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第3章 タツシの夏休み

27,勇者とクレナ

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「ん? 誰だい君は」

 タツシはクレナに問いかける。

 ちなみにタツシはスラ助にヘリウムを集めさせていた。それを若干吸い込み少しだけ声を高くしている。

「あ、あの! 私、近衛騎士団所属の2級騎士、クレナと言います!! その……すこしあなたに会いたくて、私、頑張って騎士団になったんです!」

「ほ、ほお。それで?」

「え、えと、あの……」

 クレナは顔を真っ赤にしている。

(クレナちゃん、慣れないのに敬語使っちゃって、しかもすごい緊張しているじゃん。可哀相だから場所を変えてあげよっと。)

「まあなんだね、私と話したいというのなら部屋に行こうじゃないか。」

「はい!」



 近衛騎士とはいえど、王城の中で警備をしているときに身分の高いものから雑用を申し付けられて部屋に入るということはたまにある。

 だから特に勇者が近衛騎士を部屋に招いてもおかしくはない。


「まあ、落ち着き給え。」

「あ、ああ。すまない……」

 勇者の部屋に招かれたのが落ち着かないのか、クレナはソワソワしている。この部屋には有名な絵だったり、豪華なシャンデリアがあったりとかなり煌びやかな部屋だ。

 大きさとしてはそこまで大きくないが。

「まあ、ひとまずこれ、飲むがいい。」

 タツシはめちゃくちゃ高級そうなティーカップを差し出す。

「い、いや、そんな、私なんかに……」

「ん? お茶は嫌いか?」

「い、いえ、あの、ですが……」

「なに、遠慮はいらない。どうせ余りものだ。ははは」

「あ、あはは、そうですか、では、頂きます……」

 クレナはそっとカップに口をつけてお茶を飲む。

(はい、クレナちゃん媚薬大盛りティー飲んじゃいました~。さて、このあとどうなっちゃうのかなぁ)

 未だかつてここまで素行の悪い勇者はいなかったのではないだろうか。

「美味いか?」

「え、ええ。とても……」

 そういいながらクレナは微笑む。

(うっ……美しい……普段の淫らなクレナちゃんを見慣れちゃっていると、こうやってちゃんとした姿を見るとやっぱり美人なんだよねぇ)

「あ、あの!」

「なんだい?」

「どうしても昔から聞きたかったことがあるのですが、勇者様って、どうやって強くなったんですか!?」

 ちなみに、世間には異世界から勇者を招いたという話は広まっていない。


「ふうむ。簡単に言ってしまえば、努力だ。だが努力といっても、ただやみくもに訓練をすればいいだけではない。

 成果量というのは努力量に質、そして時間効率を乗算したものになる。」

「………ん? あ、あの…つまりどういう……」

「君は日頃からしっかり努力をしているか?」

「え、ええ。まあ……」

「だが、その努力に無駄な部分はないか?」

「いや、それはどうでしょう……かなり突き詰めてやってはいるつもりだ…ですが…」

「だが、それをじっくり考えたことはないのだろう。私ほどにまで強くなろうと思えば、もはや他人と同じような方法で努力しても全く意味がない。

 たが、他人とは違う努力の方法を見つけ、それを時間効率を圧倒的に突き詰めていけば自ずと自分の成長が見えてくるはずだ。」

「なるほど!」

「繰り返すが、成果量は努力量、それの質、それの時間効率を掛け合わせたものになる。どれか一つでも抜け落ちないように、これらをバランスよくやるんだ。」

「ありがとうございます。助かっ…りました。勇者様って、想像以上に聡明な方なんですね。ますます尊敬してしまいます。」

(うっ……この凛とした美人に『尊敬してしまいます』とか言われると、心の奥底が揺らぐような……)

 タツシはクレナの攻撃で500ダメージを受けた!



「君が功績、もしくは成果を求めるのは何故だ。」

「それは……正直、いつか強くなって勇者様とこうやってお話したい、というのが目標だったので……」

「まさか、今後の目標がない、とでもいうのか?」

「あ……いや、でも、まだ目標はあります。」

「それはなんだね」

「口では言えません。ごめんなさい。」

(そりゃあ、「勇者とヤりたいんです! なんて言えないよねぇ~。」)


 ここまで会話をダラダラと引き延ばしているのには当然理由がある。

 クレナが大量に飲み込んだアレの効果が発揮されるのを待っていたのだ。

 徐々に、クレナがモジモジし始める。しかしタツシは気づかないふりをする。

「まあ、君が成長を続けてくれるのなら私は心配しない。だが、人間、ある程度まで成長すると、それで満足してしまいその上を見なくなる連中も多い。

 もしできるのなら、騎士団などやめて、冒険者にでもなったらどうだ?」

「それも考えていたんですが、まだここにいたほうが強くなれるかなと思ってまして……」

「ほぉ。それはなぜだ」

 まだまだ会話を続けていく。

 どんどんクレナの頬が紅潮してくる。

「あのっ、えええと、騎士団のほうが強い先輩方が多くて、参考になるところが多いからですかね。」

「そうか。だが冒険者の連中にはもっと強く逞しい者共が大勢いるぞ。まあ、全員男だから女性の君には少し環境が悪いかもしれないが……」

「強い男性が大勢……そ、そうなのか……だったら……」

 小声で独り言をつぶやくクレナ。

 そのとき、勇者は言った。

「ところで、君はとてもいい体をしているな。どうだ、一度交わってみないか?」

「え?」

 クレナの心臓はキュンとした。アソコもキュンッってなっている。

 到底できるはずもないと思っていたのに、今からできてしまうのだろうか、と。しかもこんなにも豪華な部屋で。

「は、はい、ぜひ! お願いします! あ、あの、今すぐにでも……」

「ん? そうか、気が早いな。ではさっそく出るとしよう。」

「出る?」

「なんだ、室内でするつもりだったのか? 室内では思う存分奮えないだろう。」

「え、あ、いや、そんな……」

 そういいつつ、勇者は立ち上がると、座っているクレナの横へ移動する。

(ああ♡ 勇者様が近い! 幸せだ! もう死んでもいいかも……)

 クレナは幸せそうだ。

「さあ、君も立て。」

「ああ。すみません。」

「では、しっかり捕まっているんだぞ。」

「え? ひゃあああ!」

 そういうとタツシはクレナに抱き着く。ギュッっと強く腰を抱いている。

(数秒おきにビクッってなるの可愛いな。アハハ、もうクレナちゃん限界なんだろうなぁ……)


「では、行くぞ」

「え?」

 そういうと、タツシは転移した。広い芝生の庭に。
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