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第五章 絡み合う思惑の果て

黒雨の災禍・軋む心

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「――殿……! ――様! ……を、――っ!」

 水の膜を隔てたように、どこか遠くから籠った音が聞こえた。酷く切迫した様子の、人の声だ。他にも何か絶え間なく音が聞こえているけれど、それが何かは判然としない。

「――無事……、……ある! 少し――」

 次第にはっきり聞こえ始めた声に導かれるように薄っすらと目を開ければ、ぼやけた視界に誰かの手が見えた。黒衣に包まれたそれは私の顔の横、すぐそばから伸びていて、巨大な何かに手の平を当てている。
 一体、何をしているのだろうか……上手く働かない頭でぼんやりとそれを眺めていれば、ぐっと手に力が込められる様子があって、一拍後、巨大な何かに手を中心に放射状に亀裂が入った。更に力を込めると亀裂が広がり、巨大な何かが音を立てて崩壊する。
 途端に、どうしてか今まで満足にできなかった呼吸が急に楽になり、私は強く咳き込んだ。間を置かずに私の体を引っ張るような動きがあって、体に伸し掛かっていた重みが完全に消え去る。

「ミリアム様! お気を確かに!」

 強い声で呼び掛けられて、私は視界に入る顔をゆるりと見上げた。何度か瞬いていれば視界は明瞭になり、私の思考の靄もわずかに晴れる。
 頭が痛む。体が冷たい。手足の感覚が薄い。途切れた記憶が突然の状況と上手く結びつかずに、私は顔を顰めた。

「ミリアム、私が分かるか?」

 私を覗き込むのは、すっかり濡れそぼった美しい黒髪に紅玉よりも輝く深紅の瞳を持った青年――キリアンだ。

「……キリアン、様……? 一体、何が……?」
「馬車が横転して、あなたは頭に怪我を負ったのだ。すぐに手当をさせる。だから、動かずじっとしていろ。……いいな?」

 ゆっくりとキリアンの言葉を咀嚼しながら頷けば、キリアンはわずかに安堵の表情を見せたあと、隣にいた騎士に私を任せてこの場を離れた。
 去っていくその横顔は、先ほどレナートと言葉を交わしていた時よりも随分険しい。馬車が横転したとのことだけれど、私以外に怪我人でもいるのだろうか。

「ミリアム様、お体失礼いたします」

 ぼんやりとキリアンの姿を見送っていると、キリアンから私のことを任された騎士が、私の体を丁寧に抱き起こしてくれた。そのまま、わずかでも雨を凌げる場所へと私を運ぶと素早く私の頭部に何かを宛がい、きつく締め付ける。その痛みに、ようやく私の思考がはっきりとした。
 意志を持って瞬きを繰り返し、私は顔を上げる。そうすれば、私を介抱する騎士の向こうに、キリアンの言葉通りに横転した馬車が見えた。何かに押し潰されでもしたのか、馬車は見事に破壊されている。
 屋根部分が大きく割れているところを見るに、どうやら私はそこから助け出されたのだろう。頭部以外には痛む部分がないことから、怪我は軽傷。気を失う直前の状況から考えれば、キリアンが私のことをその身を挺して守ってくれたに違いない。
 激しい風雨に、空を駆ける稲光。天候は、馬車が横転する前とさほど変化はないようだ。私が気を失っていたのも、そう長い時間ではないのだろう。
 現状を確認し、私はほっと息を吐いた。そして、応急手当てを終えたにも拘らず、風雨から守ろうとしてくれているのか私の前から動く気配のない騎士に、礼を込めて微笑んだ。

「助けてくださって、ありがとうございます」
「礼など。私は当然のことをしたまでです」

 騎士は胸に手を当て、私に向かって折り目正しく頭を下げる。その様子は、こんな時でも流石は王太子の護衛を務める騎士隊に所属する騎士だと私に思わせた。
 これがレナートならば、きっと「どういたしまして」とでも言って私に笑いかけるのだろう。そして、そのあとで私の怪我を酷く心配して眉を下げるのだ。その上、私が少しでも動こうものなら過保護が発動して、口と手が煩く出てしまう。あちらは、王太子の側近なのに。
 そんな想像をして口を緩ませた私は、ふと引っかかりを覚えた。何かとても大事なことを忘れているような、そんな嫌な予感がじわりと胸に湧き上がる。
 周囲へ注意を向ければ、降りしきる雨と鳴り続く雷の中、キリアンがそれらの音に負けじと声を張って指示を出しているのが聞こえてくる。それは、馬車が横転しただけにしてはやけに切迫していた。そして、彼の声に応じる人の数は、同行している騎士の総数に比して、どうにも少ない。それどころか、よくよく耳を澄ませてみれば、苦しげに喘ぐ馬の鳴き声や助けを求める人の声が、雨音に混じって方々から聞こえていた。
 漂う匂いも異常だ。これだけの大雨の中だと言うのに、噎せ返るほどの濃い土の香が辺り一帯に充満している。

(どうして……?)

