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しおりを挟む〈きっかけ〉
二人の距離が縮まったのは、真由が小学4年の時のこと。ピアノ教室の帰り道、夕暮れ時に、真由は後ろから追いかけられる日々を送っていた。
両親は共働きで、家にはまだ誰も帰っていない時間帯。隣の家に住んでいる4歳ほど歳上の当時中学2年の響は、学校帰り、幼馴染みの誠と達也と寄り道をしながらの遅い帰り道、響の家の前で3人は帰宅してきた真由を見た。
家に入るのを電柱の陰で見ていた不審な20歳くらいの男がいた。
誠「あれ、やばくないか?」
達也「あ!お隣さん可愛いよな~変態か?」
響「さあ、」
その時の響は、特に気にしている風もなく…
(そのうち飽きるだろ?気持ち悪いな。)
そんな風に思っていた次の日。真由が帰宅する時間、誰もいないはずの、お隣の真由の部屋からおとがしていた。
響は午後からさぼり帰宅して…昼寝をしていたのだが、聞こえないはずの隣の家の様子がわかる、ベランダ越しに向かい合う部屋の窓には、大きな人影が見えた。
(やばくないか?)
窓が向かい合って、自分の部屋も相手に見えると感じた響はベッドから滑るように床に降り、匍匐前進(腹這いになり腕を使った動作)で道路側が見える窓に向かい、案の定、ピアノ教室から帰宅する真由が見えた。
(何とかして行かせないようにしないと!)
自分の部屋の道路側にある窓を小さく開けて、響は真由に手を振り、おいでおいでと手招きし、自分の家の玄関を指差した。
真由はおろおろと立ち尽くし…
「したに行くか、」
響は隣の家の窓から見えないように隣接している窓から身を隠すように匍匐前進で部屋を出て、下の階に向かえば、一階の居間に祖父がテレビを見ており、響は祖父に声をかけた。
「じいちゃん、お隣、泥坊入ってったみたいだから、警察に電話して。」
響は急ぎ足で外に出て真由を抱き抱えて佐崎家に連れてきた。
「お、お兄ちゃんなに?え?」
「お前最近、変なやつに付けられてたろ?」
「う…ん。もしかして…?」
「さっき人影が見えたから。」
居間に来れば祖父が警察に通報したところだった。
「可愛いおきゃくさんじゃなあ~」
「は、はじめまして、春田真由です。」
真由は響の祖父に丁寧にお辞儀をし、響の手をギュッとにぎった。
「もうすぐ警察来るから、待ってて。」
「ご両親にも連絡しないとなあ~、真由ちゃんご両親の連絡先教えてくれるか?」
真由に祖父は両親の連絡先を聞いて電話を掛け、真由はその間、響に最近つけられていたことを正直に話し…泣いた。警察も到着して、真由の部屋のクローゼットに身を隠し真由の帰宅を待つ犯人が発見され、捕まった。
その日から、佐崎家はお隣、春田家との繋がりを深めていったのだった。
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