リアルBL!不安な俺の恋愛ハードルート

Kinon

文字の大きさ
上 下
161 / 246

39-2 写真撮影へ

しおりを挟む
 日曜日。
 腐の集会は楽しかった。
 同じ趣味を持つ気の置けない仲間との語らいは、癒しとエナジー補給に最適だ。

 友達に戻った深音みおは、想い続けた先輩と晴れて恋人同士になったそう。ただし、1週間ですでに問題もあるらしい。
 まぁ、ここからは友達として相談にのってあげられるところは、力になりたいと思う。

 夕希はさらに元気で。こっちも、長らくアプローチしてた相手とうまくいったとご機嫌だった。
 俺が男とつき合い始めたって聞いて、ひどく驚かれた。自分では、ノンケじゃないかもなーってずっと感じてたから……逆に驚いたんだよね。

 そんなに意外か?……って。

 だってさ。
 夕希なんて、自分もゲイなのに。
 一緒にBLに萌えてんのに。
 少なくとも俺、男同士の恋愛に抵抗ないって知ってるはずじゃん?
 『仲間だ!』って喜んでくれたから、いいけどさ。

 で……腐った脳とノリで、せっかくだから聞いてみた。女子二人に聞かれない時に。



『はじめて受けでセックスするときのコツは……?』



 リアルにもうすぐだから。
 気をつけることとか、うまくやるための心構えとか……そういうの、アドバイスしてほしくて。
 で、もらった助言は。



『イキたくなったらイカせてもらえよ。寸止め繰り返したあとだと飛んじゃうから。かわいくお願いすれば、鬼畜じゃなければ言う通りにしてくれるはず』



 夕希……ありがとな。
 だけども!
 もっとこう……初歩の初歩的なのを求めてたよ!

 あと、シャワ浣を教わった……うまく出来るかどうかはわからない。かいのとこでは、トイレ後にウォシュレットで流したけど、その進化版みたいな感じ? ちょっと違うか?
 一度、練習してみよう。



 とにもかくにも。役に立つ情報も得て、無事お開きとなった腐会から家に戻り。
 涼弥に電話して、お互い無事で充実した1日だったことを確認し合った。



 翌日から、学校での新たな1週間が始まり。

 まず、月曜日は平和な1日。
 LHRでは、全員に案を取った学祭のお化け屋敷の仕掛けから10コを選んだ。そのあと、ひとつの仕掛けにゾンビ役を二人ずつ、プラス、エスコート役からひとりか二人ずつのグループを作って割り当て。部屋全体の装飾とコースを制作する係8人を決めた。
 学祭の準備は順調だ。



 火曜日も。取り立てるハプニングもなく1日を終えた。



 そして、水曜日の今日。
 帰りのSHRのあと、重い足取りで向かってる……写真部の部室へ。目的は、選挙のための写真撮影だ。
 昼休みに生徒会から候補者へのメールで連絡が来て。徐々に積もり始めた憂鬱さは、今ピーク。



 写真って、十中八九……桝田ますだが撮るよね?
 
 

 あれ以来、初めて会う。
 俺を騙してレイプしようとした南海みなみに加担して。キスして。なのに、俺を助けた男。
 どんな顔して会えばいいんだ?

 不思議とあんまりないけど、嫌悪感あらわにして?
 したことは別にして、感謝の気持ちで愛想よく?

 悪者か正義の味方か、どっちかに徹底してくれてれば……と思うよ。
 はぁ……。



「早瀬」

 ゆっくり歩いてたら、後ろから声をかけられた。

「調子はどうだ?」

「いいよ。これが終われば」

 横に来た上沢が笑う。

「桝田に会うの気マズいか」

「うん」

「お前は悪くねぇんだからよ。堂々としてりゃいい」

「そうなんだけどさ……」

 瓜生に電話したこと、俺が知ってるって……桝田は知らないんだろうな。だから、気マズい。てか、モヤる。
 そもそも向こうが悪いとしても、それはそれ。これはこれで、感謝したい気持ちがあるのがいけない。知らん顔してられるほど、割り切れないっていうか。

