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13話。
しおりを挟むキュンが家出をして、王都のシュガーのもとに知らせが届いたのは翌日の夕方だった。
魔獣が街を走り回れば人目につき、狩られる確率は高く、しかし、シュガーがそのあとに聞いた知らせからも、そんな話は出てこず、キュンが王都へ向かったかもしれないと、街を囲む塀の門番から聞いた話がシュガーのもとに届いていた。
シュガーが討伐隊に加わる前は、毎日キュンにのり門を出入りしていたため、人馴れしているキュンは門番とも面識があった。
あの日、キュンは誰も連れず一匹で門へと来た。門のあたりをうろうろして、愛嬌を振り撒き、塀の隅でじっとしていた。領地の外から来た行商人の馬車が来て、門番が通行許可をし、門が開くと同時に、キュンは知らないうちに門から消えていたのだとか。
自分の部屋にいたシュガーは報告を受け、飛び出していた。キュンの家出を聞いたリヤージュもシュガーの部屋へと訪ねて来たところ。
「シュガー、聞いたか?」
「はい。キュンが領地から出れば、危険な魔獣と間違われてしまいます!」
「そうだな。あいつには悪いことした。キュンを迎えに行こう。」
「はい。」
リヤージュはシュガーのてをとり走っていた。
外に出て、愛馬の白馬に乗ったリヤージュは馬の足元にいるシュガーの手をとり引き寄せ、シュガーはリヤージュの背中側へと飛び乗った。馬は前足を宙に浮かせ、空気を掻くように勢いをつけ、地に足をつけると鼻息を荒くし走り出した。
*
キュンは匂いをたどり、王都近くまでやって来た。シュガーはいくつか街を抜け王都に来ていたため、キュンも同じ経路をたどり、途中までは夜の移動だったため、人目につかずにいたのだが、今は日が登り人も沢山行き交う時間。キュンの姿を見つけた人々は混乱し、自警団が駆けつけ、キュンは慌てるようにして走り去った。
キュンは悲しくて、逃げ切りかけ上がった丘、主を思い悲痛な声で鳴いた。
魔獣の討伐隊に見つかり、キュンは攻撃を交わしながら擦り傷を増やし走った。
疲れてしゃがみこんだとき、遠くから大好きな人の呼ぶ声がした。
「キュン、キュン!」
走り疲れお腹も減ったキュンはその声が間近まで来て、キュンの探し求めていた人だと確認できると、ホッとしたのか、そのまま眠り始めたのだった。
「おいてきてごめんねキュン。頑張って来てくれたのね。よしよし。」
暖かい主に抱き締められ、キュンはシュガーに保護された。討伐隊と合流したシュガーとリヤージュは荷馬車にキュンをのせ、再び王都へと戻ったのだった。
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