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本編
魔女の義姉妹
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この世界には、人間と住処を分けた魔女たちが平穏に暮らす魔女の国が存在する。
ここで暮らしている魔女たちの感情は様々であり、人間に対し憎悪や恐怖を
抱く者もいれば、全く興味を示さない者もいる。
更には、人々あるいはその文明に興味を向けてしまう変わり者も少なからず
存在しているのも事実であった。
……。
ある賑やかな街の中。
行き交う人々に混じり、その歩みを進める2人の女性がいた。
姉のマリーチル。
妹のアズリッテ。
彼女たちは、魔女の国で仲良く暮らす義姉妹である。
人目を避ける事もなく、堂々と街中を歩き回る彼女たちであるが
そこに疑いの目を向ける者は誰一人としていなかった。
行き交う人間と変わらぬ衣服を纏い、容姿も人間の女性と変わらない彼女たちに
対し、街の人々は魔女と疑うどころか気にも留めないのである。
「……あ!」
そんな時、何かに気が付いたマリーチルが突然、その足を止める。
「……? マリーちゃん?」
合わせてアズリッテが立ち止まると、マリーチルは近くの店に備えられた飾り窓に駆け寄り、アズリッテへと声を掛ける。
「見てアズリー! この服!」
その声を聞き、窓へと近寄ったアズリッテが中へ視線を向けると、そこには
マリーチルの着ているものによく似た形状の煌びやかな衣服が飾られていた。
「うわぁ……これ可愛いなぁ……」
「うん、確かに可愛いけど……」
目を輝かせながら窓の衣服を見つめるマリーチルに、アズリッテは難しい表情で
答える。
そんな浮かない反応を示すアズリッテに対し、マリーチルは問い掛ける。
「そういえばアズリーって、こういう服ほとんど着ないよね? 嫌い?」
「別に嫌いって訳じゃないよ、ただ明るい服だと目立つかと思って……それと……」
飾られている衣服と一緒に添えられたプレートを指すアズリッテ。
そのプレートに記された数字を見たマリーチルは目を丸くする。
「うげぇ……高い……」
「……いま私たちが着ている服が何着も買えますね」
「さ、散財はさすがに気高くないよね……行こうアズリー」
そう言って窓から顔を離し、その場から立ち去ろうとするマリーチルに
アズリッテは微笑しながらその背中を追いかけた。
これが平常の彼女たちである。
何者にも囚われず、自由奔放にこの世界を歓楽する。
彼女たちもまた、そんな変わり者の魔女と呼ばれる存在なのであった。
ここで暮らしている魔女たちの感情は様々であり、人間に対し憎悪や恐怖を
抱く者もいれば、全く興味を示さない者もいる。
更には、人々あるいはその文明に興味を向けてしまう変わり者も少なからず
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……。
ある賑やかな街の中。
行き交う人々に混じり、その歩みを進める2人の女性がいた。
姉のマリーチル。
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彼女たちは、魔女の国で仲良く暮らす義姉妹である。
人目を避ける事もなく、堂々と街中を歩き回る彼女たちであるが
そこに疑いの目を向ける者は誰一人としていなかった。
行き交う人間と変わらぬ衣服を纏い、容姿も人間の女性と変わらない彼女たちに
対し、街の人々は魔女と疑うどころか気にも留めないのである。
「……あ!」
そんな時、何かに気が付いたマリーチルが突然、その足を止める。
「……? マリーちゃん?」
合わせてアズリッテが立ち止まると、マリーチルは近くの店に備えられた飾り窓に駆け寄り、アズリッテへと声を掛ける。
「見てアズリー! この服!」
その声を聞き、窓へと近寄ったアズリッテが中へ視線を向けると、そこには
マリーチルの着ているものによく似た形状の煌びやかな衣服が飾られていた。
「うわぁ……これ可愛いなぁ……」
「うん、確かに可愛いけど……」
目を輝かせながら窓の衣服を見つめるマリーチルに、アズリッテは難しい表情で
答える。
そんな浮かない反応を示すアズリッテに対し、マリーチルは問い掛ける。
「そういえばアズリーって、こういう服ほとんど着ないよね? 嫌い?」
「別に嫌いって訳じゃないよ、ただ明るい服だと目立つかと思って……それと……」
飾られている衣服と一緒に添えられたプレートを指すアズリッテ。
そのプレートに記された数字を見たマリーチルは目を丸くする。
「うげぇ……高い……」
「……いま私たちが着ている服が何着も買えますね」
「さ、散財はさすがに気高くないよね……行こうアズリー」
そう言って窓から顔を離し、その場から立ち去ろうとするマリーチルに
アズリッテは微笑しながらその背中を追いかけた。
これが平常の彼女たちである。
何者にも囚われず、自由奔放にこの世界を歓楽する。
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