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ルイの旅立ちとその後の二人の話
16 旅立ちの前日
しおりを挟むルイが家をでて行く前日の夜。
夜の食卓で、ルイが思いきって話始めた。
「ジンさん、グリアさんお二人は結婚指輪つけないんですか?」
この場にいない二人の幼子はパルと入浴中。そのため、食卓にはグリアとジンとルイがいて、グリアは不思議そうに首をかしげた。
「ああ、私の国ではそんな習慣はなかったからな。ジンは私に合わせてくれているんだ。」
「ジンさん、この機会に考えてみてください。」
「ルイはどうしてそんなことを話したんだ?」
「森に遺跡泥棒を預かりにいつも来る騎士のかたからパルさんがプロポーズをうけていたのを見てしまったんです。」
「ああ、昨日パルが喜んでたな。」
「ええ。だから思うんです。ジンさんはグリアさんを溺愛されてるから…」
ルイは顔を紅くしてうつむいた。
「二人は私の憧れなんです。お互いを信頼していて…私を厄介者にせず家族みたいに扱ってくれた。」
「考えとくよ。」
ジンは立ちあがりルイの頭をくしゃりと撫でた。
グリアは特に気にすることなく、ルイの頭を撫で、こっちへおいでと手招きをした。
「ルイ、私の研究部屋についといで。」
「はい!」
ルイはグリアの毎日こもる薬づくりの部屋に入れば、草花の匂いがして、草むらにいるような気分になった。
ルイが室内をキョロキョロしていると、グリアは机の引出しを開け使い古した本をルイに渡した。
「餞別だ、薬づくりに役立つだろう私の弟子を名乗って魔女でもするか?」
「私は魔導士ですよ?」
「いい。好きに使って。ルイはよくやってくれたよ、私が保証する。ルイなら大変な場所でもやって行ける。寂しくなったら…否、会いたくなったらいつでも来なさい。ルイは私達の家族なんだから。」
「はい!グリアさん~!」
ルイは受け取った本を大事そうに抱き締め、グリアがそんなルイをまるで母親が我が子を抱き締めるように…小さな体を包み込むように抱き締めた。
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