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後編 青年と大精霊
27,再興
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「よいしょ!! これはこうしてっと。」
今、アーロルは森の中央の開けた土地に小屋を作っている。
あの後すぐに一度町に帰り、仕事を辞め、荷物を引き上げてきたのだ。
そしてそれらを置いておく小屋を作っている。
「人間ってよくそんなにめんどくさい方法で建物なんて作るわよね~」
「こんな水をはじく便利な葉っぱをつける木がそうそうないんだよ。」
「いま、誰かさんのせいで雨漏り酷いんだけど?」
「そのたびは申し訳ありませんでしたーー!!」
アーロルは土下座する。
そう、ライアが昔から寝床にしている大きな石台の上にある巨木。
この木の葉っぱは便利なことに雨をすべてはじくのだが、ライアがアーロルを治療するときに生命力を吸収されたせいで少し葉が萎れてしまい、うまく外に水が逃げなくなってしまった。
そのせいでところどころ雨漏りするのだ。
もう一週間ほどで回復するが、しかし寝ているときに雨にあたるのは気分のいいのではない。
「まあ、アーロルがちゃんと毎晩私の隣で寝てくれれば許すわ。」
「それはもちろん! ふふふ、ライアの寝顔最高だからな~。」
「ちょっと!? 朝はちゃんと起こしてよ!?」
ここ数日、アーロルは「ライアの寝顔が可愛くて起こせなかった」と言って結局ライアが起きるのが昼近くになってしまうのだ。
「え~…………そんな罪深いこと、俺にはできない……」
「起こしてくれなかったら朝に蜜あげないから。」
「すみませんでした!! これからは毎朝しっかり起こします!!」
だいたい最近は毎日こんな感じだ。アーロルもすっかり土下座するのに慣れてしまった。(将来尻に敷かれるのが何となくみえる。)
「よし! 完成!」
そこそこの大きさの小屋を作り上げた。
近くに置いてあった荷車の上の荷物をすべて小屋の中に運び込んでいく。
「あれ、でもさアーロル、仕事、辞めちゃってよかったわけ?」
「ん? なんだ人に辞めろって言っておいて、今更不安になったのか~? 可愛いなライアは。」
「いやっ違うし! ちょっと気になっただけよ! だってほら、アーロルはなんか、畑とかが乾いちゃっているときに雨とか降らせていたんでしょ?」
「ああ、前は結構な。でも、最近はほかのこともやらされていたんだ。」
「ほかのこと?」
「ああ。例えば、敵国を困らせるために戦争の前年に相手の国の農地の天気をずっと曇りにしておくとか、自分の領地の日焼け止めが売れないからあっちの領地の天気を晴れにしろ、とか……」
「なによそれ、そんなの人の勝手じゃない。」
「ああ、そうなんだ。なんでも俺が結構強いせいでほかの天候魔術師が行使した魔法を上書きできるようになってからはそういう依頼が増えたんだ。」
「醜いものね、人間って。」
「そうだよ。」
「アーロルみたいな綺麗な人は辞めて正解だわ。」
「そういってくれると嬉しいよ。」
ライアはすっかり当初自分の恥ずかしいところを舐め、貪ったのも彼だということを忘れ去ってしまったようだ。
今、アーロルは森の中央の開けた土地に小屋を作っている。
あの後すぐに一度町に帰り、仕事を辞め、荷物を引き上げてきたのだ。
そしてそれらを置いておく小屋を作っている。
「人間ってよくそんなにめんどくさい方法で建物なんて作るわよね~」
「こんな水をはじく便利な葉っぱをつける木がそうそうないんだよ。」
「いま、誰かさんのせいで雨漏り酷いんだけど?」
「そのたびは申し訳ありませんでしたーー!!」
アーロルは土下座する。
そう、ライアが昔から寝床にしている大きな石台の上にある巨木。
この木の葉っぱは便利なことに雨をすべてはじくのだが、ライアがアーロルを治療するときに生命力を吸収されたせいで少し葉が萎れてしまい、うまく外に水が逃げなくなってしまった。
そのせいでところどころ雨漏りするのだ。
もう一週間ほどで回復するが、しかし寝ているときに雨にあたるのは気分のいいのではない。
「まあ、アーロルがちゃんと毎晩私の隣で寝てくれれば許すわ。」
「それはもちろん! ふふふ、ライアの寝顔最高だからな~。」
「ちょっと!? 朝はちゃんと起こしてよ!?」
ここ数日、アーロルは「ライアの寝顔が可愛くて起こせなかった」と言って結局ライアが起きるのが昼近くになってしまうのだ。
「え~…………そんな罪深いこと、俺にはできない……」
「起こしてくれなかったら朝に蜜あげないから。」
「すみませんでした!! これからは毎朝しっかり起こします!!」
だいたい最近は毎日こんな感じだ。アーロルもすっかり土下座するのに慣れてしまった。(将来尻に敷かれるのが何となくみえる。)
「よし! 完成!」
そこそこの大きさの小屋を作り上げた。
近くに置いてあった荷車の上の荷物をすべて小屋の中に運び込んでいく。
「あれ、でもさアーロル、仕事、辞めちゃってよかったわけ?」
「ん? なんだ人に辞めろって言っておいて、今更不安になったのか~? 可愛いなライアは。」
「いやっ違うし! ちょっと気になっただけよ! だってほら、アーロルはなんか、畑とかが乾いちゃっているときに雨とか降らせていたんでしょ?」
「ああ、前は結構な。でも、最近はほかのこともやらされていたんだ。」
「ほかのこと?」
「ああ。例えば、敵国を困らせるために戦争の前年に相手の国の農地の天気をずっと曇りにしておくとか、自分の領地の日焼け止めが売れないからあっちの領地の天気を晴れにしろ、とか……」
「なによそれ、そんなの人の勝手じゃない。」
「ああ、そうなんだ。なんでも俺が結構強いせいでほかの天候魔術師が行使した魔法を上書きできるようになってからはそういう依頼が増えたんだ。」
「醜いものね、人間って。」
「そうだよ。」
「アーロルみたいな綺麗な人は辞めて正解だわ。」
「そういってくれると嬉しいよ。」
ライアはすっかり当初自分の恥ずかしいところを舐め、貪ったのも彼だということを忘れ去ってしまったようだ。
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