24 / 246
11-1 家に帰って晩御飯
しおりを挟む
午後8時過ぎ。
再び電車に揺られてる。
セックスのあと軽くシャワーで身体を流し、小一時間ばかりお喋りをしてから帰路についた。
服を着てからの俺と深音の関係は、これまでと変わらない。
腐仲間で気の置けない友人で、同志で偽装の恋人同士。
2度目のセックスは予想以上にうまくいった。
ちゃんと勃ったし、俺だけじゃなく深音もイケたし。
そして、慰められた。
人と身体で繋がって、一緒に快感を追うって行為に。
よけいなことを忘れて、よけいじゃないことだけが残ることに。
ただ。
涼弥が好きってわかってもなぁ……だからって、どうにもならないじゃん?
あいつはきっとノンケだし、俺がノンケだって全く疑ってないしさ。
それに。
俺はたぶんバイかゲイなんだと思うけど……男が好きだからって、男とセックス出来るかわからない。もしするとして、自分が挿れたいのか挿れられたいのかもわからない。
嫌悪感なく、生身の男相手に勃つかな?
恐怖心なく、男に尻の穴に突っ込まれたいってリアルに思えるか? 突っ込みたいって欲情するか?
やめよう。
いくら想像したって意味ないもんな……っていうかさ。
現実にあり得ないから、涼弥で妄想とか苦しいんだよ。虚しいっていうかね。
特に、涼弥が受けとか普通におかしいだろ……でもないか? ギャップ萌え? 紫道みたいに……。
頭を振って、心で笑った。
思ったよりタフだな俺。
幼馴染みの親友を恋愛対象として好きだって自覚した途端、すでに失恋フラグがチラつくのに。腐った思考は健在とか。
あー……。
明日、涼弥と顔合わせずに済むといい……な。
学園のある駅を通り過ぎて一駅目。
電車を降りて改札を抜け、住宅街へ。
歩くこと10分弱で、自宅に到着。
玄関で靴を脱いでると、リビングに続くドアが開いた。
「おかえり。遅かったね。夕食は? 食べる?」
廊下に現れた紗羅の口調が、わざとらしくやさし気だ。
「ただいま。あー、うん。食べるよ」
「じゃあ、用意するから早く着替えてきて」
クルリと向きを変えた紗羅が、ドアの向こうに消えた。
あれ? 俺何かした?
いや、セックスはしたけど。それ以外に。
あのあと、何かあったか……?
微妙に険のある紗羅の様子に溜息をつきつつ、俺は自室へと階段を上った。
「深音としてきたの?」
唐揚げとサラダ、ご飯、みそ汁をかき込む俺の対面に座った紗羅が言った。先にひとりで夕飯を済ませたらしく、紗羅の前にはコーヒーのマグだけ置いてある。
今週、両親は仕事で遅くなる予定。基本、毎週だけどな。
「うん」
俺と紗羅の間に、遠慮はほぼない。照れも気まずさもない。よその姉弟はどうか知らないけど、うちはこんな感じ。
何年も臆面もなくエロトークしてきたからね。照れて恥ずかしがるほうが逆に恥ずかしいっていう。
「ちゃんと出来た?」
「出来たよ」
「深音、大丈夫? 人前で將梧にああいうこと言うの、あの子らしくないから」
「大丈夫……と思う。今度話聞いてあげて」
「そうするわ」
半年前、俺たちの交際を聞いた紗羅に詰め寄られた。
レズなのに、深音が男を知るために俺とつき合うこと。
セックス込みのそのつき合いを、俺が承諾したこと。
紗羅には理解し難くて納得出来ないものだったらしく。
二人とも何考えてるの?……って。
まぁ深音は深音で、俺は俺でこの偽装交際の利点を説明して最終的にわかってもらえたんだけどさ。
経験としてのセックスをしたあともつき合い続ける俺たち……特に俺に。
本当は好きなんじゃないの?
つき合ってるうちに本気になってこない?
ちゃんとした恋人同士になれるんじゃない?
二人とも異性とセックス出来るなら問題ないでしょ?
そう言ってた紗羅。
当の俺たちは、あくまでも偽装の交際が都合よくて。
それに、たぶん……俺と深音がこの先セックスすることはないと思う。
実験の結果は出たから。
異性とのセックスを、身体は拒否しない。信頼関係があれば、心も。
だから気持ちいいし、相手を気持ちよくしたくもなるんだろうしね。
この結果にお互い満足して、感謝してる。
だけど、好きな人は同性で。同性とのセックスはまだ……未知の領域だ。
腹が減ってた俺は、あっという間に夕飯を食べ終えた。
皿を洗って片づけて。
自分の分のコーヒーを手に、紗羅の待つ食卓に戻る。
さっきの会話からすると、本題は俺と深音のことじゃないよな。
「お前のほうは、あれからどうした?」
俺から話を振った。
再び電車に揺られてる。
セックスのあと軽くシャワーで身体を流し、小一時間ばかりお喋りをしてから帰路についた。
服を着てからの俺と深音の関係は、これまでと変わらない。
腐仲間で気の置けない友人で、同志で偽装の恋人同士。
2度目のセックスは予想以上にうまくいった。
ちゃんと勃ったし、俺だけじゃなく深音もイケたし。
そして、慰められた。
人と身体で繋がって、一緒に快感を追うって行為に。
よけいなことを忘れて、よけいじゃないことだけが残ることに。
ただ。
涼弥が好きってわかってもなぁ……だからって、どうにもならないじゃん?
あいつはきっとノンケだし、俺がノンケだって全く疑ってないしさ。
それに。
俺はたぶんバイかゲイなんだと思うけど……男が好きだからって、男とセックス出来るかわからない。もしするとして、自分が挿れたいのか挿れられたいのかもわからない。
嫌悪感なく、生身の男相手に勃つかな?
恐怖心なく、男に尻の穴に突っ込まれたいってリアルに思えるか? 突っ込みたいって欲情するか?
やめよう。
いくら想像したって意味ないもんな……っていうかさ。
現実にあり得ないから、涼弥で妄想とか苦しいんだよ。虚しいっていうかね。
特に、涼弥が受けとか普通におかしいだろ……でもないか? ギャップ萌え? 紫道みたいに……。
頭を振って、心で笑った。
思ったよりタフだな俺。
幼馴染みの親友を恋愛対象として好きだって自覚した途端、すでに失恋フラグがチラつくのに。腐った思考は健在とか。
あー……。
明日、涼弥と顔合わせずに済むといい……な。
学園のある駅を通り過ぎて一駅目。
電車を降りて改札を抜け、住宅街へ。
歩くこと10分弱で、自宅に到着。
玄関で靴を脱いでると、リビングに続くドアが開いた。
「おかえり。遅かったね。夕食は? 食べる?」
廊下に現れた紗羅の口調が、わざとらしくやさし気だ。
「ただいま。あー、うん。食べるよ」
「じゃあ、用意するから早く着替えてきて」
クルリと向きを変えた紗羅が、ドアの向こうに消えた。
あれ? 俺何かした?
いや、セックスはしたけど。それ以外に。
あのあと、何かあったか……?
微妙に険のある紗羅の様子に溜息をつきつつ、俺は自室へと階段を上った。
「深音としてきたの?」
唐揚げとサラダ、ご飯、みそ汁をかき込む俺の対面に座った紗羅が言った。先にひとりで夕飯を済ませたらしく、紗羅の前にはコーヒーのマグだけ置いてある。
今週、両親は仕事で遅くなる予定。基本、毎週だけどな。
「うん」
俺と紗羅の間に、遠慮はほぼない。照れも気まずさもない。よその姉弟はどうか知らないけど、うちはこんな感じ。
何年も臆面もなくエロトークしてきたからね。照れて恥ずかしがるほうが逆に恥ずかしいっていう。
「ちゃんと出来た?」
「出来たよ」
「深音、大丈夫? 人前で將梧にああいうこと言うの、あの子らしくないから」
「大丈夫……と思う。今度話聞いてあげて」
「そうするわ」
半年前、俺たちの交際を聞いた紗羅に詰め寄られた。
レズなのに、深音が男を知るために俺とつき合うこと。
セックス込みのそのつき合いを、俺が承諾したこと。
紗羅には理解し難くて納得出来ないものだったらしく。
二人とも何考えてるの?……って。
まぁ深音は深音で、俺は俺でこの偽装交際の利点を説明して最終的にわかってもらえたんだけどさ。
経験としてのセックスをしたあともつき合い続ける俺たち……特に俺に。
本当は好きなんじゃないの?
つき合ってるうちに本気になってこない?
ちゃんとした恋人同士になれるんじゃない?
二人とも異性とセックス出来るなら問題ないでしょ?
そう言ってた紗羅。
当の俺たちは、あくまでも偽装の交際が都合よくて。
それに、たぶん……俺と深音がこの先セックスすることはないと思う。
実験の結果は出たから。
異性とのセックスを、身体は拒否しない。信頼関係があれば、心も。
だから気持ちいいし、相手を気持ちよくしたくもなるんだろうしね。
この結果にお互い満足して、感謝してる。
だけど、好きな人は同性で。同性とのセックスはまだ……未知の領域だ。
腹が減ってた俺は、あっという間に夕飯を食べ終えた。
皿を洗って片づけて。
自分の分のコーヒーを手に、紗羅の待つ食卓に戻る。
さっきの会話からすると、本題は俺と深音のことじゃないよな。
「お前のほうは、あれからどうした?」
俺から話を振った。
0
お気に入りに追加
326
あなたにおすすめの小説
そばにいてほしい。
15
BL
僕の恋人には、幼馴染がいる。
そんな幼馴染が彼はよっぽど大切らしい。
──だけど、今日だけは僕のそばにいて欲しかった。
幼馴染を優先する攻め×口に出せない受け
安心してください、ハピエンです。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)
転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…
こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件
神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。
僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。
だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。
子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。
ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。
指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。
あれから10年近く。
ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。
だけど想いを隠すのは苦しくて――。
こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。
なのにどうして――。
『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』
えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)
俺のソフレは最強らしい。
深川根墨
BL
極度の不眠症である主人公、照国京は誰かに添い寝をしてもらわなければ充分な睡眠を得ることができない身体だった。京は質の良い睡眠を求め、マッチングサイトで出会った女の子と添い寝フレンド契約を結び、暮らしていた。
そんなある日ソフレを失い困り果てる京だったが、ガタイの良い泥棒──ゼロが部屋に侵入してきた!
え⁉︎ 何でベランダから⁉︎ この部屋六階なんやけど⁉︎
紆余曲折あり、ゼロとソフレ関係になった京。生活力無しのゼロとの生活は意外に順調だったが、どうやらゼロには大きな秘密があるようで……。
ノンケ素直な関西弁 × 寡黙で屈強な泥棒(?)
※処女作です。拙い点が多いかと思いますが、よろしくお願いします。
※エロ少しあります……ちょびっとです。
※流血、暴力シーン有りです。お気をつけください。
2022/02/25 本編完結しました。ありがとうございました。あと番外編SS数話投稿します。
2022/03/01 完結しました。皆さんありがとうございました。
エスポワールで会いましょう
茉莉花 香乃
BL
迷子癖がある主人公が、入学式の日に早速迷子になってしまった。それを助けてくれたのは背が高いイケメンさんだった。一目惚れしてしまったけれど、噂ではその人には好きな人がいるらしい。
じれじれ
ハッピーエンド
1ページの文字数少ないです
初投稿作品になります
2015年に他サイトにて公開しています
[本編完結]彼氏がハーレムで困ってます
はな
BL
佐藤雪には恋人がいる。だが、その恋人はどうやら周りに女の子がたくさんいるハーレム状態らしい…どうにか、自分だけを見てくれるように頑張る雪。
果たして恋人とはどうなるのか?
主人公 佐藤雪…高校2年生
攻め1 西山慎二…高校2年生
攻め2 七瀬亮…高校2年生
攻め3 西山健斗…中学2年生
初めて書いた作品です!誤字脱字も沢山あるので教えてくれると助かります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる