5 / 9
5
しおりを挟む数日後の平日…学校から帰ってきた真由はこの日4時からピアノ教室があり、藍色の短いスカートに白のブラウスに着替えて家を出た。
隣の家の響の部屋に目を向けるのが習慣になった真由は最近受験に向けて忙しくなる年頃の響の部屋へ遊びに行く機会も減っていた。
「はあ~。お母さんにも控えるように言われてるけど…我慢我慢!」
真由は両頬を両手で覆い顔をパチパチと軽く叩いて気合いをいれ、教室へと向かった。
もうじき教室も…高校受験に向けて塾通いをするため両立できなくなる。次の発表会で真由はピアノ教室を卒業するため、発表会に向けての練習も多くなっていた。
教室が終われば外も暗くなる時間。真由は急ぎ足で帰宅した。家にはいる真由は最近、誰かにつけられている気がしていたが、特に気にする事なく…何事もなく数日が過ぎた。
+
〇〇文化センターのホール。
日曜のこの日、真由は発表会に来ていた。
ホールの客席には春田家の夫婦と隣の家の佐崎家の響も一緒にいた。
春田 父「響くん、悪いね~娘の発表会に来てもらって。娘がいつも世話になってるから是非娘の晴れ姿をみてほしくてね。」
響「はあ~。俺詳しくないんで寝ちゃったらすみません。」
春田 母「その時は、後で撮影したの見せてあげるから。安心してね。フフフ。」
響「えっ、は…はあ。」
響は春田夫妻にタジタジになりながら足を伸ばし席で緊張しながら、真由の番が来るのを待ったのだった。
ピアノ教室の発表参加者が順に演奏をして行くのを、うとうとしながら聞いて行くなか…真由の順番がきて、騒ぎだした夫妻に気付いて目を見開かせた。
舞台に現れた真由は淡いピンクのドレスワンピース。髪はおろしたまま、両サイドの髪を後ろにピンクのシュシュで束ねられ、見た目も可愛い真由は、ドレスで更に際立っていた。
(か、可愛い…高校生になったら真由のやつ…美人になるぞ!)
響は心臓を高鳴らせて、前のめりにしてピアノの演奏に耳を傾けた。軽やかなテンポから始まり…ゆったりとした優しい旋律に響はまた寝落ちしそうになりかけたが、全身を使い鍵盤を弾きながら演奏する真由の姿は楽しそうで、時折会場をみて笑顔を向ける余裕もあり、響はその姿と音色に引き込まれ、観客も静かに聞き入っていた。
演奏が終わり、真由は立ちあがり舞台の端にたては、友人二人が花束を真由に渡し…20代の見たことのある男が続いて花束を真由に手渡した。
「あ、あなた!四年前の不法侵入者!」
春田・母が父に訴える叫び声て辺りは騒然とし、遅れて警備員が現れた。
真由は犯人の顔を知らないため花束を受け取り
「ありがとうございます」
と答え
「ようやく真由ちゃんと目を合わせれた…僕の真由。」
男の言葉に真由は顔を青ざめた。
辺りが騒がしくなり、男は慌てるようにその場を去り、真由は花束をお落とすと、その場にしゃがみこんでしまい、本日の発表会開催者が慌てて真由をつれて舞台から裏方へとさがったのだった。
男はあっけなく捕まったが、真由は控え室で横になり、両親と響は心配して駆けつけた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
15
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる