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本編
魔導書
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魔女の国・書庫。
ジェデトの呼び出しによって義姉妹が訪れたこの場所は、魔女の歴史や
その扱う魔術など、これらに関する書物が数多く保管されている。
そしてこの場所を管理している魔女こそが、他でもないジェデトであった。
「突然呼び出すなんて何かあったの?」
マリーチルが疑問の表情で問い掛けると、ジェデトは申し訳なさそうに言葉を
返す。
「いや、心配させて済まない、実は君たちに確認……というより、頼みたいことが
あってね」
そう言うとジェデトは手にしていた一冊の本を、2人の視線の前へと差し出した。
「君たち、何処かでこのような本を見たことが無いかい?」
「……? ちょっと見せて」
差し出された本をマリーチルが受け取ると、彼女はその本を直視した。
それは目立つような装飾などは特に無いものの、微かに特徴のある模様が確認
できる古びた本であった。
「見たことないなぁ……あまり目立たない感じの本だけど、さすかに気が付かな
かったってことはないはずだよ」
言いながらマリーチルは首を傾げると、その横で同じように本を直視していた
アズリッテへと問い掛ける。
「どう? アズリーは見たことある?」
「私も見たことがない……」
答えたアズリッテはジェデトの方に向き直り、彼女へと尋ねる。
「この本が何か? 見たところ魔導書のようですが……?」
「その通りだよ、ただ……かなり危険なものだけどね」
それを聞いた2人が顔を引きつらせるも、ジェデトは平然と話を続ける。
「この書庫にあるのはこれ一冊なのだが、どうやら対になる魔導書がもう一冊
あることが分かってね、それで僕の方でも探してみたのだけれど……」
「恐らくこの国には無い、そうなると考えられるところは……」
「まさか、あちら側に……?」
話から察したアズリッテが口を開くと、ジェデトは静かに頷いた。
「そう、昨日のように風当りの悪い街も平気で歩き回る君たちのことだったら
見たことがある可能性も皆無ではないと思ってね」
その時、話を聞いていたマリーチルが慌てた声を出す。
「そんなものが向こうにあって大丈夫なの!?」
「確かに魔女が手にすれば危険なものだけど、人間の手に渡ったところで
大したことはないよ、ただの古びた本と見るか、骨董としての価値を付ける程度
だろうね」
「第一の話、相当古いものだからすでに破棄されている可能性だってある」
説明するジェデトの態度から、言いたいことを感じ取ったマリーチルは彼女へと
尋ねる。
「つまり、もし見つけたら持ってきてほしいってこと?」
「話が早くて助かるよ、しかし明確な存在が確認できないものだから
血眼になって探す必要はないけれど、見つけることがあれば教えて欲しい」
「もし馬鹿みたいな価値を付けられていたら、それはそれで面倒だね……」
苦い顔で呟くマリーチルの隣で、今度はアズリッテが深刻な表情で
ジェデトへと問いかける。
「あの……仮に見つかったとして、言うような魔導書を私たちに任せて
大丈夫ですか? それを万が一私たちが、んんっ!」
アズリッテが言いかけたところで突然、マリーチルが彼女の口を塞ぎ
その言葉を遮った。
「私もアズリーも、そんな気高くないことしないでしょう?」
「そ、そうだね……ごめん……」
そんな義姉妹のやり取りを見たジェデトは、穏やかな表情で口を開く。
「マリーチルの言う通りだよ、信頼できる君たちだからこのような話をしている」
ジェデトの言葉を聞いたマリーチルは、自信に満ちた顔で彼女へと声を掛ける。
「分かった、見つけたら何とかするよ! ところで、ジェデトが私たちを呼び出した用件って……このこと?」
「実はもう一つ頼みたいことがあるのだが、呼び出しついでにお願いしても
良いかい?」
「……?」
