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第4章 聖女の近侍、ラネル
11,やっぱりおかしいのでは?
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ラネルはその後しばらく、マッサージとはこんなにいいものだったのか、マッサージを受けた甲斐があったと思っていた。
そしてクラリスと会うと、
「あら? ラネル、なんだか少し顔が明るいわ。なにかあったのかしら?」
「え、ええ。タツシ様のマッサージが効いたようで。なんでも血行が良くなるようにと全身をマッサージしてくださいましたから……。」
「ええーそうなの……。私は肩とか腰だけだったのになぁー。」
「クラリス様、まだここは人もいるんですから俗語は慎んでください。」
「おほほ、失礼いたしましたわ。」
「それは貴族のご令嬢です。」
なんやかんやと言いながらクラリスは次の仕事場へ向かい、それにラネルも案内する。
クラリスが患者を治療している間、ラネルは徐々に徐々に疑問を抱き始めた。
(そういえばさっきのマッサージって、かなり際どいところをされていたんじゃ……)
実際には完全にアウトだが。
(あんなことって、やっていいの? でも、有名なマッサージ店の、しかも店長が変なことをするわけない……わよね。
でも、なんだか今になって恥ずかしくなってきてきましたね……。次回はあんなことしないように頼もうかしら。)
そんなことを思うラネル。だがまた少し時間が経った後に気づく。
(待って!? クラリス様にもあんなことしてたのかしら!? 私はあの辺、すでに経験があるからいいけれどもクラリス様は全く知らないわ!
そんな状態でマッサージを受けたら、きっと恥ずかしくて恥ずかしくて大変なことに……。
ちょっと、これは私がどうこうというより、クラリス様を守るためにもタツシ様にしっかりお話ししないと。)
翌朝、完全に頭がクリアーな状態で考えると、どう考えてもやっぱりあれは犯罪に値する行為なのではないかと思い始める。
(勇者様だから完全に信用しきっていたけれど、あんなことするようじゃとてもクラリス様を任せることなんてできないわ。
次回私に似たようなことをしたら即座に記録を残して、それを憲兵団に持っていきましょう。
クラリス様には申し訳ないけれど、それも身のためですね……。)
ここでラネルは昨日のマッサージを思い出してしまった。
わずかながら下腹部が温かくなってきてしまう。
(やっぱり憲兵団に持っていくのは止めようかしら。クラリス様に出張するのだけは止めてもらって……。そうすれば――)
今後自分一人でマッサージ店に行けば楽しめる、という感情が沸き上がってきたがそれは心の奥底で引き止められ、心の声にすらならなかった。
さらに翌日、どうしたもんかと悩んでいても進まないと思い、ひとまずクラリスに警告だけしておくラネル。
「クラリス様、非常に申し上げにくいのですが、やはりあまりタツシ様を呼ぶのはよくないかと……。」
「どうして?」
「いえ、タツシ様は男性ですし、やはり聖女様に万が一のことがあっては……と思うと、どうしても安全とは言えないかと。」
「そんな……。タツシさんのマッサージ、気持ちいいのに……。あれをやってもらってから私、本当に勉強が捗るようになったのよ?」
「それではタツシ様ではない別の方をお呼びしましょう。」
「い、いや、そんな…………。」
クラリスはひどく悲しそうな顔をする。それを見かねたラネルは諦めて言った。
「分かりました。では来週もタツシ様を迎えましょう。ですが決して私が見ているところ以外では触れ合わないでくださいね……?」
「はい……。」
クラリスは納得のいかない表情のままうなずいた。
クラリスからしてみれば、せっかく勇者にきもちいいマッサージをしてもらっていたのにいきなり危ないからやめろと言われたように感じる。
彼女はタツシから一切卑猥なことをされていないのだ。
それだけに心の中での葛藤は大きい。
(まあ、クラリス様が変なことをされたらその瞬間にとっ捕まえて憲兵団に差し出しましょう。あの顔見せられてはそれ以上のことはできないわ。)
