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17-4 友達だから心配?
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「え……」
俺の気持ち、涼弥に知られたら……?
男が平気か、わからない今でさえ困るのに……。
男は無理って確定した上で……?
「あいつにしたら、お前も自分のこと好きなら嬉しいし、その気にもなるよな?」
凱の言うことはもっともで。
両想いの場合、その先を求めるのはごく自然な流れで。
そこが俺の不安のスタート地点だ。
「そ……うかもしれない。けど、俺が無理だったら……」
「傷つけんだろ? お前の理論じゃ」
その通り……でも。
「気づかれたら、聞かれたら全力で否定する。そうすれば……友達でいられるだろ」
「向こうに好きだってハッキリ言われたら、どーすんの?」
「その時は…」
どう…しよう!?
「俺にその気はねぇからオトモダチでいましょうって言えんの? それ、結局あいつが傷つくんじゃねぇの?」
言葉に詰まる俺。
ていうか!
そんな畳みかけるように質問攻めにしないで……何でそんなアグレッシブなの今日は?
昨日今日で一気に思考した理論、穴だらけに決まってる。
俺、恋愛初心者だし。性指向もあやふやだし。
涼弥のこととなると……臆病だしさ。
そもそも、恋だの愛だのって理詰めで解決策とか突破案とか出ない分野じゃん?
やってみなきゃ、わからないことだらけ。
ぶつかってみなきゃ、硬いか脆いかわからない。
その場にならなきゃ、どう動くかわからない……心も身体も。
自分のも、相手のも。
「なぁ、凱。お前、涼弥が俺を好きって……確定済みで話してるけどさ。そう見えただけで違う可能性もあるじゃん。なのに……そんな攻めるなよ」
弱気を示す俺。
凱の瞳が笑う。
「だってラチ明かねぇからさー。あと、涼弥がちょっと不憫に思えちゃって。あいつ、お前のことすげー好きだぜ」
何を根拠に?っていう俺の視線に、凱が答える。
「最初にトイレんとこで会った時も、女子部んとこで話した時も。殺気こもった瞳で睨まれたからな。お前に誘われたら考えるっつった時なんか、周りに女のコたちいなきゃ殴られてたんじゃねぇの」
「そう……か?」
まだ半信半疑だ。
確かに涼弥は……俺の身の安全っていうか貞操に、過剰に警戒する。有体にいうと、俺を性的な目で見る男に敵意を向ける。
それは俺から見ても明らかで。
だけど。
その理由は、純粋に親友の俺を案じてのものだと思ってた。
何故なら。
涼弥がそうなったのは……春に俺がレイプされかかったのを目の当たりにした時からだから。
「お前言ったじゃん。涼弥が俺に不快なこと言ったりしたりするかもしれない、ごめんって。わかってたからだろ? 俺がお前に近づくの、あいつは気に入らないってさ」
「……近づくのが気に入らないんじゃなく、俺に何かするんじゃないかって警戒してるかもって思ったんだ」
「それ、友達だから心配なわけじゃねぇよな? 自分がそーゆー対象としてお前見てるから、ほかのヤツもって考えんじゃねぇの?」
「心配はしたと思う。そうなったのは……半年前からだ。」
自分の頭の中で、今までその場しのぎで押し込んできた感情やなんかを整理するためにも。
予定通り、順を追って話そう……俺と涼弥のことを。始めから。
「涼弥は、幼稚園からずっと一緒の幼馴染みで……家族以外じゃ一番近い存在だった。中学で寮に入ってた間も、週末家に帰る度に会ってたよ。夏休みとかはもっと頻繁に。沙羅以外で俺が親友って呼べるのは、あいつだけ」
そこまで一気に喋って息を吐いた。
「うん」
凱は相槌をひとつ打って、聞くモードに。
「高校からうちの学園に入った涼弥は、最初面食らってたな。半分が普通に男が恋愛対象だったからさ」
「だろーね」
笑みを浮かべる凱に、笑い返した。
「涼弥に聞かれたよ。3年間もゲイに囲まれて、お前よくそうならなかったなって。男に欲情したことはないって答えた。まぁ……女にもだけど」
「事実なんだろ」
「うん。で、お前は洗脳されそうかって聞くと、それはないって言いきって終わり。俺たち、もともとあんまり女の話とかエロ話ってしなかったんだよ。俺は興味なかったし。涼弥も、面倒だから彼女がほしいとは思わないって言ってたし」
コーヒーを口に運ぶ。
ひとりで話し続けるのって喉が乾く。講演会とかでスピーチする人の手元に飲み物が置いてあるのも頷ける。
「2年になるまでは、お互いの家で遊んだり勉強したり。街に出かけたり、普通に仲良くてさ。わりと平和に過ごしてたんだけど……」
ここから核心。
『お前が不快に感じる話でごめんな』
心の中で、凱に謝っておく。
「1年の終わりに、俺が……1コ上の先輩にレイプされそうになった。その人の寮の部屋で」
俺の気持ち、涼弥に知られたら……?
