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第2章 許されざる人間
ヤツの罪
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奏子の話から、おじさん…ヤツのしたことが明らかになった。
森でおしっこをさせた。
必要以上の身体の接触を持った。
ヤツは奏子に、何度もこう繰り返した。
『おじさんの言うこと、ちゃんと聞かなきゃダメだよ』
『言うこと聞いてれば子猫ちゃんたちは無事だよ』
『おうちの人には内緒だよ』
僕には、ヤツが何をしようとしていたのかわかる。
自分の行為を少しづつエスカレートさせ、子猫を盾に奏子をマインドコントロールしていく…自分が何をしても逆らえなくするために。
そして、今日。
出来るだけ詳しく僕が聞いて奏子が答えた内容は、こういうものだった。
今日は保育園がお昼で終わりだった。
タイミング悪く。館では継承者の顔合わせがあるため、夕方までミカちゃんの家で遊ぶ…あずかってもらうことになっていた。
ヤツは二人を保育園に迎えに行き、自宅へ。
ちょっと二人を遊ばせたあと、ミカちゃんを上の子に任せ、奏子を館に送ってきた。
たぶん、予定よりずっと早めだろう。
仕事で会社に寄るからと言っていたらしい。
2キロほどある私道を二人で歩き始めてすぐ、『疲れちゃうから』とヤツは奏子をおんぶした。
館から1キロ弱。ヤツは奏子をおんぶしたまま、あの小屋へ。
『ここは、おじさんが葉っぱを集めるときに使っていいよって言われてるところ。子猫のおうちをここに変えてあげよう。だんだん大きくなるし寒くなるから』
そう言って、奏子を小屋に入れた。
子猫のためじゃない。
子猫が育ってどこかに行っちゃったら、奏子を思い通りに出来なくなるから。
そして…エスカレートする自分の行為を、人目のつかない場所でやるためだ。
最初に小屋に入ったとき、奏子は純粋に喜んだ。
ベニヤ板じゃなく、ちゃんとした屋根のあるおうちだったから。
『ちょっと掃除してから迎えに行こうね』
そう言って二人で小屋を片づけることになった。
その後の詳細を話す際。奏子は眉間に皺を寄せて、スカートの裾をきつく握っていた。
思い出すだけで、その時の負の感情も再来するんだ。
嫌悪と気味悪さと恐怖。
性に関する知識がほとんどない子どもでも。性的な視線で見られたり、性的な手つきで触られれば違和感を覚える。
これはおかしい。
何かが変だ。
何かが危ない…って。
自分をじっくり見るヤツの目が怖かった。
そう、奏子は言った。
「先生に怒られる時の怖いじゃないの。テレビで見たお化けが部屋にいたらどうしようって思う時の怖い、みたいに怖かった」
奏子が感じた恐怖は、得体のしれない恐怖だ。
痛いことをされるかもとかの、すでに知っている心身の苦痛を予期した恐怖じゃない。
何をされるかわからないけど、何かわからない嫌なことをされるかもっていう…未知なる恐怖。
ここまで聞いた僕のヤツへの怒りは、もうかなりフツフツと煮えたぎっていた。
奏子の残りの話を聞いて、それは何倍にも温度を増すことになる。
森でおしっこをさせた。
必要以上の身体の接触を持った。
ヤツは奏子に、何度もこう繰り返した。
『おじさんの言うこと、ちゃんと聞かなきゃダメだよ』
『言うこと聞いてれば子猫ちゃんたちは無事だよ』
『おうちの人には内緒だよ』
僕には、ヤツが何をしようとしていたのかわかる。
自分の行為を少しづつエスカレートさせ、子猫を盾に奏子をマインドコントロールしていく…自分が何をしても逆らえなくするために。
そして、今日。
出来るだけ詳しく僕が聞いて奏子が答えた内容は、こういうものだった。
今日は保育園がお昼で終わりだった。
タイミング悪く。館では継承者の顔合わせがあるため、夕方までミカちゃんの家で遊ぶ…あずかってもらうことになっていた。
ヤツは二人を保育園に迎えに行き、自宅へ。
ちょっと二人を遊ばせたあと、ミカちゃんを上の子に任せ、奏子を館に送ってきた。
たぶん、予定よりずっと早めだろう。
仕事で会社に寄るからと言っていたらしい。
2キロほどある私道を二人で歩き始めてすぐ、『疲れちゃうから』とヤツは奏子をおんぶした。
館から1キロ弱。ヤツは奏子をおんぶしたまま、あの小屋へ。
『ここは、おじさんが葉っぱを集めるときに使っていいよって言われてるところ。子猫のおうちをここに変えてあげよう。だんだん大きくなるし寒くなるから』
そう言って、奏子を小屋に入れた。
子猫のためじゃない。
子猫が育ってどこかに行っちゃったら、奏子を思い通りに出来なくなるから。
そして…エスカレートする自分の行為を、人目のつかない場所でやるためだ。
最初に小屋に入ったとき、奏子は純粋に喜んだ。
ベニヤ板じゃなく、ちゃんとした屋根のあるおうちだったから。
『ちょっと掃除してから迎えに行こうね』
そう言って二人で小屋を片づけることになった。
その後の詳細を話す際。奏子は眉間に皺を寄せて、スカートの裾をきつく握っていた。
思い出すだけで、その時の負の感情も再来するんだ。
嫌悪と気味悪さと恐怖。
性に関する知識がほとんどない子どもでも。性的な視線で見られたり、性的な手つきで触られれば違和感を覚える。
これはおかしい。
何かが変だ。
何かが危ない…って。
自分をじっくり見るヤツの目が怖かった。
そう、奏子は言った。
「先生に怒られる時の怖いじゃないの。テレビで見たお化けが部屋にいたらどうしようって思う時の怖い、みたいに怖かった」
奏子が感じた恐怖は、得体のしれない恐怖だ。
痛いことをされるかもとかの、すでに知っている心身の苦痛を予期した恐怖じゃない。
何をされるかわからないけど、何かわからない嫌なことをされるかもっていう…未知なる恐怖。
ここまで聞いた僕のヤツへの怒りは、もうかなりフツフツと煮えたぎっていた。
奏子の残りの話を聞いて、それは何倍にも温度を増すことになる。
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