 これはおかしい。明らかにおかしい。
 気付いた途端、私の背筋に悪寒が走った。朧気だった嫌な予感が、徐々に形を成し始める。
 極め付けは、目の前の騎士だ。私を風雨から守ってくれているのだとばかり思っていたけれど、それにしては私の間近に居座ったまま、微動だにしないのだ。
 キリアンの声から想像するに、今は一人でも多くの手が欲しい状況だろうに、騎士が主の手助けに向かう素振りはない。キリアンもまた、お前はそこにいろとでも言うかのように目の前の騎士を呼ぶことをしない。動かさない。
 雨避けの外套の存在も相まって、壁のように私の前に控える騎士。それはまるで、私の視界を遮るかのようで――
 そこまで考えて、私の胸に冷たい何かがすっと差した。土の匂いが嫌に鼻につく。雷が不吉に鳴る。フィンの警告が脳裏を過り、私の心臓が嫌な音を立てた。勝手に血の気が失せていく。

「……あの」
「傷に障りますので、ミリアム様はどうか、この場に」

 何かを堪えるような騎士の一言は、私の予感を確信に変えた。
 考えるより先に体が動き、気付いた時には、私を騎士を押し退けて立ち上がっていた。同時に、耳を劈く轟音が空を裂く。
 そして、一瞬の眩い光に照らされる――街道の惨状。

「――う、そ……」

 怪我の所為ではなくふらりと揺れた体を、騎士が咄嗟に支えてくれる。けれど、私にそちらを気遣う余裕は欠片もなかった。耳元で騎士の声がしたような気もするけれど、それすら分からない。
 そんなことよりも何よりも、私は目の前の光景に釘付けになっていたのだ。
 まず私の目に飛び込んできたのは、横転して壊れた馬車の、その後ろ。綺麗に整えられていた街道は雪崩れ込んできた大量の土砂によって埋め尽くされて、見る影もない。山肌は無残に抉れ、土砂の運んできた落石や倒木が至る所に存在し、辛うじて大きな被害を免れたらしい数人の騎士が、必死に土砂の中から人馬を助け出そうとしている以外は動くものの気配は皆無だ。
 前方を見ても惨状は変わらなかった。落雷の直撃を受けた大木が街道に横たわり、消えかけながらも炎を上げている。その周辺は同じく土砂に埋め尽くされて、完全に街道を寸断していた。
 その中で、キリアンだけが忙しく動く姿がある。動ける者に指示を出し、クルードの加護なのだろう素手で巨岩を砕き、倒木をたった一人で脇へと押しやりながら、必死に救助に手を動かしている。けれど、その近くに彼の側近たる二人の騎士の姿はない。
 凛々しい女騎士と誰より頼もしい騎士が、どこにも見当たらない。存在を示す声も聞こえない。
 キリアンは、一人だ。

(何、で……?)

 信じられなかった。目に見えるもの全てを信じたくなかった。嘘だと誰かに言ってほしかった。

(――嫌。嘘。嫌よ……)

 受け入れ難い現実に、勝手に私の頭が左右に振れる。唇が意味もなく戦慄く。降る雨の所為ではなく体が震え、足からは今にも力が抜けてしまいそうだった。

「……嫌……何で……」

 だって、ついさっきだったではないか。私に柔らかく微笑んでくれたのは。大丈夫だと告げてくれたのは。気を付けてと言った私に、力強く頷いてくれたのは。
 もう一度、私は縋るように後方へと視線を転じた。けれど、土砂の向こうの更に先、被害を免れた街道にも、期待した人の姿も馬の姿もどちらもなかった。ただ大雨に白く煙る、無人の空間があるだけだ。輝く金髪はどこにも見えない。聞きたいと願う声は一声だって聞こえない。望んだ姿はどこからも現れない。
 どこにも、いない。

「…………ぁ」

 その瞬間、私の中で何かがぷつりと音を立てて切れた。
 途端に箍が外れるように私の内に宿る力が膨れ上がり、たちまち全ての音が意味を成さない雑音になる。
 一呼吸毎に荒くなる自分の呼吸音だけがやけに大きく聞こえ、次第にそれは耳鳴りと共に全ての音を掻き消した。耳の奥からは心臓の鼓動が聞こえ始め、私は熱に浮かされるようにふらりと一歩を踏み出す。
 泥濘んだ土砂が私の足を飲み込むのも構わず、一歩、更に一歩と歩を進めれば、木々が騒めき、鳥が羽ばたき、獣が鳴いた。
 わずかに体が後方に引かれる感覚があったけれど、それも一瞬のこと。反射的に振り払えば体に自由が戻り、私の歩く速さは次第に増して、ついには土砂に埋まった目掛けて無我夢中で駆けていた。
 たった一人の姿を求めて。多大な後悔と底知れない恐怖を胸に。泥を跳ね上げ、倒木の枝を手折り、岩を力任せに押し退けて、私は必死に輝きに手を伸ばした。伸ばし続けた。
 土砂に埋もれた輝きを掘ってはその色を確かめ、倒木を押し退けては確かめ、ひたすら探し続けた。それ以外には、何も考えられなかった。

