。
どうやら彼女にそこまで夢中なわけではなかったよう。人間の感情って難しい。まあ、私の言うことを信じてくれる時点で私への愛の方が勝ったかと思えば誇らしい。彼らのギル様への嫌がらせがあったなら、あの二人の顔を知る私がギル様を守らねばと心に誓った。
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