中の島

霜月麗華

文字の大きさ
上 下
23 / 34
第6巻

#22 肉

しおりを挟む
 二千二十年・夏

 俺は例の中学校のすぐ脇の道路を、奥田と歩いていた。
「全く、見てみろよ」
奥田がスマホで、ニュースを俺に見せた。
『またピエロピエロピエロ、蕨市連続殺人事件四人目』
スマホ
「ピエロ?」
「最近此処らでピエロの服を着た男が、誰彼構わず人を殺すっていう事件だよ」
俺はイヤホンを耳に付け、スマホから曲を流した。すると、ガシャンという大きな音が鳴った。校舎からだ。校舎の方を見ると、其処には上から何かの液体をかけられている女子が居た。
「おっと…」
「この学校は、危険な匂いがするなぁ」
女子は握り拳を握り、校門側へ走った。女子は校門を出て、此方に走ってきた。
 女子は前を見ずに、俺にぶつかった。
「大丈夫か?」
「た、た…たす…け、て…」
「えぇ?お、おぅ、任せな」


 銭湯屋入口

 女子に新しい服などをプレゼントし、銭湯屋に行かせた。三十分待つと、銭湯屋から女子が出てきた。
「来たな。此処じゃ話せないから、喫茶店に行こう」
 俺と奥田、女子は喫茶店に入り、コーヒーを三杯頼んだ。
「君は、どうしたんだ?虐められてるのか?」
女子は頷いた。
「名前はなんだい?」
奥田は女子に早速名前を聞いた。
「名前を最初に聞くか?!」
虹間妙子にじまたえこ
「うわー簡単にサラッと言いおったぞーこの子」
奥田は更に、「なんでも言ってご覧?」
「もう知らんぞ奥田」
「虐められてる、先生が無視する、校長に言うと「虐めはこの学校にありません」と、口が酸っぱくなるくらい言う」
「もう、とことん屑な学校だ事。腹立つわ!」
奥田はコーヒーを一気に飲み干し、「俺達は、君の味方だ。此れを渡す。何かあったらこの電話番号に電話しな」と言って名刺を虹間妙子に渡した。奥田は渡すなり立って、喫茶店を出て行った。俺はテーブルに金を置き、「奥田!おい!」
「……変なの」


 喫茶店外の道

 俺は奥田の後を追う様にして歩いた。
「奥田、急にどうしたんだよ。喫茶店を出て行って」
「俺は今、凄くイラついてる!考えてるんだ!」
「何をだよ!」
「あの学校をどう潰すか?」
俺は頭を抱えて、「バカ!」
「何?」
「学校を潰すんじゃねーよ!俺達は何の捜査で此処にいる?」
奥田は溜息を吐いて、「虐め撲殺」
「このバカ」


 妙子・夜道

 暗い。妙に暗い。
「怖い…」
「怖い?」
裏路地から声がした。
「何が怖いんだい?」
ピエロの男。
「ここ、こ、こんな物があるよ。ふへへへ」
笑うピエロ。右手から懐中電灯が出る。
「これがアレば、夜道もあーんぜんさ!フヒャヒャヒヤ」
私は懐中電灯が欲しくなり、近づく。暗いのは、怖いし、嫌だからだ。
「そうだ。おいで、これがないと大変だろう?えぇ?ヒャヒャヒャ……怯えるんじゃなーい。ボクちんが嫌いかい?」
懐中電灯が手に取れる。
「うん、うん、そうだ、そうだぁ。手に取れー」
私は遂に懐中電灯を手に取れた!
「ありがとう!」
ピエロの男が居た方を見た。けど、居なかった。帰路に戻る為、後ろを向いた。だが其処には、口の裂けたピエロの男が立って、「タダで帰すと思ったかぁ?」

「いやぁーー!」

ゴキッ

ゴクンッ

「いやーは美味いなぁ。次は誰にしようかなぁ?」

ゴロッ

取れた頭が転がる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

【完結】雨上がり、後悔を抱く

私雨
ライト文芸
 夏休みの最終週、海外から日本へ帰国した田仲雄己(たなか ゆうき)。彼は雨之島(あまのじま)という離島に住んでいる。  雄己を真っ先に出迎えてくれたのは彼の幼馴染、山口夏海(やまぐち なつみ)だった。彼女が確実におかしくなっていることに、誰も気づいていない。  雨之島では、とある迷信が昔から吹聴されている。それは、雨に濡れたら狂ってしまうということ。  『信じる』彼と『信じない』彼女――  果たして、誰が正しいのだろうか……?  これは、『しなかったこと』を後悔する人たちの切ない物語。

中の島外伝【中の島の瞬間移動】

霜月麗華
ライト文芸
中の島外伝作品、本編では描かれていない、氷竜京香の人生を描く。本編に登場した古城林や、桐島舞子が登場する… ──────── ──── 感想、お気に入り登録、励みになります!

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

Bo★ccia!!―アィラビュー×コザィラビュー*

gaction9969
ライト文芸
 ゴッドオブスポーツ=ボッチャ!!  ボッチャとはッ!! 白き的球を狙いて自らの手球を投擲し、相手よりも近づけた方が勝利を得るというッ!! 年齢人種性別、そして障害者/健常者の区別なく、この地球の重力を背負いし人間すべてに平等たる、完全なる球技なのであるッ!!  そしてこの物語はッ!! 人智を超えた究極競技「デフィニティボッチャ」に青春を捧げた、五人の青年のッ!! 愛と希望のヒューマンドラマであるッ!!

処理中です...