「まぁ気にすんな。せいぜいいい男に撮ってもらえ」

「いや。俺がならなくて済むように、ダメダメ風な写真にしたい。で、ほかのヤツらにがんばってもらう」

「役員逃れんの、諦めてねぇのか」

「可能性は半分以上あるだろ。候補が12人なら」

 上沢に、呆れた顔を向けられた。

「何?」

「選挙出れば役員になるぞ、お前は」

「どうして……」

「1年から当選するのは、よくてひとり。つまり、2年から4人。C組の藤村とD組の加賀谷以外はお前と同じ、数合わせで仕方なくだ」

「お前はやる気あるんじゃないのか?」

「……生徒会室に入り浸ってんのに、出ないわけにゃいかねぇからだよ。正直、かったるいぜ」

 気だるげに首を回す上沢を見ながら、深い溜息をついた。



 写真部に到着。
 チラリと俺を見やり、上沢がドアを開けた。続いて部屋に入った俺の視線の先に、桝田がいる。

 俺と目を合わせた桝田は、フッと儚げに微笑んで。数秒後に視線を外し、もうひとりの写真部員らしき3年と撮影準備に戻った。

「上沢。早瀬。待ち時間に、これ」

 呼んだのは加賀谷だ。選挙資料って書かれたA6くらいの紙を渡される。

「役員としての意気込みや抱負、自分のアピールポイント……なんでもいい。広報に写真と一緒に載せる一文を書いてくれ」

 部室を見回すと。すでに来てる候補者たちが、パソコンの乗ったデスクの空きスペースでこれを書いてる。

 記入すべき項目は、氏名とその抱負か何かだけ。そして、性指向……ノンケ、バイ、ゲイ……にチェックマーク。この学園では必要な情報なのは十分わかってるけど。



 落選するためには、どうするか……? 



 毎年、生徒会役員にはゲイが多い。
 なぜなら。

 まず。
 立候補するのは、中学からの内部進学組が多い。つまり、ゲイ。

 次に。
 ほとんどがノンケの外部進学組がわざわざ受験してここに入るのは、勉強目的と大学目的。一応、うちの学園は大学付属高校だからだ。
 外部受験組は、そこそこ勉強好きな人間が多い。
 で、そういう人間は、クラス委員とかあんまやらない。で、クラス委員も内部進学組が多くなる。で、生徒会役員選挙への立候補がいない場合、必然的にクラス委員が出ることになる。つまり、ゲイ。

 最後に。
 ゲイとノンケ半々くらいといっても、高校でバイになるグレーゾーンもけっこういて。すっぱり2つに別れて勢力を争うとかは全くない。あくまでも、仲がよくないってだけ。
 だから、生徒会役員に権力はあっても、自分がそれを握る魅力はなく。あんまり頼る場面もない。
 ぶっちゃけ、志の高い人間を選ぶっていうより……好み、印象……つまりは適当に投票するヤツが大半。

 その結果。
 そもそも候補者にゲイが多い上、なぜか選挙ではノンケもゲイ目線で投票する傾向が強いため……生徒会役員にはゲイが多くなる。



 選挙終わるまでノンケを装ってたほうがマシか……?



 ダメだ。
 涼弥とつき合ってるってオープンにするつもりなのに。
 選挙のためなら、あと10日やそこら内緒にしても……って。もし、涼弥がかまわなくても、俺がかまう。

 涼弥がいるからって、言えなくなるじゃん?



 自分のチェックつける前に、敵情視察。

「お前、バイにしたか?」

「いや。今はゲイ」

 上沢が答える。

「女は要らねぇ。じゅんで手一杯だからよ」

 いいな。迷いなくて。
 うーどうするか……。
 ここは折衷案でバイにするか……実際、女も平気なわけだしな。

 ほかのヤツらは……と。

 まだ来てない1年ひとりを除く11人が、もうこの部屋にいる。
 1年はわからないけど、2年は……D組の吉村はノンケでE組の深見はバイ、C組の藤村はゲイ。もうひとりの候補者、城田は確かゲイ……。

「早瀬。お前まだやられてないの?」

 候補者たちを見回してた俺に気づいた藤村が、気安く話しかけてきた。

「女子部の女とつき合ってたよな。そろそろ男も試そうぜ。俺とやんない?」

 彼女とは別れた。
 タチでなら、男も試した。
 そして。

「お前とはやらない」

 これはハッキリ言っとこう。



しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――

天海みつき
BL
 族の総長と副総長の恋の話。  アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。  その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。 「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」  学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。  族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。  何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(10/21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。 ※4月18日、完結しました。ありがとうございました。

処理中です...