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+ 第 1 章 +
no.6
しおりを挟む翌日、私は日常の生活に戻ったのだけど…この日の報告会に来て、いつもと違うのだと実感した。
《魔法協会養成所併設の講堂の報告会。》
「本日は国王陛下の命により視察に来られた使者の方々を紹介する。」
最前列に座る東西南北の団長の一人である私は常にフードをしっかり被っているのに、私の瞳は言うことを効かずにいて…その目は教壇に並んでる騎士の先頭に立つアクトスさんを捉えていた。
勿論恥ずかしさは増すのだけど、気になってしまって…挙げ句彼と目がバッチリ合ってしまって、私は思わずミニ薔薇を放出していた。
「ひゃっ。」
私は思わず両手で顔を覆ったまま、なんとか報告会を終えることができた。
講堂を出た私達西の自警団メンバーの前に、アクトスさんが現れ、私に急接近。団員達は何故だが歓迎ムード。
「「騎士様、今日より2週間よろしくお願いします。」」
私の右手を握って隣を歩くアクトスさんに仲間たちはニコニコしながらそう言っている光景を目にしながら私は人攫いの男達を捉えた日のことを思わず思い出してしまった。
《あの日犯人を役所に引き渡して魔法協会に報告してる間、ずっと私はみんなに冷やかされたのだ。クールな団長でいようと、団長らしくと、いつも気をつけていたのに…私の日頃の努力が泡になって消えてしまった気がしたのでした。》
「クールな団長でいたかっのに。」
私は移動中思わず溢れた言葉に、先を歩く団員達が振り返りニコリと笑顔を向けた。
「いやいや、最初から可愛い我々の団長ですよ~」
後輩ハルトの言葉に、私は少しだけ腹が立ってしまった。
「団長を可愛いなんて言わないで!」
私は怒ったつもりなのに、未だに皆ニコニコしていた。
「だって、今も仲良く手をつないでるじゃないですか…プロポーズした騎士様と。」
私はごく自然に差し出された手を繋いでいたのを、仲間たちはまた可愛いと騒いで、この日の巡回は落ち着かなくて、余計に疲労感が増して…
道中ふと隣にいるアクトスさんの尻尾を見ると…フサフサの尻尾は元気よく揺れていた。
今日から2週間、視察に来ているアクトスさん含む騎士達は各団長に付いて自警団の活動に同行する。アクトスさんは私達西の自警団に付くことになったのでした。
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