滅びろ人間!小児性犯罪者への復讐

Kinon

文字の大きさ
上 下
14 / 110
第3章 危険な男

テーブルに着いて

しおりを挟む
 僕とリージェイクがダイニングに着くと、すでに5人がテーブルにいた。

 叔父のラストワ。
 50代前半くらいの日焼けしたおじさん。
 20代後半くらいの小柄なおばさん。
 僕と同じ歳くらいの少年。
 そして、奏子。

「ジャルド! こっち来て!」

 僕に気づいた奏子が呼ぶ。
 奏子の両隣の席は、二つとも空席だった。

 いつもの席が決まってるとか、ないのかな……?

「行ってやって」

 迷っている僕の後ろから、料理の皿を乗せたカートを押すショウの声。

「あの子、あなたのこと気に入ったみたい」

 ショウの笑顔に笑みを返し、奏子の左側の席についた。

 館のダイニングテーブルはすごく広い。
 隣の席まで60センチくらいあって、間にもうひとり座れそう。
 向かいなんて、1.5メートルは離れている。

「今日はハンバーグなの。あたしの好きなおかずにしてくれたんだよ。お昼ご飯の時はいなかったから」

「そっか。楽しみだね」



 昼食会は本格的なコース料理だった。
 もちろん、おいしかったけど。黙々と食べる食事は楽しくない。
 こういう普通の食事のほうが好きだ。

 継承者の顔合わせの昼食会は、子どもが学校や保育園を休んで参加する必要はない会だったから。顔合わせの継承者本人の汐と、僕とリージェイク以外はみんな大人だった。



 ふと視線を感じて前を見ると、正面に座る人物と目が合った。
 控えめで神経質そうな少年……たぶん、ショウの10歳のほうの息子だ。

 よろしくって感じで微笑むと、彼は素早く瞬きをして俯いて。
 少し待ってみたけど、彼は顔を上げなかった。

「ジャルドは、ずっとここにいることになったんでしょ? ラスおじさんが言ってた」

「うん。とりあえず夏までね。これからもよろしく」

「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします」

 奏子が礼儀正しく返事をする。

 これ、ラスおじさん……ラストワの真似だな。

 彼は、5歳の子どもに対しても丁寧語で話す。
 
「はい。お待たせー」

 ショウが目の前に料理の皿を並べていく。
 ポテトのついたハンバーグ。ライス。スープ。サラダ。

「やったー!」

 奏子が嬉しそうに手を叩く。

「どうぞ」

 ショウの後に続いてカートを押してきたせきが、グラスにオレンジジュースを注ぐ。

「ありがとう」

 お礼を言うと、汐はニッコリ頷いて先に進んだ。



 独自に定めたルールに厳しい僕たちリシールの一族だけど、立場や能力の上下で待遇の差はほとんどない。
 この世界に3か所ある拠点……館には、それぞれの地域のリーダーとなる継承者がいる。
 必要な時に必要な状況では彼らに絶対服従の場合はあるけど、日常でかしずいたり下手に出たりはしない。

 だから。この館の継承者である汐も特別扱いされることなく、15歳の少女として夕食の給仕を手伝っている。
 テーブルの席次も、主賓だとか上座だとかは全然気にしない。



 料理と飲み物を配り終えたショウと汐が席につく。

「さあ、どうぞ召し上がれ。冷めないうちに食べましょう!」

 ショウの声で夕食が始まった。

「いただきまーす!」

 奏子がいち早くナイフとフォークを握る。
 ジュースを一口飲んでテーブルを見回した。



 昼食会の時は、ほかにもお客さんがいっぱいいて総勢60人くらいだったけど。ほとんどの人はすでに帰ったらしい。
 今は12脚のテーブルに10人分の食事が用意されてて、席についてるのは9人。

 僕がいる側は、左からショウ、僕、奏子、汐、リージェイク。
 その向かいにおばさん。左にラストワ、おじさん、少年って続いて、その隣……ショウの正面は空席だ。

 そこに座るはずだったのは……リージェイクのいう危険な男に違いない。



 隣にいるショウに尋ねる。

「ショウ。もうひとりは来ないの?」

 視線で空席を指した。

「あぁ……かいね」

「凱?」

「私の息子。今日は7時までに絶対帰って来いって言ったのに……まだなのよ」

 苦笑いしながら、ショウが続ける。

「礼儀知らずで、ごめんね」

「ううん」

 首を横に振った。



 彼、凱に会ってみたかったけど……残念だな。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

処理中です...