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獅子騎士の恋編(1)
18.
しおりを挟むラパスは現在、遠征先の拠点としている領地の屋敷と騎士や兵士たちの待機させている各所に呼ばれたり調査にと行き来している。
誕生日を迎える2日前のこの日…辺りを見回せる丘の上から数名の騎士を引き連れ馬上から朝日を前に目を細め…クランの笑顔を思い出していた。
「ああ、早く帰って抱き締めたい…」
なぜか思い出す感触は、モフモフだった。そして魔力で盾を発動させたクランの姿を思いだし苦笑い。そしてラパス達は馬を走らせた。
騎士団の司令部の拠点になる…山を隔てた場所にある領地グーミの屋敷にて総騎士団長は今回駆り出された各騎士団や各歩兵部隊からの情報収集と今後について兵団隊長らと話し合いをしていた。
そこへ王都からの馬車が到着し…丁度戻ってきたラパスがその馬車を目にして駆けつけた。
「クラン王女は…」
馬車は止まり、名から現れたのは図書館管理補佐の1人ヤイバ・スーリア。ラパスは思わずヤイバを睨むようにして馬から降りた。
「あ、どーも!クラン様じゃなくてすみませんね。仕事仲間のヤイバです。姫様は外出は危険なんで来てませんよ~。」
ラパスはため息をつき…
「そうだったな。」
そう言い…冷静になると…ヤイバから目をそらし、司令部にむかってあるきだした。
「ラパス王子っ!待ってください!預かってるものが…」
ヤイバはポケットからクランから預かった袋を取り出し渡そうとして…つまずいた。
袋は宙をふわりとまった。
「やべっ!」
袋は地面に落ちかけ宙を浮遊し…ふわりふわりと引き寄せられるようにラパスの手元に着地した。
「クラン王女から…か?」
袋にはクランの名が刺繍してあり、ラパスは紐をほどいた。
中に入っていたのは白い毛皮を細くカットした布で編み上げたブレスレット。そしてメッセージカードが一緒に入っており、ラパスはゆっくり噛み締めるように心の中で読み上げた。
『親愛なるラパス・ナクシス様。お仕事が大変だと聞いております。あなたへのプレゼントをヤイバさんにお願いしました。これは私の魔力を込めてあります、非常時にあなたを守るので腕につけてください。あなたの無事の帰還をお祈りしています。クラン・ハミンより。』
ラパスは胸がキュンキュン締め付けられて…顔を紅くし空を見上げ…口を固く結び、幸せを噛み締めた。
(クラン…なんて優しい子なんだ。クランの手作り…手づくり…。)
ラパスの脳内は数秒…お花畑が広がり…そこに妖精のようにふわりふわりとクスクス笑いながら駆けるクランの姿があった。
普段笑わず獅子騎士と言われるほどに恐れられるあの騎士が歳よりも幼くみえる婚約者に思いを馳せる様子は周りのものを戸惑わせた。
「わっめっちゃ喜んでる。」
苦笑いしたヤイバは馬車から本を持ちだし、同行した騎士たちも残りの本を持ち、皆…ラパスをみないようにして司令部へと足早にむかった。
ラパスは大事そうにそれを腕につけ、冷静になると…後を追うように司令部へと歩き始めた。
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