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11 団長の護衛 no.①
しおりを挟むあれから一週間、遠征もなく騎士たちは施設で鍛練に励んでいた。そんなある日、ルカは食堂に呼び出され、琥珀色の短い髪型の総料理長、総騎士団長の前に、面接するように座らされていた。
「火炎騎士団での活躍は団長ライドから聞いている。副団長も君を高く評価しているし、この際、料理人と護衛をかけもってはどうだろうか。」
総騎士団長の言葉にルカは首をかしげた。
「私は騎士じゃなく料理人ですが?」
総騎士団長の話は続いた。
「魔法学校での君の基礎魔法は獣化した際足の爪を強化させることに特化していると聞く。それはどんなことかい?」
「武器が使えないため足を強化させ、爪を凶器として、そのときに応じて爪に変化を与えています。」
ルカはうまい言葉が見つからず、思ったまま目の前の総騎士団長に告げれば、彼は満足げにルカを見つめた。
「それだよ。先日は相手の攻撃を防ぐために爪を立て腕の動きを塞ぎ傷を負わせたと報告を受けている。君ならあれ以上のこともできたのではないかな?」
「手加減はしました。あの時それでも反抗するならもっと強化のレベルを上げようかと考えてはいましたね。」
ルカは当時の事を思いだし空を見上げるようにしてうん、うん、うん。と頷いていた。
「では、騎士の遠征では団長の護衛と、料理人を掛け持ちでお願いしますね。」
「は…はい。」
二人の見えない圧力に、ルカは渋々うなずいた。
「本業は料理人です。団長は指揮を執るぶん敵に狙われやすい。団員全員とは言わないし、頼まない。君の本業が怠ってはいけないからね。いいかい?」
「はい。」
ルカはようやく納得し、明るく言葉を返したのだった。
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