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+ 序 章 +
no.3
しおりを挟む孤児院に向かう不審な男達を追うと、小さな古びた孤児院から施設の職員の服を着た男が一人、肩に大きな袋を担いで出てきた所。続いてもう一人。
塀に隠れ様子を見ていた私達は職員の服を着た二人を含む計5人を包囲した。
「自警団です。最近孤児院から子供が攫われていると報告を受けています。その袋の確認のご協力お願いします。」
私はフードを少しだけずらして彼らを視界に捉えながら優しく伝えると、袋を地面において男達はこちらに飛びかかってきました。
「総員戦闘態勢につけ!」
「「了解!」」
西の自警団は剣士“ハルト・リタン”は背が高い私より1歳下の少年、私より2つ歳上の槍使いの女性“ビオラ・ラトゥー”と、こちらも2つ歳上の攻撃専門の魔法使いの男性“ベータ・ラトゥー”、彼らは双子。もう一人は1歳年下の魔法使い“ユマ・ヒアル”彼女も背が高いので、見た目私が最年少に見えるかもっと言った感じです。私達はやむなく彼等の攻撃に立ち向かうことにしました。
双方5人組なため一対一での戦闘になり、私は手短に一人を拘束するために魔法を発動した。
「鞭100発!」
私は地面を蹴り、塀の上に着地。そして手の痣から薔薇のトゲトゲの長い茎を高速で伸ばして相手めがけ振り下ろした。
「バチバチバチ!」
「ひっ痛いっ!」
難なく一人拘束して私は塀から降り、地面に置かれたもぞもぞ動く袋を2つ順に開けると、予想どうり2つの袋から子供が顔を出した。
「子供達を確認!誘拐犯を確保へ!」
私は孤児院の庭に生える樹木と心を通わせると、根が土からボコボコと無数に出現すると子供たちを囲むように大きな籠へと姿を変えた。
「犯人を確保するから待っていてね。」
「「えっぐ、えっぐ…はい。」」
子供達は籠で大人しく待っています。多分まだ怯えているのだと思う。誘拐されて変なところへ売れたらら…考えたくない事を考えそうになっちゃう。そう思うと私は彼らを許せなかった。
ふと仲間たちに加勢し残りの4人も拘束して、私は樹木に心を通わせた。
「もう大丈夫だよ、ありがとう。」
籠を作った樹木の根はうねうねと器用に動き籠の網目は解かれ地面へと戻ってゆき、ようやく施設内から職員たちが異変に気づいて現れ、子供達は保護されたのでした。
私はホッとして仲間たちのもとに戻ると、施設の塀の外側でこちらを見ている見たことのある騎士たちを目にしました。
「人狼騎士達だよ?」
ハルトの言葉が聞こえたのか、騎士たちが馬に乗ったままこちらに近づいてきた。
何故だが真っ直ぐ私の前に来て馬を留めた人狼の騎士は馬から降りると、私はありえない光景を目にしたのです。
「あなたの匂いに引き寄せられて参りました。私の名はアクトス・リュシエ、人狼の騎士…あなたの名を教えてくれませんか?」
「えっ、私はミヤ・ルシファー自警団の西の団長です。」
私は恥ずかしくて両手でフードを目一杯引っ張って自分の視界に人狼騎士アクトスさんが見えないようにしたら…
「あなたの素顔を見せてもらえませんか?」
「な、なぜですか?」
私はフードを掴む手の震えを抑えながら答えたら、アクトスさんが間近に来てこちらを覗き込むようにしたから、私は諦めて目をつむったままフードを外すと、アクトスさんは私の震えるてを握って言いました。
「ありがとうございます。もういいですよ。どうしても確かめたかったのです。無理を言ってすみませんでした。」
私の瞼の奥は光を浴びて明るかったのに、アクトスさんがそう言うと、瞼の奥は真っ暗になっていました。
恐る恐る目を開けると私はフードを被っていました。
「あの…どうして?」
私は背を向けたアクトスさんの騎士服の端を思わず掴んで見上げると、彼と視線がバッチリ合ってしまった。
「あなたに運命を感じたのです。」
「運命?」
「ええ、あなたを番に迎えると決めました。」
「無理です!」
私は思わず即答した。だって何も知らない相手に番だなんて言われても…困ってしまう。
「突然言われ困らせてしまいましたね。」
「えっ…」
「私はしつこいんです。それでは、ミヤ嬢。私はこれで失礼します。」
私はアクトスさんの服から手を離し、彼は馬に乗るとそのまま仲間達と去って行きました。
私…彼の番に?番って何?意味深な言葉なのは確かよね…父様に帰ったら聞いてみよう。
この後私は西の自警団の仲間から質問攻めを受けることになるのでした。
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