ラネルはその方針で行くことに決定したようだ。
そんなこんなで一週間を迎えた。
「ようこそお越しくださいました。タツシ様。」
そしてクラリスと会うと、
「あら? ラネル、なんだか少し顔が明るいわ。なにかあったのかしら?」
「え、ええ。タツシ様のマッサージが効いたようで。なんでも血行が良くなるようにと全身をマッサージしてくださいましたから……。」
「ええーそうなの……。私は肩とか腰だけだったのになぁー。」
「クラリス様、まだここは人もいるんですから俗語は慎んでください。」
「おほほ、失礼いたしましたわ。」
「それは貴族のご令嬢です。」
なんやかんやと言いながらクラリスは次の仕事場へ向かい、それにラネルも案内する。
クラリスが患者を治療している間、ラネルは徐々に徐々に疑問を抱き始めた。
(そういえばさっきのマッサージって、かなり際どいところをされていたんじゃ……)
実際には完全にアウトだが。
(あんなことって、やっていいの? でも、有名なマッサージ店の、しかも店長が変なことをするわけない……わよね。
でも、なんだか今になって恥ずかしくなってきてきましたね……。次回はあんなことしないように頼もうかしら。)
そんなことを思うラネル。だがまた少し時間が経った後に気づく。
(待って!? クラリス様にもあんなことしてたのかしら!? 私はあの辺、すでに経験があるからいいけれどもクラリス様は全く知らないわ!
そんな状態でマッサージを受けたら、きっと恥ずかしくて恥ずかしくて大変なことに……。
ちょっと、これは私がどうこうというより、クラリス様を守るためにもタツシ様にしっかりお話ししないと。)
翌朝、完全に頭がクリアーな状態で考えると、どう考えてもやっぱりあれは犯罪に値する行為なのではないかと思い始める。
(勇者様だから完全に信用しきっていたけれど、あんなことするようじゃとてもクラリス様を任せることなんてできないわ。
次回私に似たようなことをしたら即座に記録を残して、それを憲兵団に持っていきましょう。
クラリス様には申し訳ないけれど、それも身のためですね……。)
ここでラネルは昨日のマッサージを思い出してしまった。
わずかながら下腹部が温かくなってきてしまう。
(やっぱり憲兵団に持っていくのは止めようかしら。クラリス様に出張するのだけは止めてもらって……。そうすれば――)
今後自分一人でマッサージ店に行けば楽しめる、という感情が沸き上がってきたがそれは心の奥底で引き止められ、心の声にすらならなかった。
さらに翌日、どうしたもんかと悩んでいても進まないと思い、ひとまずクラリスに警告だけしておくラネル。
「クラリス様、非常に申し上げにくいのですが、やはりあまりタツシ様を呼ぶのはよくないかと……。」
「どうして?」
「いえ、タツシ様は男性ですし、やはり聖女様に万が一のことがあっては……と思うと、どうしても安全とは言えないかと。」
「そんな……。タツシさんのマッサージ、気持ちいいのに……。あれをやってもらってから私、本当に勉強が捗るようになったのよ?」
「それではタツシ様ではない別の方をお呼びしましょう。」
「い、いや、そんな…………。」
クラリスはひどく悲しそうな顔をする。それを見かねたラネルは諦めて言った。
「分かりました。では来週もタツシ様を迎えましょう。ですが決して私が見ているところ以外では触れ合わないでくださいね……?」
「はい……。」
クラリスは納得のいかない表情のままうなずいた。
クラリスからしてみれば、せっかく勇者にきもちいいマッサージをしてもらっていたのにいきなり危ないからやめろと言われたように感じる。
彼女はタツシから一切卑猥なことをされていないのだ。
それだけに心の中での葛藤は大きい。
(まあ、クラリス様が変なことをされたらその瞬間にとっ捕まえて憲兵団に差し出しましょう。あの顔見せられてはそれ以上のことはできないわ。)
ラネルはその方針で行くことに決定したようだ。
そんなこんなで一週間を迎えた。
「ようこそお越しくださいました。タツシ様。」
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