獅子騎士と小さな許嫁

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獅子騎士と小さな花嫁編(1)

32.

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 <昔のお話>

 クアーズ国王は昔…后を迎える一年前に国を守る赤い髪の魔女の誘惑により魔女と数度…逢瀬を重ねたという。

 クアーズ国王が后を迎えた頃…魔女は子を産み…后の目につかぬよう…王都から離れ国の境にある森にひっそり暮らしたと言う。


<現在ナクシス国>

 クランはハミン国の両親と共にナクシス国の王宮の庭でハミン国からは誰を呼ぶか…等々話し合いも終え、ラパスを加えての話も一応終わったのでまた、任務のために…クランは城の外まで見送ろうと一緒に席をたった。

「では、部下に任せたままですので私はこれで。」

「私は見送ってきます。」

 二人で城の扉に向かい…ラパスは出迎えた部下が連れてきた馬にまたがり…クランがラパスたちが出て行くのを見送るなか…ふわりと生暖かな風が吹き、クランの乳白色の長い髪が風に靡く。

「ふふふ。見つけた。」

 狼の獣を従えた黒い頭巾、黒いワンピースの少女がそこにいた。

 ラパスは真っ先にその異変に気付き…馬の歩みを止め、一緒にいた部下に仲間に知らせるよう伝え…クランに間近に迫る赤い髪の魔女と呼ばれる少女のもとへとむかった。

 クランが振り返れば…黒い頭巾の少女はすり寄る狼の獣の鼻筋をなで…頭巾をずらし…その顔をクランの前に現した。

「…ん~どなた?」

 クランは警戒心ゼロの状態で、目の前のそれに首をかしげ…互いに距離を縮めていった。

「クラン!それから離れろ!」

 ラパスは咄嗟に腰に下げた剣の柄を握り…鞘から剣を引き抜き…

「お前がルーシか?我が名はラパス!なを答えろ!」

「へぇ~クランちゃんの旦那はおっかないね。ええ、私がルーシよ!どんな噂がちまたに流れてるのかしら?クスクス。」

 クランは思いだしたかのように、表情がパッと明るくなった。その時…ラパスの剣先がルーシに斬りつけられようとし、ルーシが狼の獣に飛び付き狼の獣は空を舞った。

 振り下ろした剣は地面に刺さり…ラパスは剣を抜くと…クランの前に守るように身構えた。

「ラパス様…私…彼女を知っています。お話させてください。」

「危険だ!ルーシ、何が目的だ!」

「クランちゃんの旦那はおっかないね~私の目的は…ふふふ。」

  ルーシは狼の背中にまたがり、二人の周りを円を書くように走り続け、狼はラパスめがけて襲いかかり、その背から飛び降りたルーシはクランに飛び付いたのだった。


  
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