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+ 第 3 章 + 潜入
no.10
しおりを挟む《誘拐犯主犯者・おびき寄せ作戦》
その作戦に選ばれたのは自警団になったばかりの魔法使いの子供達。
団長たちはその力と容姿が知れ渡っているため作戦には適していない。その為作戦のリーダーには素顔が知られていない、(普段から素顔を隠して過ごしている)西の団長、ミヤ・ルシファーが選ばれた。
発表の後…作戦に選ばれた団員達を残して各団は通常任務へと散らばる中、西の自警団は団長不在となるため集まっていた。そこで…養成所卒業者のベータを代理にたてることにしたのだった。
「俺?」
「ベータ…しっかりしてよ、私も協力するから、ミヤ団長の不在中の任務をしっかりこなしましょ?」
「痛たっ!」
双子の姉ビオラはベータの背を力いっぱい叩き、ミヤはフードの下から少し顔を出すと申し訳なさそうにペコリと頭を下げた。
「私が不在の間よろしくお願いします。」
「団長、可愛いから気を付けてね。ユマちゃんも、頑張って。」
「はい。」
ビオラはミヤをギュッと抱きしめ、続いてユマを抱きしめた。
「アクトスさんも何か!」
ハルトはアクトスの手を引きミヤの前にアクトスを立たせると、アクトスは目の前でアクトスを見上げるミヤに手を差し伸べた。
「自警団はこんなことまでするのか…」
ミヤのフードの上からそっと撫でるアクトスは怒りを耐えるように声を震わせていた。
「アクトスさん、普段はないですよこんな事。特殊任務です。それに…自警団の未来にも関わる事ですから私達の手でなんとかしなくてはいけないんです。私達の力を利用し国を害する者達がいることを私達は許しません。」
ミヤは、この自警団の発足に深く関わる人物、人一倍領地を守る事に情熱を注いでいる。見た目はまだ幼く危なっかしい子供だが。
「あなたの危機には飛んでゆきます。」
アクトスは灰色狼の頭部が描かれたブローチをミヤに手渡した。
「変装したらそれを身に着けてください。」
アクトスはそしてミヤの被るフードを少しだけずらしてミヤの素顔が現れると頬にキスをし、再びミヤのフードを深く被せた。
「あ、アクトスさん!」
「お許しください。気を付けて…」
「ハルト~行くぞ、団長!ユマ!頑張れよ!俺たちも頑張るからなっ!」
アクトスはハルトに手を引かれ、少し離れた場所で待つビオラとベータ達の元へ来ると、彼らと共にミヤに小さく手を振った。その尻尾は寂しそうに下を向いて小さく揺れていたのだった…。
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