 だから、私は気付かなかった。
 私の内から溢れ出した力が、周辺に生息する動物達を従わせていたことに。
 肉食草食雑食、大小すら様々な多くの動物が、私の力の影響を受けてそれぞれの方法で土砂を掘り、倒木を割り、岩を押し退け、私が捉えた生命の輝きを土砂の中から見つけ出そうとがむしゃらに動く。鳥達でさえも集団で土砂を啄み、枝を掴んで空へと舞い上がってはそれを放り、次の輝き目掛けて土砂へと突っ込む。
 私の強すぎる思いが、見つけ出すまで決して止まるなと彼らを駆り立てていたのだ。
 けれど私はそれを知らず、制御を失った力が私の限界を無視してどこまでも溢れて広がることさえ、なすがままにしていた。目の前の土塊を掻き分けて輝きに手を伸ばすことしか、考えていなかった。
 息が上がる。心臓が痛い。頭が割れる。視界が明滅する。まともに立っていられない。それでも、私は止まらなかった。止まれなかった。止まってしまえば輝きが消えてしまうようで、そうなることが恐ろしくて。

「……嫌、嫌、嫌、嫌! 嫌っ! 嫌ぁっ!」

 木の枝に引っかかる服を力任せに引き千切り、岩にぶつけて割れた爪を無視し、腕に切り傷を作り足を擦り剥いても、私は今にも消えかけそうな輝きに手を伸ばした。今度こそ望んだ輝きであることを祈って。
 けれど、踏み出した足が緩んだ土砂に滑って、体勢が崩れる。

「あ……っ」

 ぐるりと世界が回転する。咄嗟に伸ばした腕は何も掴めないまま体は傾ぎ、そのままあっさり倒れてしまう――寸前。

「もうよせ、ミリアム!」

 強い言葉と共に、私は背後から体を抱き留められた。

「気持ちを鎮めろ! このままではあなたの体が持たない!」

 望んだ色とはどちらも異なる黒と紅が、私に言葉を叩き付ける。けれど、私には相手が必死の形相で告げる言葉が理解できなかった。
 この気持ちを鎮める? そんなこと、できるわけがない。
 私の体が持たない? そんなこと、知ったことではない。

「邪魔しないで! 離してっ!」
「ミリアム、落ち着け! 私だ! キリアンだ! あなたの気持ちは十分――」
「煩い煩い煩い! 邪魔よ! 離して! 離してぇっ! 嫌ぁあああ……っ!」

 私はがむしゃらに腕を振り回し、拘束する腕から逃れようと必死に暴れた。腕に爪を立て、肘で突き、相手の髪を掴み、足で蹴り付け、自由を得るべく藻?きに藻掻いた。
 それなのに、黒い腕はびくともしない。私をきつく捕らえて離さない。そのことに、深い絶望が過る。

「あなたの気持ちは分かる! 皆、十分に分かっている! 私も他の者も、今必死になって助け出そうとしている! だから落ち着くんだ! これ以上は、本当にあなたが壊れてしまう!」
「知らないっ! 離してよ! 嘘付きっ!」

 壊れる? だから何だと言うのだろう。そんなこと、今にも失われそうな生命の輝きを救い出すことに比べれば、些細なことだ。私がどうなろうと、心底からどうだっていい。
 今大事なのは、あの人を助けること。輝きが失せる前に救い出すこと。それ以上に大事なことはないのに、優先すべきこともないのに、それ以外には何も望んでいないのに。
 それなのに、どうしてこの腕は私を阻むのだろう。どうして自由にさせてくれないのだろう。どうして目の前の人を助けてくれないのだろう。こんなに嫌だと、離してほしいと声を張り上げているのに、何故聞いてくれないのだろう。
 それとも、この腕はあの人が死んでも構わないのか。あの人の死を望んでいるのか。私の気持ちを分かった振りをして、あの人が死ぬのを待っているのか。だから私を捕えるのか。救い出そうとする私を、こんなにも必死に妨害するのか。

(――ああ、邪魔だな……)

 ふつりと、黒々とした怒りが腹の底から湧き上がる。
 この忌々しい腕が。煩い声が。私の願いを阻むもの全てが――邪魔だ。
 では、この邪魔なものを退けるにはどうすればいいだろう?

〝――……殺セバ、ヨイ……――〟

 誰かの声が、頭の中に響く。滴る毒のような昏く深い声が、私の脳髄を痺れさせる。目と耳が何かに塞がれる感覚が私を襲う。
 何も見えず何も聞こえないその中で、簡単なことだと、喜悦を含んだ声だけが私に届いた。
 邪魔なものに二度と煩わされない為には、殺すのが一番だと。この世から失くしてしまえば、もう願いを妨げられることはないと。そうすれば、私は心安らかになれるだろうと。
 私の苦しみに寄り添う囁き声は、乾いた大地が水を吸うように私の胸に染み渡っていく。
 それは、今の私にはこれ以上ない名案に思えた。私の苦悩に差し込んだ一条の光だった。私を捕えて離さない腕より、私の言葉を聞いてくれない声より、助言をくれるこの声の方がずっとずっと嬉しかった。私の思いに応えてくれる声があることに、昏い喜びが胸に灯った。

(……あなた、は――)
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