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第4章 聖女の近侍、ラネル
3,もう一人
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マッサージの時間が終わるとクラリスはベッドから立ち上がる。
「ん~~~~……!? すごい! 体が軽いわ! これなら勉強も捗りそう!」
「クラリスさん、一体何の勉強をしているんですか?」
「ええと、法医学と、治療魔術学と、光魔法応用学です。」
「それを治療の合間にやっているんですか?」
「そうなんです。私、魔力容量が少ないのでどうしても魔力がすぐに切れちゃうので、回復を待つ間時間があるんです。
もちろん神殿内のご案内とか、女神さまへのお祈りとかをすることも多いのですけど、それでもまだまだ時間はありますから。」
「勉強って、嫌にならないんですか?」
「嫌になるものなんですか? 別に痛くないじゃありませんか。」
「………そうですね。お体を大事にして頑張ってくださいね?」
「はい!」
(あ、アカン……やばいぞこの人、ガチで人を治すために人生を捧げてやがる……!? 遊んでないって話は本当だったんだなー。)
「ところでクラリスさん、次回のご利用、どうなさいますか? 今回だけではとても治ったとは言えないので……。来週にでもどうですか?」
「え!? あ、じゃ、じゃあ利用させてもらおうかしら。」
「分かりました。ではまた来週お伺いしますね。今日は本当にご利用いただきありがとうございました。」
「ありがとうございました。勇者様。」
「ふふ、今はただのマッサージ店員ですよ。」
タツシは無言のラネルに案内されて部屋を出た。
「ラネルさん、一瞬、肩を触ってもいいですか?」
「はい? まあ、一瞬なら……」
がしっ
「ああぁ、やっぱり予想通りです。ラネルさんも、クラリスさんと同じくらい肩こり酷いですよ?」
「そうですか、私はおじょ……クラリス様と違って肩こりを治そうとはしているんですけどどうしても治せなくて……」
「なるほど。でしたらぜひ次回ラネルさんもご利用なさいますか?」
「いや、クラリス様にしっかりしてやってください。私なんか単なる侍女ですので……」
「でも、その割には魔法がしっかり使えるようですよねぇ~。」
「…!? い、いや、まあ侍女といっても護衛も兼ねていますから……」
タツシはラネルが相当の魔法使いであることを見抜いていた。見抜いたというよりスラ助から教えられた。
鑑定魔法は使うと相手にバレるので使っていないものの、スラ助はにじみ出る魔力を感知できたようだ。
「しかも……私の予想だとあなた、闇属性じゃないですか?」
「良くお分かりで。さすがです勇者様。なんでもお見通しですのね。」
「いえいえ。ちょっと気になっただけですから。それでですね、先ほどもご覧になったように私のマッサージは前半は直接行いますが後半はスライムが行うので、その間にでもどうかと思ったんですよ。」
「まあ、タツシ様がいいとおっしゃるなら……お願いします。」
(ラネルさんも『いいなーーー!』って顔でクラリスさんを見てたもんなー。)
侍女というのも相当肩が凝る仕事のようである。
なんだかんだと言っているうちに門まで来てしまった。
「今日はありがとうございました。また来週。」
「あ、すみませんタツシ様、忘れ物が一つございますわ。」
そういってラネルが差し出してきたのは――
スラ助の分身体だった。
「ん~~~~……!? すごい! 体が軽いわ! これなら勉強も捗りそう!」
「クラリスさん、一体何の勉強をしているんですか?」
「ええと、法医学と、治療魔術学と、光魔法応用学です。」
「それを治療の合間にやっているんですか?」
「そうなんです。私、魔力容量が少ないのでどうしても魔力がすぐに切れちゃうので、回復を待つ間時間があるんです。
もちろん神殿内のご案内とか、女神さまへのお祈りとかをすることも多いのですけど、それでもまだまだ時間はありますから。」
「勉強って、嫌にならないんですか?」
「嫌になるものなんですか? 別に痛くないじゃありませんか。」
「………そうですね。お体を大事にして頑張ってくださいね?」
「はい!」
(あ、アカン……やばいぞこの人、ガチで人を治すために人生を捧げてやがる……!? 遊んでないって話は本当だったんだなー。)
「ところでクラリスさん、次回のご利用、どうなさいますか? 今回だけではとても治ったとは言えないので……。来週にでもどうですか?」
「え!? あ、じゃ、じゃあ利用させてもらおうかしら。」
「分かりました。ではまた来週お伺いしますね。今日は本当にご利用いただきありがとうございました。」
「ありがとうございました。勇者様。」
「ふふ、今はただのマッサージ店員ですよ。」
タツシは無言のラネルに案内されて部屋を出た。
「ラネルさん、一瞬、肩を触ってもいいですか?」
「はい? まあ、一瞬なら……」
がしっ
「ああぁ、やっぱり予想通りです。ラネルさんも、クラリスさんと同じくらい肩こり酷いですよ?」
「そうですか、私はおじょ……クラリス様と違って肩こりを治そうとはしているんですけどどうしても治せなくて……」
「なるほど。でしたらぜひ次回ラネルさんもご利用なさいますか?」
「いや、クラリス様にしっかりしてやってください。私なんか単なる侍女ですので……」
「でも、その割には魔法がしっかり使えるようですよねぇ~。」
「…!? い、いや、まあ侍女といっても護衛も兼ねていますから……」
タツシはラネルが相当の魔法使いであることを見抜いていた。見抜いたというよりスラ助から教えられた。
鑑定魔法は使うと相手にバレるので使っていないものの、スラ助はにじみ出る魔力を感知できたようだ。
「しかも……私の予想だとあなた、闇属性じゃないですか?」
「良くお分かりで。さすがです勇者様。なんでもお見通しですのね。」
「いえいえ。ちょっと気になっただけですから。それでですね、先ほどもご覧になったように私のマッサージは前半は直接行いますが後半はスライムが行うので、その間にでもどうかと思ったんですよ。」
「まあ、タツシ様がいいとおっしゃるなら……お願いします。」
(ラネルさんも『いいなーーー!』って顔でクラリスさんを見てたもんなー。)
侍女というのも相当肩が凝る仕事のようである。
なんだかんだと言っているうちに門まで来てしまった。
「今日はありがとうございました。また来週。」
「あ、すみませんタツシ様、忘れ物が一つございますわ。」
そういってラネルが差し出してきたのは――
スラ助の分身体だった。
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