中の島

霜月麗華

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第7巻

#27 本名

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 俺は、海沿いの街に居た。何故か、此処を目指して、列車に乗っていた。
 栗港駅、それが最寄りの駅。切符を運転士に渡した、駅を出た。
「変わらねーな…この街は」
俺は、の家に向かった。
「よぉ、聖」
「ん?あぁ、林か」
聖は縁側に座り、茶を啜っていた。聖は茶の入ったコップを縁側の床に置き、「どーしたの?」
「此れ」
俺は二階堂の手紙を、聖に渡した。
「七つの、竜ね。あとは、男。男以外何があるのよ」
「其れを言うな」
俺は縁側に座った。
「七つの竜って…」
「聖?」
「七人の一人…」
聖は手紙を折り、「私の本名って知ってる?」突然聖が聞いてきた。
「聖、だろ?向原聖?」
わね。旧姓は…」
「旧姓?結婚してたっけ?」
「いや結婚してないよ?名前変えたから、」
「あ、あぁ」
聖は呟いた。
火竜霧香かりゅうきりか
「あ、あと…四人」
「私、竜、操れるよ?」
俺は頭を抱えた。何か、スゲー疲れた。聖は何かを呟き、立ち上がった。
「来るのか?」
「た、多分…」
確証はない様だ。すると、山からあの、嫌な声が聞こえた。
「来た」
「相変わらずデケーな」
山から七つ目の赤い竜が火を吹きながら、此方に飛んできた。開いた口が塞がらない。俺は縁側から立ち上がった。
「…何年も、会ってないね」
聖は竜を撫でながら言った。竜は俺を見た。
「……」
竜は温厚だった。俺は竜を撫でた。竜は喜び、尻尾を振る。
「…可愛いな」
「そうね」
俺は竜から手を離し、「なぁ」
「ん?」
「俺って、性別…どっちだと思う?」
「…どっちでもない」
「軽く蹴飛ばすぞ?」
「冗談よ」
聖は縁側に座り、「男でしょ」
「だ、だよな…」
「でも、わからないよ」
「は?」
俺は聖の隣に座り、「、知ってる?」
「何それ?」
聖は茶を啜り、コップを両手で持ちながら、「人の記録が書いてあるやつよ。何処にあるかわからないけどね。で、確かー、歴代古城家の記録があるらしいけどね」
「…まさか?」
「そう、もしかしたら林の記録もあるかもね」
聖はそう言い、茶を啜った。
「……帰る」
「そう、楽しかったよ」
「あぁ、また来る」
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