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しおりを挟むお昼に女子会を終えた真由は、友達二人を見送ると、電車にのり、二駅先の以前いた我が家の近くへとやってきた。
「響ちゃんのバイクかな?」
佐崎家の近くまで着き、目にはいったのは玄関前に停まるバイク。
今はお昼の3時、真由は家の真ん前にたどり着くと玄関横のインターホンを押した。
「おや、可愛いお客さんじゃな…久しぶりだね真由ちゃん」
玄関に現れたのは佐崎家の祖父だった。
言われるままに迎えられてあがった真由は居間で佐崎家の祖父とテレビを見ることに…
「響はもうすぐ帰ってくる頃じゃないかなあ~、電話してみようかのぉ?」
真由は慌てて、自分のスマホを取り出した。
「大丈夫です!自分でかけてみます。」
そしてスマホの発信ボタンを押せば…スマホの向こうでプルプルプルと音のあと、留守電につながった。
「真由です!あの…近くまで来たからお家に来てます!会えませんか?もう少しだけ待たせてもらいます。」
真由は慌てるように留守電にメッセージを残した。
しかし、折り返しの電話もなく、6時になり、真由は暗くなった夜道を帰ることにした。
外に出て、佐崎家の隣にあったはずの以前住んでいた我が家は取り壊されて更地になり、アパートの建設予定の看板が張り出されていた。
真由はそれをしばらく見つめたあと、夜道を歩き始めた。
懐かしい道、楽しい思いでと共に思い出されたのは、教室の行き帰り背後からの不審な気配に怯えた昔。
暗くなるまで待っても響は帰ってくることも折り返しの電話もない。不安が彼女の体を支配していった。
小さく可愛い人形のような少女は立ち止まり、駆けてくる足音に足がすくみ…震えが止まらなくなってしゃがみこんだ。
(くるんじゃなかった。ここを通れば嫌でも思い出しちゃう!忘れたくてもやっぱり、この場所に来ると、体が思い出してしまう。もう大丈夫だって思ってたのに…)
「響ちゃあ~ん!ぐすん。ぐすん。響ちゃんに会いたかっただけなのに!なんでっ、何でっ。」
近づく足音は真由の真後ろで止まり、真由は震えるてでスマホ画面から響の電話番号を表示させて、通話ボタンを押していた。
「チャラララ~」
真後ろから聞こえる着信音に真由は固まり、電話にでた響の声が背後と耳にあてたスマホから反響するように間近に聞こえた。
「悪い!真由、誠に呼ばれて出かけてて電話に気づかなくて。って何で丸くなってる?」
真由は泣きべそをかきながら振り返れば佐崎響の姿があった。
「はわあわあ~生の響ちゃんだ。やっと会えた…もう、あってくれないかと思ってたよ?」
真由はしゃがみこんだまま泣きながら訴え、響は頭を抱え、何度か真由からの連絡を受けていたことを思い出して青ざめたのだった。
「…ごめんな、俺仕事の日は余裕無いからメール見て自己完結してた。今日は誠に呼ばれてて、言い訳にしかならないな。はあ~、ほんとっごめん。」
「私は響ちゃんのなあに?交際とか…ねぇ、デート…いつまで待てばいいの?」
真由は泣きじゃくり、響は真由をギュッと強く抱き締めていた。
「すまん!最初は本当にデート誘えると思ってたんだけど…余裕なかった!次の休みにデートしよう。な?」
真由は泣きながら響の家の前まで戻るとヘルメットをつけられた。
「バイクのって?送ってく。」
「…うん。」
響は後ろに真由をのせ、自分もヘルメットをつけるとバイクのエンジンをかけ真由の自宅マンションまで走らせた。
こうしてようやく二人の恋は動き始めたのだった。
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