男が平気か、わからない今でさえ困るのに……。
男は無理って確定した上で……?
「あいつにしたら、お前も自分のこと好きなら嬉しいし、その気にもなるよな?」
凱の言うことはもっともで。
両想いの場合、その先を求めるのはごく自然な流れで。
そこが俺の不安のスタート地点だ。
「そ……うかもしれない。けど、俺が無理だったら……」
「傷つけんだろ? お前の理論じゃ」
その通り……でも。
「気づかれたら、聞かれたら全力で否定する。そうすれば……友達でいられるだろ」
「向こうに好きだってハッキリ言われたら、どーすんの?」
「その時は…」
どう…しよう!?
「俺にその気はねぇからオトモダチでいましょうって言えんの? それ、結局あいつが傷つくんじゃねぇの?」
言葉に詰まる俺。
ていうか!
そんな畳みかけるように質問攻めにしないで……何でそんなアグレッシブなの今日は?
昨日今日で一気に思考した理論、穴だらけに決まってる。
俺、恋愛初心者だし。性指向もあやふやだし。
涼弥のこととなると……臆病だしさ。
そもそも、恋だの愛だのって理詰めで解決策とか突破案とか出ない分野じゃん?
やってみなきゃ、わからないことだらけ。
ぶつかってみなきゃ、硬いか脆いかわからない。
その場にならなきゃ、どう動くかわからない……心も身体も。
自分のも、相手のも。
「なぁ、凱。お前、涼弥が俺を好きって……確定済みで話してるけどさ。そう見えただけで違う可能性もあるじゃん。なのに……そんな攻めるなよ」
弱気を示す俺。
凱の瞳が笑う。
「だってラチ明かねぇからさー。あと、涼弥がちょっと不憫に思えちゃって。あいつ、お前のことすげー好きだぜ」
何を根拠に?っていう俺の視線に、凱が答える。
「最初にトイレんとこで会った時も、女子部んとこで話した時も。殺気こもった瞳で睨まれたからな。お前に誘われたら考えるっつった時なんか、周りに女のコたちいなきゃ殴られてたんじゃねぇの」
「そう……か?」
まだ半信半疑だ。
確かに涼弥は……俺の身の安全っていうか貞操に、過剰に警戒する。有体にいうと、俺を性的な目で見る男に敵意を向ける。
それは俺から見ても明らかで。
だけど。
その理由は、純粋に親友の俺を案じてのものだと思ってた。
何故なら。
涼弥がそうなったのは……春に俺がレイプされかかったのを目の当たりにした時からだから。
「お前言ったじゃん。涼弥が俺に不快なこと言ったりしたりするかもしれない、ごめんって。わかってたからだろ? 俺がお前に近づくの、あいつは気に入らないってさ」
「……近づくのが気に入らないんじゃなく、俺に何かするんじゃないかって警戒してるかもって思ったんだ」
「それ、友達だから心配なわけじゃねぇよな? 自分がそーゆー対象としてお前見てるから、ほかのヤツもって考えんじゃねぇの?」
「心配はしたと思う。そうなったのは……半年前からだ。」
自分の頭の中で、今までその場しのぎで押し込んできた感情やなんかを整理するためにも。
予定通り、順を追って話そう……俺と涼弥のことを。始めから。
「涼弥は、幼稚園からずっと一緒の幼馴染みで……家族以外じゃ一番近い存在だった。中学で寮に入ってた間も、週末家に帰る度に会ってたよ。夏休みとかはもっと頻繁に。沙羅以外で俺が親友って呼べるのは、あいつだけ」
そこまで一気に喋って息を吐いた。
「うん」
凱は相槌をひとつ打って、聞くモードに。
「高校からうちの学園に入った涼弥は、最初面食らってたな。半分が普通に男が恋愛対象だったからさ」
「だろーね」
笑みを浮かべる凱に、笑い返した。
「涼弥に聞かれたよ。3年間もゲイに囲まれて、お前よくそうならなかったなって。男に欲情したことはないって答えた。まぁ……女にもだけど」
「事実なんだろ」
「うん。で、お前は洗脳されそうかって聞くと、それはないって言いきって終わり。俺たち、もともとあんまり女の話とかエロ話ってしなかったんだよ。俺は興味なかったし。涼弥も、面倒だから彼女がほしいとは思わないって言ってたし」
コーヒーを口に運ぶ。
ひとりで話し続けるのって喉が乾く。講演会とかでスピーチする人の手元に飲み物が置いてあるのも頷ける。
「2年になるまでは、お互いの家で遊んだり勉強したり。街に出かけたり、普通に仲良くてさ。わりと平和に過ごしてたんだけど……」
ここから核心。
『お前が不快に感じる話でごめんな』
心の中で、凱に謝っておく。
「1年の終わりに、俺が……1コ上の先輩にレイプされそうになった。その人の寮の部屋で」
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