死町

霜月麗華

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姿現し編 *雌殺し編の解答編です!*

第二話「神を信じすぎてしまった者の末路」

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「うっ…こ、ここは?」

 里原が目覚めた場所は、暗くて何がなんだかわからない空間。まるで浮いているようだった。

「起きたのですね」

 女性の声が聴こえ、里原は驚いた。

「だ、誰だ!」

「私は、です」

「か、神様!?まさか、本当にられるとは…」

 神と名乗った者は暫くして、

「あなたは、極楽浄土に生まれ変わりたいですか?」

と里原に語りかけた。

「は、はい!」

「よろしい。では、そなたは極楽浄土に生まれ変わる為なら何をしても良いと?」

「はい!」

 神は1拍置いて、

「では、人を大量に殺しなさい。自分が罪に問われぬよう、子供の頃から勉強していたを使って、他人を犯人に仕立て上げなさい」

「えぇ?………解りました。やって見せましょう」

 神は高笑いし、

「実に良い。それでこそそなたである。では、かかりたまえ」


 ──パッと目を覚ました里原は、目の前の景色に驚いた。

「えぇ?!な、なんですか皆さん?!」

 他の先生達が里原を囲んでいた。

「なんですかは、コッチのセリフですよ!もぅ!そんなに私達の事驚かせたりするのが楽しいのですか?!」

「……な、なんの事だかさっぱり…」

 上杉は呆れて、自分の椅子にそっと座った。


 9月13日

 ──今日は転校生が自分のクラスに入ってくるという事で、里原はいつもより機嫌が良かった。


 里原が教室に入ると生徒達が、

「先生!転校生が来るんですよね?!」

「どんな子なんですか?!」

などと、色々質問する。

 全ての質問に答えるのは面倒と思った里原は頭を掻き毟りながら、

「来たらわかる」

とだけ言って、教卓の前の椅子に座った。

 朝のホームルームの前に、里原は転校生を呼ぶ為、会議室に居た。

 転校生の名は大月愴璽。隣町から引っ越して来たらしい。

「よし。これから3年4組の教室に向かおう。先生について来てくれ」

と里原は言い、愴璽と一緒に教室に向かった。


 ──朝のホームルームが終わった。

 里原は廊下に出てから階段で3階に上がり、1年の女子が1人になる所を見計らっていた。

『人を大量に殺しなさい』

 神の言葉を思い出したその時だった。1年の女子が1人になって階段をくだったのだ。

 里原は女子の背後まで走って、踊り場で女子の首に持っていたシャープペンを刺し、階段から突き落とした。

 壁に血が付く。

 里原は3階を経由して、自分の教室に走って向かった。

 その時京香に呼び止められた。

「先生!1年の女子が階段で!」

「何?!」

 里原と京香は現場へ向かった。現場に着いた里原は、

「何があったんです?!」

「里原先生……見ない方が良い」

 愴璽が死体から目を伏せながら言った。

「へ?」

 先生は恐る恐る階段を見た。

「し……し、死体?!」

「里原先生、警察と救急車は?!」

「あ……あ、あぁ。もう呼んでるはずだ!一体、誰がこんな事を!」

 先生は怯えきった表情で、

「こんなの、生まれて初めてです……あぁ」

と嘆いたが、全部演技。実際の所心の底で笑っている。
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