落ち着いた声でそう答えるジェデトに、義姉妹は再び疑問の表情を浮かべていた。
ジェデトの呼び出しによって義姉妹が訪れたこの場所は、魔女の歴史や
その扱う魔術など、これらに関する書物が数多く保管されている。
そしてこの場所を管理している魔女こそが、他でもないジェデトであった。
「突然呼び出すなんて何かあったの?」
マリーチルが疑問の表情で問い掛けると、ジェデトは申し訳なさそうに言葉を
返す。
「いや、心配させて済まない、実は君たちに確認……というより、頼みたいことが
あってね」
そう言うとジェデトは手にしていた一冊の本を、2人の視線の前へと差し出した。
「君たち、何処かでこのような本を見たことが無いかい?」
「……? ちょっと見せて」
差し出された本をマリーチルが受け取ると、彼女はその本を直視した。
それは目立つような装飾などは特に無いものの、微かに特徴のある模様が確認
できる古びた本であった。
「見たことないなぁ……あまり目立たない感じの本だけど、さすかに気が付かな
かったってことはないはずだよ」
言いながらマリーチルは首を傾げると、その横で同じように本を直視していた
アズリッテへと問い掛ける。
「どう? アズリーは見たことある?」
「私も見たことがない……」
答えたアズリッテはジェデトの方に向き直り、彼女へと尋ねる。
「この本が何か? 見たところ魔導書のようですが……?」
「その通りだよ、ただ……かなり危険なものだけどね」
それを聞いた2人が顔を引きつらせるも、ジェデトは平然と話を続ける。
「この書庫にあるのはこれ一冊なのだが、どうやら対になる魔導書がもう一冊
あることが分かってね、それで僕の方でも探してみたのだけれど……」
「恐らくこの国には無い、そうなると考えられるところは……」
「まさか、あちら側に……?」
話から察したアズリッテが口を開くと、ジェデトは静かに頷いた。
「そう、昨日のように風当りの悪い街も平気で歩き回る君たちのことだったら
見たことがある可能性も皆無ではないと思ってね」
その時、話を聞いていたマリーチルが慌てた声を出す。
「そんなものが向こうにあって大丈夫なの!?」
「確かに魔女が手にすれば危険なものだけど、人間の手に渡ったところで
大したことはないよ、ただの古びた本と見るか、骨董としての価値を付ける程度
だろうね」
「第一の話、相当古いものだからすでに破棄されている可能性だってある」
説明するジェデトの態度から、言いたいことを感じ取ったマリーチルは彼女へと
尋ねる。
「つまり、もし見つけたら持ってきてほしいってこと?」
「話が早くて助かるよ、しかし明確な存在が確認できないものだから
血眼になって探す必要はないけれど、見つけることがあれば教えて欲しい」
「もし馬鹿みたいな価値を付けられていたら、それはそれで面倒だね……」
苦い顔で呟くマリーチルの隣で、今度はアズリッテが深刻な表情で
ジェデトへと問いかける。
「あの……仮に見つかったとして、言うような魔導書を私たちに任せて
大丈夫ですか? それを万が一私たちが、んんっ!」
アズリッテが言いかけたところで突然、マリーチルが彼女の口を塞ぎ
その言葉を遮った。
「私もアズリーも、そんな気高くないことしないでしょう?」
「そ、そうだね……ごめん……」
そんな義姉妹のやり取りを見たジェデトは、穏やかな表情で口を開く。
「マリーチルの言う通りだよ、信頼できる君たちだからこのような話をしている」
ジェデトの言葉を聞いたマリーチルは、自信に満ちた顔で彼女へと声を掛ける。
「分かった、見つけたら何とかするよ! ところで、ジェデトが私たちを呼び出した用件って……このこと?」
「実はもう一つ頼みたいことがあるのだが、呼び出しついでにお願いしても
良いかい?」
「……?」
落ち着いた声でそう答えるジェデトに、義姉妹は再び疑問の表情を浮かべていた。
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