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11-1 家に帰って晩御飯
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午後8時過ぎ。
再び電車に揺られてる。
セックスのあと軽くシャワーで身体を流し、小一時間ばかりお喋りをしてから帰路についた。
服を着てからの俺と深音の関係は、これまでと変わらない。
腐仲間で気の置けない友人で、同志で偽装の恋人同士。
2度目のセックスは予想以上にうまくいった。
ちゃんと勃ったし、俺だけじゃなく深音もイケたし。
そして、慰められた。
人と身体で繋がって、一緒に快感を追うって行為に。
よけいなことを忘れて、よけいじゃないことだけが残ることに。
ただ。
涼弥が好きってわかってもなぁ……だからって、どうにもならないじゃん?
あいつはきっとノンケだし、俺がノンケだって全く疑ってないしさ。
それに。
俺はたぶんバイかゲイなんだと思うけど……男が好きだからって、男とセックス出来るかわからない。もしするとして、自分が挿れたいのか挿れられたいのかもわからない。
嫌悪感なく、生身の男相手に勃つかな?
恐怖心なく、男に尻の穴に突っ込まれたいってリアルに思えるか? 突っ込みたいって欲情するか?
やめよう。
いくら想像したって意味ないもんな……っていうかさ。
現実にあり得ないから、涼弥で妄想とか苦しいんだよ。虚しいっていうかね。
特に、涼弥が受けとか普通におかしいだろ……でもないか? ギャップ萌え? 紫道みたいに……。
頭を振って、心で笑った。
思ったよりタフだな俺。
幼馴染みの親友を恋愛対象として好きだって自覚した途端、すでに失恋フラグがチラつくのに。腐った思考は健在とか。
あー……。
明日、涼弥と顔合わせずに済むといい……な。
学園のある駅を通り過ぎて一駅目。
電車を降りて改札を抜け、住宅街へ。
歩くこと10分弱で、自宅に到着。
玄関で靴を脱いでると、リビングに続くドアが開いた。
「おかえり。遅かったね。夕食は? 食べる?」
廊下に現れた紗羅の口調が、わざとらしくやさし気だ。
「ただいま。あー、うん。食べるよ」
「じゃあ、用意するから早く着替えてきて」
クルリと向きを変えた紗羅が、ドアの向こうに消えた。
あれ? 俺何かした?
いや、セックスはしたけど。それ以外に。
あのあと、何かあったか……?
微妙に険のある紗羅の様子に溜息をつきつつ、俺は自室へと階段を上った。
「深音としてきたの?」
唐揚げとサラダ、ご飯、みそ汁をかき込む俺の対面に座った紗羅が言った。先にひとりで夕飯を済ませたらしく、紗羅の前にはコーヒーのマグだけ置いてある。
今週、両親は仕事で遅くなる予定。基本、毎週だけどな。
「うん」
俺と紗羅の間に、遠慮はほぼない。照れも気まずさもない。よその姉弟はどうか知らないけど、うちはこんな感じ。
何年も臆面もなくエロトークしてきたからね。照れて恥ずかしがるほうが逆に恥ずかしいっていう。
「ちゃんと出来た?」
「出来たよ」
「深音、大丈夫? 人前で將梧にああいうこと言うの、あの子らしくないから」
「大丈夫……と思う。今度話聞いてあげて」
「そうするわ」
半年前、俺たちの交際を聞いた紗羅に詰め寄られた。
レズなのに、深音が男を知るために俺とつき合うこと。
セックス込みのそのつき合いを、俺が承諾したこと。
紗羅には理解し難くて納得出来ないものだったらしく。
二人とも何考えてるの?……って。
まぁ深音は深音で、俺は俺でこの偽装交際の利点を説明して最終的にわかってもらえたんだけどさ。
経験としてのセックスをしたあともつき合い続ける俺たち……特に俺に。
本当は好きなんじゃないの?
つき合ってるうちに本気になってこない?
ちゃんとした恋人同士になれるんじゃない?
二人とも異性とセックス出来るなら問題ないでしょ?
そう言ってた紗羅。
当の俺たちは、あくまでも偽装の交際が都合よくて。
それに、たぶん……俺と深音がこの先セックスすることはないと思う。
実験の結果は出たから。
異性とのセックスを、身体は拒否しない。信頼関係があれば、心も。
だから気持ちいいし、相手を気持ちよくしたくもなるんだろうしね。
この結果にお互い満足して、感謝してる。
だけど、好きな人は同性で。同性とのセックスはまだ……未知の領域だ。
腹が減ってた俺は、あっという間に夕飯を食べ終えた。
皿を洗って片づけて。
自分の分のコーヒーを手に、紗羅の待つ食卓に戻る。
さっきの会話からすると、本題は俺と深音のことじゃないよな。
「お前のほうは、あれからどうした?」
俺から話を振った。
再び電車に揺られてる。
セックスのあと軽くシャワーで身体を流し、小一時間ばかりお喋りをしてから帰路についた。
服を着てからの俺と深音の関係は、これまでと変わらない。
腐仲間で気の置けない友人で、同志で偽装の恋人同士。
2度目のセックスは予想以上にうまくいった。
ちゃんと勃ったし、俺だけじゃなく深音もイケたし。
そして、慰められた。
人と身体で繋がって、一緒に快感を追うって行為に。
よけいなことを忘れて、よけいじゃないことだけが残ることに。
ただ。
涼弥が好きってわかってもなぁ……だからって、どうにもならないじゃん?
あいつはきっとノンケだし、俺がノンケだって全く疑ってないしさ。
それに。
俺はたぶんバイかゲイなんだと思うけど……男が好きだからって、男とセックス出来るかわからない。もしするとして、自分が挿れたいのか挿れられたいのかもわからない。
嫌悪感なく、生身の男相手に勃つかな?
恐怖心なく、男に尻の穴に突っ込まれたいってリアルに思えるか? 突っ込みたいって欲情するか?
やめよう。
いくら想像したって意味ないもんな……っていうかさ。
現実にあり得ないから、涼弥で妄想とか苦しいんだよ。虚しいっていうかね。
特に、涼弥が受けとか普通におかしいだろ……でもないか? ギャップ萌え? 紫道みたいに……。
頭を振って、心で笑った。
思ったよりタフだな俺。
幼馴染みの親友を恋愛対象として好きだって自覚した途端、すでに失恋フラグがチラつくのに。腐った思考は健在とか。
あー……。
明日、涼弥と顔合わせずに済むといい……な。
学園のある駅を通り過ぎて一駅目。
電車を降りて改札を抜け、住宅街へ。
歩くこと10分弱で、自宅に到着。
玄関で靴を脱いでると、リビングに続くドアが開いた。
「おかえり。遅かったね。夕食は? 食べる?」
廊下に現れた紗羅の口調が、わざとらしくやさし気だ。
「ただいま。あー、うん。食べるよ」
「じゃあ、用意するから早く着替えてきて」
クルリと向きを変えた紗羅が、ドアの向こうに消えた。
あれ? 俺何かした?
いや、セックスはしたけど。それ以外に。
あのあと、何かあったか……?
微妙に険のある紗羅の様子に溜息をつきつつ、俺は自室へと階段を上った。
「深音としてきたの?」
唐揚げとサラダ、ご飯、みそ汁をかき込む俺の対面に座った紗羅が言った。先にひとりで夕飯を済ませたらしく、紗羅の前にはコーヒーのマグだけ置いてある。
今週、両親は仕事で遅くなる予定。基本、毎週だけどな。
「うん」
俺と紗羅の間に、遠慮はほぼない。照れも気まずさもない。よその姉弟はどうか知らないけど、うちはこんな感じ。
何年も臆面もなくエロトークしてきたからね。照れて恥ずかしがるほうが逆に恥ずかしいっていう。
「ちゃんと出来た?」
「出来たよ」
「深音、大丈夫? 人前で將梧にああいうこと言うの、あの子らしくないから」
「大丈夫……と思う。今度話聞いてあげて」
「そうするわ」
半年前、俺たちの交際を聞いた紗羅に詰め寄られた。
レズなのに、深音が男を知るために俺とつき合うこと。
セックス込みのそのつき合いを、俺が承諾したこと。
紗羅には理解し難くて納得出来ないものだったらしく。
二人とも何考えてるの?……って。
まぁ深音は深音で、俺は俺でこの偽装交際の利点を説明して最終的にわかってもらえたんだけどさ。
経験としてのセックスをしたあともつき合い続ける俺たち……特に俺に。
本当は好きなんじゃないの?
つき合ってるうちに本気になってこない?
ちゃんとした恋人同士になれるんじゃない?
二人とも異性とセックス出来るなら問題ないでしょ?
そう言ってた紗羅。
当の俺たちは、あくまでも偽装の交際が都合よくて。
それに、たぶん……俺と深音がこの先セックスすることはないと思う。
実験の結果は出たから。
異性とのセックスを、身体は拒否しない。信頼関係があれば、心も。
だから気持ちいいし、相手を気持ちよくしたくもなるんだろうしね。
この結果にお互い満足して、感謝してる。
だけど、好きな人は同性で。同性とのセックスはまだ……未知の領域だ。
腹が減ってた俺は、あっという間に夕飯を食べ終えた。
皿を洗って片づけて。
自分の分のコーヒーを手に、紗羅の待つ食卓に戻る。
さっきの会話からすると、本題は俺と深音のことじゃないよな。
「お前のほうは、あれからどうした?」
俺から話を振った。
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