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白猫魔女の愛妻・捜索の話

10 捜索 Ⅱ

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 グリアは檻の中でただの猫を装い泣き続けた。

     **

 彼女は遺跡の地下通路入ってすぐの場所に遺跡泥棒を見つけ、すみに隠れ様子を見ていると、男たちは魔導士の話を始めた。

「力はあるのにジン・スハンはお人好しだな。」
「ははは。お陰で報酬は二人で山分けできた。この短剣は魔力をすいとるんだと、ジン・スハンの隙をついて突いてやったら効果てきめんだった。」

 黒づくめの小さな男は腰に提げる短剣を取り出し笑いながら先を進んだ。

「それはどこで手に入れたんだ?」

 ヒョロヒョロの背の高い黒づくめの男は同じスピードで歩みを進め不思議そうにくと、小柄な男は笑いながら答えた。

「森を抜けた先にある泉の神殿に飾ってあったのをいただいたものさ。」

「へぇ~。けっこう難関だと聞いたぞ?」

「実はジン・スハンはその時から雇っていたんだ。あいつにかかれば簡単に、罠をかわして手にいれられた。」

「ヒデー奴だな、お前は。」
「騙された方が悪い。」 
「お前とは古い付き合いだが俺も気を付けなきゃな。」

 男たちは笑いながら穴奥へと向かうなか、グリアは短剣の話を聞き取れなかったが、ジンに深傷を負わせた二人組だと確信した。

(ちょっとからかってやるか。)

 グリアは心の中で呪文を唱えた。グリアの影が物体化し、猫から巨体の黒い狼へと姿を変え、グリアは狼へ合図を送り走り始めた。

「ふにゃああ~!!」

 グリアは追いかける狼から逃げるように男たちへ向け走った。

 男たちは驚き振り返り、小柄な男は得意気に腰の短剣を抜き振りかざしヒョロヒョロの背の高い男が魔法を唱えれば、小柄な男は風にのり、狼へ急接近して短剣を突き刺せば、狼は魔力を吸われ、消滅した。

 厳密にはグリアの影に戻ったが、二人の男は獣を倒したと得意気に笑い、駆け寄るグリアに興味を抱いた。

「珍しい。額に四つ葉の模様がある白い猫なんて…貴族に高値で売れるぞ?」

 ヒョロヒョロの背の高い男はグリアの首の皮をつまんでケタケタと笑い、魔法で動物の檻を出現させ、グリアを檻へと閉じ込めた。

「悪く思うなよ。お前は俺たちの役に立ってもらう。だが、今はここの遺跡にあるお宝探しが先だ、いいこにしてろよ。」

 小さな檻の上に付いた持ち手を握ったヒョロヒョロの背の高い男は小柄な男と穴の奥へと向かい歩き始めた。

 グリアは檻の中で鳴き始めた。

 彼らの耳には悲しく泣いているように聞こえているが、グリアは猫語で森の獣達を呼び寄せていた。

 グリアの役目は森の遺跡を守ること。

 その方法はグリアに任されていて、時に獣を呼び寄せ、彼らに侵入者を襲わせることもあり、今のグリアはその方法をとろうとしていた。

 やがて遺跡の地下通路の入り口が騒がしくなり、ぐるぐると唸る獣の群れが地を蹴り奥へと奥へと接近し、遺跡の財宝を目の前にした二人の男はあわてふためき、群れにグリアの入った檻をぶつけ逃げ、魔法や短剣を使い獣を排除し、深傷を追いながらもと来た道を必死に進んだ。

 グリアは檻からくすくす笑いながらその光景を見て、魔法で檻からでようとした瞬間。魔力が檻に吸われ出れないことに焦り始めた。

 男達を追い地上へと走り去る獣達と、足を止めグリアに興味を向ける獣が現れ、グリアは身の危険を感じ、檻の中でとっさに脳裏に浮かんだのは、最愛の夫ジンの名だった。

「ジン!ジン!ジーン!!」

 獣は鋭い爪を伸ばした前足を檻の中へ一斉に差し込む瞬間、地上から肌を切り裂くような竜巻がおき、獣達を排除した。

 息絶えた獣達を掻き分けて、汚れた檻をてにしたのは革の手袋をしたローブ姿の人物だった。

「無茶するな、うちの奥さんは。」

 ローブの人物はフードを外し、にんまり笑うと、檻の扉を容易く開け、白猫のグリアを取り出し、ぎゅっとその腕の中に埋まるように抱き締めた。

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