リアルBL!不安な俺の恋愛ハードルート

Kinon

文字の大きさ
上 下
169 / 246

41-1 次は手加減してあげてね

しおりを挟む
 涼弥と一緒にシャワーを浴びた。
 腰と脚のつけ根が痛くて。立ったり屈んだりがつらい俺の身体を、涼弥がかいがいしく洗ってくれた。エロい手つきじゃなく、サクサクと。
 ペニスの勃ち具合がアップしてた涼弥に、抜こうかって聞いたけど……今日はもう、お前は何もしなくていいって辞退された。
 でもさ。


 セックスのとき俺、されるがままで何もしてないじゃん……!?
 


 これでいいのか……って、よくないだろ。
 俺も何かしなきゃ。つーか、したい。

 受けがやることって何だ?

 しゃぶって勃ててやるとか、乳首舐めて気持ちよくさせるとか?
 けど。
 涼弥の……きっと、すでに勃ってるだろうし。
 でも……アリか。
 気持ちいいことは、何でも歓迎なはず。



 俺だって。攻めて、よがる涼弥の顔見て楽しみたいもんな!



 受けの友達に、普段何してるか聞いてみよう。結都ゆうとかい、夕希……あと、新庄も経験豊富そうだ。紫道しのみちには……まだ聞けないな。

 なんて考えながら、洗面所で頭と身体を拭いてたら。

「おい。今、玄関開いたぞ」

 涼弥の声で我に返る。

「沙羅だろ。声かけてくる。先に部屋行っててもらうよ」

 サッと足を運ぶなんて当然出来ず。痛む腰を手で押さえつつ、一歩ずつヨロヨロと廊下へ。

「あ……」

 玄関にいるのは、樹生いつきだった。

「沙羅は……?」

「いるよ。外。あー……駅で電話しても出なかったからさ。お前たちが取り込み中じゃないか、俺が先に確認しに入ったんだけど……」

「そうか……悪いな」

「終わってるんだよね? お前……大丈夫?」

 超スローで4メートル弱を進む俺を待って、樹生が尋ねる。俺が何でこうなのか、沙羅に聞いて知ってるせいか……眉を寄せるも、驚きはない。

「男にやられるって、そんなしんどいの?」

「大丈夫。はじめてで慣れてないだけ……たぶん」

「おい。ジロジロ見るな」

 涼弥の声が後ろから……すぐに本体も横にきて、俺を支える。

「お前と同じ目で見てないって。俺、男はマジで許容外」

「わかんねぇだろ」

「わかってるの、俺は。杉原さぁ、心配し過ぎはやめろよ。学校でそれ、逆に変なの引き寄せるぞ」

 樹生の言葉に、俺も眉を寄せた。

「何、変なのって」

「人でも物でも。ガッチリ厳重にガードされてるのって、価値あるもんや重要なもんだろ。興味引くし、中にはそういうのに意欲湧くチャレンジャーもいるからさ」

「あーなるほど……」

「そんなヤツはぶっ潰してやる」

「敵増やすだけだって」

 樹生がふうと息を吐く。

「適度って難しいよね。嫉妬も独占欲も心配も……でも、出来るよ。二人なら」

「ん。ありがとな」

 涼弥を見やると、無言のまま俺を見た。樹生の言葉に、納得したのかしないのか……。

「まぁ、とりあえず。お前たちが半裸でそこいると、沙羅が入れない」

 玄関のドアが開いた。
 腰にバスタオル姿の俺と涼弥を見て、沙羅が肩を竦める。

「のん気に喋ってるなら大丈夫かと思って……」

「ごめん。今上行く」

將梧そうご。どうだった?」

 今それ聞く? わざとか?

「すげーよかった。腰が痛い」

 簡潔に。事実を述べた。
 沙羅の視線が、俺から涼弥へ。

「次は手加減してあげてね」

「するつもりだったんだが……」

 やわらかく。幸せいっぱいって感じの笑みを浮かべる沙羅に、涼弥の表情も緩む。

「かわいくてよ……」

「やめろ」

 ソレ以上、人前で言われるのは恥ずかしい。よろしくない。

「俺は平気だから。行くぞ、涼弥」

「あ、杉原」

 樹生が呼び止める。

「もう帰るよな? 服着るの待ってるから、一緒に出よう」

「は!?」

 涼弥だけじゃなく、俺と沙羅の顔にもクエスチョンマーク。

「將梧、ヨレヨレだろ。もし、お前が沙羅を襲っても助けられない」

「は……!?」

 俺も声を上げた。

「何だそりゃ!? 俺が沙羅をって、あり得ねぇ。何バカ言っ……」

「それ。俺が將梧をってのと同じ。あり得ないのに心配されると、心外だよね?」

 開いた口のまま数秒固まり、涼弥が息を吐く。

「わかった。お前の言う通りだ」

「お前から將梧を獲るヤツなんか、友達にはいない。もっと信用してよ」

「ああ……そうする」

 ちょっと空いた間に。

「じゃ。服着てきて。夕食の用意するわ」

 明るい沙羅の声。

「涼弥も食べる? お腹空いたでしょ」

「いや。今日は家で食う」

「樹生は? 送ってくれたお礼に、食べてく?」

「俺もパス。こんな時間に、彼女の家いる勇気ない」

「まだ8時前だけど」

「うん。でも、帰るよ。またね」

 沙羅に微笑んで。

「將梧たちも、また明日」

 ヒラヒラと手を振って、樹生がそそくさと出て行った。

「え……と。服着よう」

 今度の間は、俺が破る。

「沙羅、先上がって。俺、階段……時間かかるから」

「連れてってやる」

「うわっ……」

 待て。ダメだって言うより早く、涼弥が俺を抱き上げた。とっさに首に手を回して掴まる俺に、いたく満足げな様子で。そのまま階段を上り始める。
 見上げる沙羅と目が合った。こっちも、満足そうに輝く……腐女子の瞳だ。

 小さく溜息をついて、涼弥の胸に額をつけた。



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。

たかなしポン太
青春
   僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。  助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。  でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。 「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」 「ちょっと、確認しなくていいですから!」 「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」 「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」    天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。  異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー! ※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。 ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

なんか金髪超絶美形の御曹司を抱くことになったんだが

なずとず
BL
タイトル通りの軽いノリの話です 酔った勢いで知らないハーフと将来を約束してしまった勇気君視点のお話になります 攻 井之上 勇気 まだまだ若手のサラリーマン 元ヤンの過去を隠しているが、酒が入ると本性が出てしまうらしい でも翌朝には完全に記憶がない 受 牧野・ハロルド・エリス 天才・イケメン・天然ボケなカタコトハーフの御曹司 金髪ロング、勇気より背が高い 勇気にベタ惚れの仔犬ちゃん ユウキにオヨメサンにしてもらいたい 同作者作品の「一夜の関係」の登場人物も絡んできます

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

俺の好きな男は、幸せを運ぶ天使でした

たっこ
BL
【加筆修正済】  7話完結の短編です。  中学からの親友で、半年だけ恋人だった琢磨。  二度と合わないつもりで別れたのに、突然六年ぶりに会いに来た。 「優、迎えに来たぞ」  でも俺は、お前の手を取ることは出来ないんだ。絶対に。  

処理中です...